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ホルヘ・三村

南米通信 ~ラ・ビダ・デ・ホルヘ~

ホルヘ・三村
1960年10月23日生まれ。東京都出身。元々の南米サッカー好きが、89年のコパ・アメリカ取材を契機に沸騰。91年、気がつけば職を捨て、単身エクアドルに立っていた。現在はアルゼンチンのブエノスアイレスを拠点に、コパ・リベルタドーレス、コパ・アメリカ、ワールドカップ南米予選や各国リーグを取材している。そのかたわら、酒を中心とした南米各国のナイトライフにも造詣が深い。というよりそれに溺れ、酒とサッカーの日々を送っている。

アルゼンチン

■ホルヘ、走る

2010.1.18

 行きつけのバーが、3月に10キロのマラソン大会を行うことになった。ここの常連には、市民大会に参加するオヤジランナーが多い。ママは彼らの応援に行くうち自分も走るようになり、ついにお店主催の大会を企画するまでになった。もっとも、参加者は客だけなので10数名だろう。ホルヘにもお声がかかったので、走ってみることにした。参加者のほとんどは60歳前後なので、優勝も狙える。ホルヘは中学時代、持久走で校内無敵だったし、30歳くらいのときでも審判研修会の12分間走が3100メートルだった。優勝すれば、賞品でボトルの1本くらいもらえるだろう。しかし10キロのランニングなどは、もう何十年もやっていない。下手をすれば、ペースを間違えて途中リタイアということにもなりかねない。

 アルゼンチンでもジムのマシンでトレーニングしていたが、平均時速約6.5キロで30分程度しか走っていない。10キロを走り切り、さらに優勝を目指すには、こんな練習ではとてもおぼつかない。そこで、年末から徐々にロードワークをはじめた。アルゼンチンでは、ホルヘの家が市街地ということもあり、近くにジョギングができる場所がない。道は100メートルごとに信号があり、車道は危険で歩道は狭いし犬の糞が多い。しかしホルヘの日本の住まいは住宅街なので、走る場所にこと欠かない。犬の糞を踏む心配もない。おまけに近くには、川沿いの遊歩道や1周400メートルのランニングコースが設けられた公園もある。大みそかには、この公園で5キロに挑戦した。苦しくならない程度のペースを保ち、タイムは28分12秒。時速にすると10キロ強だ。優勝の予想タイムは50分くらいなので、それを出すためには時速12キロが必要。しかし、まだ時間はたくさんある。無理をせず、少しずつ上げていけばいい。なにしろこっちは老体なのだ。ハードなトレーニングは逆効果になる恐れがある。

 5キロを走って分かったのは、このペースで10キロを走る体力はない、ということだった。そこで、スピードは後回しにして、基礎体力をつけることにした。まずは、ゆっくりしたペースで1時間走ることからはじめる。2週間ほどこれを続け、体力がついてきたら徐々にスピードを上げる計画だ。時速6~7キロくらいのペースで、元旦、3日、4日と1時間走った。3日と4日は、箱根駅伝を見た影響でついペースが上がり過ぎ、「バカモノ、おまえは柏原君か」と自分に突っ込んでスピードダウン。完璧な自己コントロールの下でトレーニングが行われた。そして5日の夜はフットサルに参加。しかしそこで、普通に踏ん張っただけで左足首をネンザしてしまった。原因は、いきなり長時間走りはじめて、足に疲労がたまったためだといわれた。あれほどゆっくり走ったのに、それでもダメだったようだ。なんという老体であろうか。おかげで1週間も練習ができなくなった。しかも、こんなにもろい体だということが判明したので、今後のトレーニング計画も大幅に修正しなければならない。時間は充分にあると思っていたが、これでは間に合わないかもしれない。ああ、賞品のボトルが遠のいていく。

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