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ホルヘ・三村

南米通信 ~ラ・ビダ・デ・ホルヘ~

ホルヘ・三村
1960年10月23日生まれ。東京都出身。元々の南米サッカー好きが、89年のコパ・アメリカ取材を契機に沸騰。91年、気がつけば職を捨て、単身エクアドルに立っていた。現在はアルゼンチンのブエノスアイレスを拠点に、コパ・リベルタドーレス、コパ・アメリカ、ワールドカップ南米予選や各国リーグを取材している。そのかたわら、酒を中心とした南米各国のナイトライフにも造詣が深い。というよりそれに溺れ、酒とサッカーの日々を送っている。

アルゼンチン

■ホルヘ、日系人大会デビュー

2009.12.17

 今、心地よい筋肉痛を味わいながら、このコラムを書いている。筋肉痛の原因は、過日の日系人サッカー大会。この大会は年に数回、日系人の多く住む地域で決まった時期に行われている。今年は異常気象でまだ涼しいが、例年のアルゼンチンは12月ともなれば連日30度を超す。毎年12月にブルサコという町で行われる大会は、日系人サッカーの“夏の大会”ということになる。

 3カ月ほど前から、ジムのランニングマシーンでトレーニングを始めたホルヘ。当初は、時速4.5キロという早歩き程度のスピードで20分間続けるのが精いっぱいだった。それがやがて30分間になり、スピードも上がり、最近は時速5.7キロで20分、6.4キロに上げて10分、そして最後は7.2キロで10分の計40分間と、スピードも時間も大幅にアップした。それもこれも、この大会に備えてのためである。筋肉痛が翌日に出たのも、おそらくトレーニングの成果だろう。老化と衰えにより、これまでは翌々日でなければ痛みを感じなかったのだ。しかし、持久力がアップしても瞬発力や反射神経は以前と大差ないはずだし、ましてや技術に関しては、腐ることはあっても向上しているわけがない。そんなことは承知だが、チームメートに励まされ、レベルが高いといわれる日系人大会に場違いな参戦を果たしたのだった。

 アルゼンチンでは、5人制、6人制、7人制などのさまざまなベビーフットボール(ミニサッカー)が行われている。同じ6人制であっても、ルールがそれぞれ違ったりする。この大会は芝のグラウンドで6人制によって行われた。おもなルールは以下のとおり。
* ピッチは40メートル×20メートル。
* ゴールはフットサルと同サイズ。
* ボールは低反発の3号球。
* 試合時間は15分ハーフ。
* ゴールキックではなくGKのスローで再開。
* GKのスローはハーフラインを超えてはならない。
* タッチラインを割ったらスローインで再開。
* GKは味方のパス(脚によるもの)を手で扱えない。
* FK、PK、CKの際に助走は禁止。
* 自陣からのシュートは入っても無効。
* チャージ、スライディングタックルは可能。
* キックオフは後方へも可能。

 8人で参加したわれらがチーム名は、マルガリータ。これは、いつもプレーする室内サッカー場の管理人のオバサンの名前。彼女は機嫌がいいと、1時間の料金で2時間くらい使わせてくれる。だからまあ、多少の感謝の気持ちを込めてマルガリータとしたが、当のオバサンは自分の名前が拝借されていることは知らない。メンバーには、現役のサッカー留学生であるケントとタイゾーの強力コンビがいる。さらに、元留学生のコージ、習志野高校サッカー部OBのトッティ、GKユージ、日系のニコとディエゴ、そしてホルヘという顔ぶれ。大会はユニホームに関する細かい規定がないので、それぞれが白と黒2種類のTシャツを用意することにした。ホルヘは大会のためにバッタモンの黒シャツを購入し、気合を入れるため床屋へ行ってパーマをかけた。

 参加は24チームで、4チームずつ6グループに分けてのリーグ戦を行い、その後はベスト8のトーナメント。マルガリータの初戦は、相手チームが幸運にも5人しかいなかった。この数的優位を生かし、早々と2点を先制。やがて正GKが到着して6人対6人となり、相手は反撃ムードが高まる。しかし、それに水を差すかのようにホルヘがダメ押しの3点目をゲット。そしてそのまま3-0で終了。ということは、相手の正GKが来てから点を取ったのはホルヘだけということだ。なかなかヤルじゃん。自信がついた。

 第2戦の相手はHAMAというチーム。ケントとタイゾーは前日、別の日本人チームの試合でこのHAMAと対戦したという。日系人の中には、ことサッカーの試合になると、サッカー留学生に強い対抗心を持つ者がおり、その試合も荒れてケンカのようになったそうだ。そして結果はHAMAの勝ち。ケントとタイゾーの評価でも、このチームは強いということだった。後で聞くと、HAMAはこの大会の昨年のチャンピオン。しかし予想外にもこの日はまったく精彩がなく、マルガリータが4-0で快勝。ホルヘまでもが、ダイビングヘッドシュートという荒業を魅せた。至近距離からGKの肩口を抜くシュートを放ったが、ボールはクロスバーを直撃してほぼ真下に落ちた。地面に跳ねて浮いたボールは、ゴール正面でゴールラインから約1mの空中にあった。「触れば入る」というやつだ。ホルヘはGKより先に触るため、果敢にもダイビングヘッドを試みた。踏切が早すぎたので額ではミートできなかったものの、脳天に近い部分でかろうじて当てた。たぶん人生で初めてあろうという、ダイビングヘッドでの得点を確信。しかし顔を上げると、あるはずのボールがゴールの中にない。横を見ると、相手DFがボールを持っていて、プレーが続いている。どうやら、低反発球に加え気合のパーマがクッションとなり、シュートが弱すぎてGKにかき出されたようだ。「触れば入る」なんてウソじゃん。続く第3戦は、ホルヘ以外のフィールドプレーヤーが全員得点して8-0の大勝。1人カヤの外となったが、チームは決勝トーナメント進出を果たした。


日系人サッカー大会は6人制、フットサル程度の広さの天然芝ピッチで開催された
日系人サッカー大会
天然芝ピッチ
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