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スペインのサラゴサやバレンシアでも活躍した、元アルゼンチン代表DFフェルナンド・カセレスが、顔面を撃たれて重体となった。現在、インデペンディエンテのユースを指導している彼は、先週日曜日の未明、愛車のBMWを運転していた。その自動車を奪おうとした4人組の強盗から逃れようとした際に発砲され、弾丸が右目を直撃。手術を受けたが、非常に危険な状態だという。
アルゼンチンの警察はどこも財政難に苦しんでおり、ブエノスアイレス市主要地域の警備も人員を削減している。しかし今回は被害者が有名人ということもあってか、対応は素早かった。すぐに実行犯や共犯6名を特定し逮捕。さらに5日後には、この事件に関連し、2個所のスラムとアパッチ砦(とりで)を500人態勢で急襲し10名を検挙した。アパッチ砦というのは、犯罪の巣窟(そうくつ)として名高い居住区。しかしスラムではなく、低層と中層の集合住宅が立ち並んでいる。ここは70年代初め、政府が住宅を建て、スラムなどに住んでいた人たちを移り住ませたところ。この居住区の正式名称は、エヘルシット・デ・ロス・アンデスという。しかし、誰もその名では呼ばない。以前、ここの住人が警察に追われて逃げ込んできた。こういう場所での仲間意識は強い。他の住民は彼を守ろうとし、警察と激しい銃撃戦を繰り広げることになった。その模様をテレビのリポーターが、「まるで、(西部劇の)アパッチ砦のようだ」と伝えたことから、この呼び名が定着したという。ちなみに、テベスはここの出身。彼はサッカー選手として成功したが、兄は現金輸送車襲撃未遂を起こすなど、アパッチ砦育ちらしい道を歩んでいる。
さて話は変わるが、帰国するウラカンの加藤の送別会を兼ねて、数日前にわが家でパーティーを行った。加藤と初参加の女性が大阪出身なので、勝手に「ラ・ノーチェ・デ・大阪(大阪ナイト)」というテーマにした。ようするに、関西風の食べ物を用意しようということだ。たまたま先週、シメサバとサバ寿司を作っている。バッテラとかサバ寿司(棒寿司)は大阪や京都のもののはず。これで、まず一品。次は、高野豆腐、干しシイタケ、にんじん、鶏ツクネの煮物。今までのパーティーでも煮物は作ったが、東京出身のホルヘをはじめ関東人が多いので、どうしても味は濃いめの甘辛になる。今回は上品に京風っぽく仕上げることにした。それから、大阪といえば「粉モノ文化」なので、焼きそばとお好み焼きを追加。また大阪とは関係ないが、珍しくニラが手に入ったのでニラ玉も追加して計5品。
アルゼンチンの酢はきついので、前回のシメサバが酸っぱくなったという反省を生かし、今回は酢を水で割り、さらに沸騰させて気を飛ばした。おかげで、酸味はだいぶ抑えられた。前回、シャリに関しては味が薄かったので、酢、塩、砂糖の分量を増やす。そしたら、滅茶苦茶酸っぱくなった。うーん、料理人の道は厳しい。煮物、焼きそば、ニラ玉は何も問題ない。心配なのはお好み焼き。なにしろ、本場の人たちにお出しするのだ。うかつなものは作れまい。というわけで、大阪のお好み焼きのレシピをネットで調べることにした。ネットとは、便利なものだ。
しかし山芋や青ノリなど、入手できないものもある。「山芋の代わりにジャガイモを使おうか」とも思ったが、大変な失敗になりそうな予感がしてやめた。ここはアルゼンチン。ないものは我慢してもらおう。しかし、可能なものは用意する。というわけで、天カスを作ることにした。天カスは天プラを揚げるときに出るカスだが、気の利いたソバ屋では、たぬきソバを頼むとそのために熱々の天カスだけを作り、それをソバに入れてジュっといわせるところがある。こうなると、もはやカスではない。上品に「揚げ玉」と呼ぶべきであろう。ホルヘもこの揚げ玉作りに挑戦。しかし衣(?)が濃すぎた上、油の温度が高かったので、入れた瞬間に細長い形で揚がってしまう。揚げ玉ではなく、揚げ棒といった感じ。砂糖か塩をまぶせば、スナック菓子として通用しそうだ。作り直す時間はあったが、心が折れた。努力だけを買ってもらおう。
ネットのレシピによると、生地はボールに作って2時間以上寝かせるのだという。焼くときは、「1枚分の生地をドンブリに入れ、キャベツ、紅しょうが、天カスを入れて30秒混ぜる。混ぜすぎてはいけない。そして卵を入れて15秒混ぜる」のだそうだ。さすがに本場の流儀はこだわりが違う。ホルヘはこの厳しさに怖気づき、焼くのは大阪人に任せることにした。しかし加藤は、ボールの生地にいきなりキャベツをぶち込もうとするではないか。「ネットに書いてあったのと違う」というと、「ネットなんかで調べたんですか」と笑われ、「店ではそうだけど、家でやるときは全部一緒に混ぜちゃいますよ」と説明された。そんなものなのか。なんだか、ちょっと拍子抜けした「ラ・ノーチェ・デ・大阪」だった。 |