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ホルヘ・三村

南米通信 ~ラ・ビダ・デ・ホルヘ~

ホルヘ・三村
1960年10月23日生まれ。東京都出身。元々の南米サッカー好きが、89年のコパ・アメリカ取材を契機に沸騰。91年、気がつけば職を捨て、単身エクアドルに立っていた。現在はアルゼンチンのブエノスアイレスを拠点に、コパ・リベルタドーレス、コパ・アメリカ、ワールドカップ南米予選や各国リーグを取材している。そのかたわら、酒を中心とした南米各国のナイトライフにも造詣が深い。というよりそれに溺れ、酒とサッカーの日々を送っている。

アルゼンチン

■また、やった

2010.4.19

 またやってしまった。ギックリ腰だ。3カ月ほど前から、トレーニングの一環として家でスクワットをしている。しゃがんだ姿勢までお尻を下ろすフルスクワットだが、自重だけで負荷はかけない。アルゼンチンに着いて5日目、いつものようにそれをやっていたら、下げたときに激しい痛みが腰に走った。80歳を超えた森光子は毎日150回のスクワットを行っているらしいが、改めて彼女の偉大さがわかった。

 ホルヘはこれまで10数回はギックリ腰を経験している。しかし今回のものは、その中でも1、2を争う重症のようだ。腰が曲がってヨチヨチ歩きしかできないし、寝ていてもひょっとした拍子に電気が走る。最も困るのは、朝起きるときだ。就寝中はずっとあおむけで真っすぐになっているので、その姿勢で体が固まっている。四肢は動かせるが、上半身と下半身が少しでもねじれると、たちまち腰にビリっとくるので動くに動けない。ピンで止められた虫の標本になった気がする。腰を痛めた翌朝は、このまま一生ベッドから出られないのではないかと思ったほどだ。

 日本でギックリ腰になったときも、整形外科よりはハリや整体といった東洋医学系に行くことが多い。したがって今回もそういった場所を探した。すると、日系人関係の印刷物に「KAWAI KINKEITAI」という広告が載っているのを発見。電話をしたら日本語で対応してくれ、「ギックリ腰も大丈夫」だという。さっそくそこへ行き、スクワットで痛めたことや、過去に何回もやっていることを説明した。そして、ある疑問についても質問した。疑問とは、「腹筋や背筋を鍛えると腰痛予防になるといわれているが、それは本当か」ということだ。最近のホルヘはトレーニングに凝っており、腹筋や背筋もバッチリやっている。にもかかわらず腰を痛めたので、納得がいかないのだ。すると先生は、「健康な人がやれば予防になるけど、元々腰の悪い人がやったらかえって痛めることになる」といわれた。なるほど、そうなのか。しかしそれが正しいのなら、ホルヘはもうトレーニングをしてはいけないことになる。これは非常にさびしいことだ。

 そこでの治療は、骨盤を正しい位置に直すとかで、一種の整体のようなものだった。あおむけになると、先生がホルヘの両ヒザを曲げて、それをお腹のほうに押してくる。これがたまらん。ある程度まで曲げると激痛が走る。考えてみれば、立っているのと寝ているとの差はあるが、曲げた両ヒザが体の近くにくるというのは、しゃがんだときの姿勢に似ている。つまり、痛めたときと同じ態勢。痛いのも当然だろう。足首をネンザしたときに、ひねった方向に足首を曲げると痛みが増すのと同じことだ。しかしガマンして治療を受けると、帰るときには腰がかなり真っすぐになった。ただ、痛みの度合いは変わらない。

 翌日になると、痛みは増大していた。明らかに悪化している。荒療治が裏目に出たようだ。腰は伸びているが、今度はそのままで固まった。曲がったまま固まるより見かけはいいが、顔を洗ったり、ソックスやパンツを履くのに不便でならない。日常生活においては、どうせ固まるのなら、曲がったまま固まったほうが便利なことに初めて気づいた。あの治療法が向かないのでそこに通ってはいないが、他の治療院にも行きそびれてしまい、今でも不便な体のままだ。当分、サッカーもゴルフも夜遊びもできそうにない。それどころか、ボカのパレルモがクラブ歴代最多得点となる220ゴールを挙げたり、リーベルも監督がカッパに変わったのに、取材にすら行けない状況だ。

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