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ヨーロッパでは八百長スキャンダルが注目を集めているが、アルゼンチンでも審判による不正疑惑が発覚した。今期第1節のサンロレンソvsアトレティコ・トゥクマンにおいて、サッカー協会の職員が主審のファラオーニに、「サンロレンソが有利になるようにしてくれ」と電話で依頼したのだ。その会話は、テープに録音されて残っていた。問題の試合では、3-1で勝ったサンロレンソに有利なジャッジが随所に見られた。現在のところ、主審が故意にサンロレンソを助けた証拠はない。しかしテープの存在で、「依頼」があったことは明らかになっている。そしてその依頼をした協会職員とは、元国際審判員のアニバル・ハイ。招へい審判としてJリーグの笛を吹いたことがあるので、覚えている人もいるかもしれない。審判を引退してからは協会の渉外担当となり、そのかたわらテレビにも出演してルール解説などをしていた。
実は、ホルヘは彼と親交がある。アルゼンチンの審判事情や国内リーグの大会規定を取材したときは、ずいぶんと世話になった。初めて会ったときから通りいっぺんの対応でなく、親身になって協力してくれたという印象がある。日本で韓国焼肉を好きになったが、彼はそれを日本料理だと思っていた。帰国して日本料理屋に行ったがどこにも焼肉はないので、もうアルゼンチンでは食べられないものとあきらめていたという。そこでホルヘが、ハイを韓国料理屋へ連れて行ったこともある。すでに協会は解雇されたが、今後の展開次第では逮捕ということもありえるだろう。ホルヘにとっては、気のいいオジサンであり、貴重な協力者だった。いったい、なぜこんなことになったのか。よくテレビのワイドショーで、犯人の知人がインタビューに答え、「まさか、あの人がこんなことをするなんて」とありきたりのセリフを吐くが、その心境がやっと分かった。
さて先週は、約140人参加によるトヨタカップという大きなゴルフコンペがあった。28という高ハンディを武器としてひそかに優勝を狙うホルヘだが、ゴルフエルボーというゴルファーの職業病に苦しんでいた。普段でも、顔を洗うときや窓の開閉などの動作で右ヒジが痛む。ラウンドをすれば当然悪化し、終盤になると打つたびに激痛が走る。ゴルフに限らず、テニスや野球でもヒジを痛めることがある。そのおもな原因は、フォームの悪さだという。では、なぜフォームが悪いと痛めるのか。ゴルフでいえば、クラブを振り始めるとそのスイング軌道を脳が予測するらしい。そうすることによって、インパクトの衝撃や遠心力で引っ張られることに備えるそうだ。ところが、フォームが悪かったり手首を変に使うと、スイング軌道が脳の予測から外れる。すると、無防備な個所が衝撃や遠心力を受けることになり、これが繰り返されることで筋肉や腱が傷つくというのだ。サッカーでも、強くスピンをかけようと不自然なキックを繰り返すと、どこかを痛める可能性がある。
しかしホルヘは、それほど頻繁にゴルフをやっているわけではない。打ちっぱなしにも、何カ月も行っていない。それなのにヒジを悪くするのは、相当ひどい打ち方をしているからに他ならない。原因は分かっている。ダフってばかりいるからだ。ダフる、つまり地面をたたくことが多いのだ。ちなみに、アルゼンチンではダフることを「パパ」という。パパとはジャガイモのことで、地面に穴をあけることがイモ掘りに似ているからこう呼ばれるのだろう。頭の中では、きれいにヒットされたボールが青空の中に吸い込まれていくイメージを持っている。しかし、実際はボールの5センチも手前をパパしている。ヒジにとっては不意打ちか闇討ちみたいなもので、無警戒の状態でガツンという衝撃を受ける。これじゃ、たまらん。
原因はハッキリしているのだから、パパしないようにすれば痛みともオサラバできる。しかしそんなことができるのなら、とっくに100を切っている。ホルヘのゴルフはマックのコンボと同じで、パパ(ジャガイモ)がつきものなのだ。となれば、地面をたたきながらもヒジを悪化させない手段を講じなければならない。そこで、世田谷の経堂で整骨院を開いている知人にメールで相談した。飲み屋で知り合った彼は名医と評判で、プロゴルファーやスポーツ選手も通ってくるらしい。返信には、伸縮テープを使ったテーピングの方法が書かれてあった。テーピングで衝撃を緩和しようということだろう。しかし普通のテープはあるのだが、伸縮テープがどこにも売っていない。ジムのインストラクターに聞いても知らないというし、日本人の元サッカー選手も「アルゼンチンでは見たことがない」という。結局テーピングなしでのイモ掘り大会となり、スコアはまたしても100をオーバー。悲願のトヨタカップ制覇は、今年も幻に終わった。 |