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ホルヘ・三村

南米通信 ~ラ・ビダ・デ・ホルヘ~

ホルヘ・三村
1960年10月23日生まれ。東京都出身。元々の南米サッカー好きが、89年のコパ・アメリカ取材を契機に沸騰。91年、気がつけば職を捨て、単身エクアドルに立っていた。現在はアルゼンチンのブエノスアイレスを拠点に、コパ・リベルタドーレス、コパ・アメリカ、ワールドカップ南米予選や各国リーグを取材している。そのかたわら、酒を中心とした南米各国のナイトライフにも造詣が深い。というよりそれに溺れ、酒とサッカーの日々を送っている。

アルゼンチン

■マラドーナ解禁

2010.1.20

 報道陣に侮辱的な発言をしたことでFIFAから2カ月間の活動停止処分を受けたマラドーナだが、それが15日に満期を迎えて解除となった。早速、ワールドカップのキャンプ地に決定しているプレトリアの施設をチェックするため、南アフリカへ飛んだ。26日には、国内組によるコスタリカとのテストマッチがあるので、キャンプ地のチェック、選手選考、代表合宿と大忙し。もちろんこれは彼の本業なので、解禁となると同時に動き出すのは当然のこと。なんら問題はない。しかしさすがマラドーナだと思うのは、本業以外の部分でも早速話題を作ったことだ。普通は、処分が解けても反省の色を見せるため、控えめに振舞うものだと思うが、彼はそんなことを考えてもいない。解禁と同時にビデオメッセージで新しいプロジェクトを発表。つまり謹慎中にプロジェクトの打ち合わせをし、ビデオ撮影をしていたわけだ。オフサイド無視というか、何の反省もしていなかったということが明らかになった。

 そのプロジェクトとは、マラドーナのプライベートテレビチャンネルの設立。メキシコの企業がマラドーナを担ぎ出し、スポーツバラエティーの新チャンネルを開局することになった。チャンネルの名前は『10eTV』。処分解禁の日に合わせてその発表会が行われ、さすがに本人は出席しなかったものの、ビデオメッセージが披露された。「10eTVは、スポーツをこれまでと違う形でとらえ、家族みんなで楽しめる初めてのチャンネルだ」とマラドーナはいう。彼は以前アルゼンチンのテレビで、「10番の夜」という番組のパーソナリティーを務めた。その番組は最高視聴率40パーセントオーバーという人気を博したので、メキシコの企業は2匹目のドジョウを狙ったようだ。マラドーナをパーソナリティーに起用して「私は記録」という、スポーツ系の「ギネスに挑戦」スタイルの番組を放映するという。しかし、多忙のマラドーナをどれだけ撮影に拘束できるのだろうか。「マラドーナ・チャンネル」と打ち上げたものの、実際に彼が登場するのはわずかだけ、ということになりかねない。また「10番の夜」では、彼が信頼し、タレントとしての能力も抜群の元代表GKゴイコチェアが、アシスタントとしてサポートしたことで番組の進行がスムーズにいった。有能で気心の知れたアシスタントがいないと、マラドーナの魅力を引き出せないだけでなく、番組の収拾がつかなくなる恐れがある。

 10eTVはケーブルテレビで中南米に放映されるが、インターネットでの視聴も可能で、
アドレスはwww.yosoyrecord.com。アドレスに使われている「Yo soy record」とは、メイン番組である「私は記録」のスペイン語。配信まで3カ月といっているので、4月15日ころからスタートされるらしい。インターネットでの視聴は有料だが、当初は無料サービスだという。しかし、どうもいかがわしい気がしないでもない。だいたい、マラドーナを使った商売で成功したものはほとんどないのだ。

 この発表と時を同じくして、ペレがマラドーナに関する発言をした。コロンビアのボゴタで行われたコパ・リベルタドーレスのセレモニーで、「予選で苦しんだのは、ヨーロッパで活躍している選手たち、たとえばメッシなどが、期待どおりのプレーをしなかったからだ。しかし、それはマラドーナの責任ではない」と擁護。選手の能力を引き出せないのも監督の責任ではないのか、と思うが、発言にはまだ続きがあり、「みんながマラドーナを批判するが、それは違う。彼は監督としての経験がない。アルゼンチンには経験豊富で優秀な監督がたくさんいるのだから、批判すべきは、彼を選んだことだ」と、結局はマラドーナを選んだのが間違いだと決めつけた。しかしその一方で、「アルゼンチンは優秀な選手を多数もち、実績もあるので、ワールドカップでは警戒しなければならないチームだ」と持ち上げてもいる。ペレの予想は当たらないことで有名なので、この発言により、アルゼンチンはグループリーグで敗退することになるのかもしれない。情報に敏感なイギリスのブックメーカーは、ペレの発言を聞き、アルゼンチンのオッズを書き換えているはずだ。

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