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3月3日のFIFAデーに、アルゼンチンはアウェーでドイツを1-0で下した。前半終了間際、見事なカウンターとドイツGKレネの判断ミスが重なり、イグアインが無人のゴールへシュートを決めた。マラドーナにとって、この勝利は大きい。内容はともかく、アウェーで強豪を破るという結果を出した。5月25日に行われるカナダ戦に負けたとしても、今回の実績でそれをカバーできる。つまり、よほどのアクシデントが起きないかぎり、マラドーナが監督の座を降りることはなくなった。残念なことだ。同日、日本もバーレーンに勝った。負けて監督解任問題が再び浮上することを期待したが、こちらもホルヘの思い通りにはならなかった。世の中、願いがかなうことは少ない。
1月のコラムに書いたが、行きつけのバーが3月7日にマラソン大会を開催することになった。ホルヘも参加を決め、優勝目指してトレーニングを続けてきた。途中、何度かのケガで休んだものの、お腹まわりがスッキリして、なかなか調子よく仕上がった。しかし、2月最後の日曜日にサッカーの試合に勝ったため、7日が準決勝になってしまった。当然、試合には出たい。体力的にはきついが、前半だけ出場して駆けつければ両方に参加できる。しかし世の中思いどおりにいかないもので、出欠をとったら、試合に参加できるのは10名だという。これではフル出場しなければならない。マラソン大会はあきらめるしかないが、それよりも問題は準決勝だ。ホルヘを入れて10人だと、実質9人ということになる。非常に厳しい。今季から2部落ちしたわがチームの目標は、1シーズンでの返り咲き。この大会は、3位までが昇格できる。したがって、準決勝に勝てばその時点で昇格が決定し、負ければ3位決定戦に望みを託す。つまり2試合で1勝すればいいのだが、あちらの準決勝の2チームは強豪なので、3位決定戦に勝つのは難しい。比較的組みやすい相手との準決勝で昇格を決める必要があったのだ。
この大会は人工芝のグラウンドをメインにしているが、天然芝の会場も使用している。準決勝の会場は、天然芝グラウンドだった。人工芝なら雨天決行だが、天然芝だと雨天の場合使用できない。わがチームのメンバーは、ひたすら雨ごいの祈りを捧げまくった。それが通じたか、前日から天気が崩れて雨天延期が決定。さらに幸いだったのは、雨がたいした降りではなかったこと。「走るには、ちょうどいい天気だ」などという参加者もいて、マラソン大会は予定どおり行われた。不利な状況の準決勝が回避されただけでなく、これまでのトレーニングを無駄にすることなくマラソン大会にも出られるとは、最高の展開。世の中って、ちょろいものだ。
大会参加者の中で、ホルヘより年下なのはS君だけ。ほとんどが60歳以上で、70歳に近い人もいる。最年長のMさんは、この氷雨を、「走るには、ちょうどいい天気だ」といった張本人で、昨年の河口湖マラソンの27キロの部で、S君に1時間もの差をつけてゴールした猛者。このS君も、中学時代は1500メートルを4分半で走っていた実績がある。優勝を狙うホルヘは、このMさんをライバルとして意識していた。10キロ弱のコースは、店の前をスタートし、商店街と住宅街を抜けて神田川沿いの遊歩道に入り、折り返し地点で戻ってくるもの。しかし地元の人でないMさんは、遊歩道を見落として住宅街をドンドン進み、後方からバーのママが「Mリン、Mリン」と大声で呼びかけたのも耳に届かず、そのまま消えた。
先行していたホルヘはこの出来事に気づかなかったが、ライバルの姿が見えないので不思議だと思っていた。それはともかく、走り出してから感じたのは、非常に体が軽いこと。1キロも走らないうちに、「これは、いける」と確信した。それでも安全策を取り、往路はややペースを落として他の参加者と雑談を交わしながら進む。お互いに同じバーの常連として、いつもはカウンターで酔眼となりながら話しているので、こんな状況での会話は新鮮だ。というより、勝手が違ってあまり話が進まない。その後、折り返しからペースを上げてぶっちぎりの優勝。しかし、Mさんがコースアウトしていなければ、どうなったかわからない。ちなみに、「行方不明だ、遭難だ」と心配されたMさんは、独自のコースを1時間ほど走って戻ってきた。
この大会のためにトレーニングを始めた年末は、5キロ走るのに28分かかった。しかし今回の感じだと、真剣に走れば10キロで50分そこそこのタイムを出せそうだ。これは、トレーニング開始当時に掲げた目標タイムと同じ。49歳にして狙いどおりの成果を挙げられるとは、立派なものだ。トレーニングの励みとなったのは、優勝して賞品のボトルを獲得することだった。しかし優勝してみると「賞品なんかない」という。やっぱり、世の中は思いどおりにならない。 |