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10月18日の日曜日、ボカvsティグレの試合を見るためにテレビをつけた。しかし、何かがおかしい。違和感がある。そして、その原因にやっと気がついた。観客が少ないのだ。ボカは不振でティグレは最下位のため、この試合の重要度は低い。しかしそんなことに関係なく、ボカの試合はいつも満員になる。ところがこの試合は、バックスタンドの両サイドがガラガラになっている。さすが、「母の日」だ。
そう、アルゼンチンでは10月の第3日曜日が母の日。インターネットで調べると、この日を母の日にしているのはアルゼンチンだけ。理由は知らない。ちなみに世界中でもっとも多いのは、日本と同じ5月の第2日曜日。また、それ以外の第1、第3、第4日曜日など、やたらと5月に集中している。それはともかく、外国では父の日、母の日、クリスマスなどは家族で過ごすものだという意識が強い。日本みたいに、プレゼントだけでごまかそうという合理性がないようだ。以前エクアドルに行ったとき、通常は土曜日と日曜日に分けて行われるサッカーの試合を、母の日である日曜日の開催を避け、すべて土曜日に消化していた。たぶん、母の日に開催しても客が入らないのだろう。「母は強し」である。
アルゼンチンの母の日は、アサードが定番。アサードとは、炭で牛肉のかたまりを焼くアルゼンチン式の焼肉。肉を焼くのはお父さんの仕事。日本でいう鍋奉行のように、焼き方にこだわりをもつ人が多い。アサードはお母さんを煩わすことがないので、母の日にピッタリの料理だ。しかしアルゼンチン人はやたらとアサードが好きで、何かあれば必ずアサードだ。父の日だってお父さんが汗をかきながら肉を焼く。だから別に、母の日にやらなくても構わないような気がする。しかし、どうしても母の日にアサードは必要らしい。2年前の母の日、ホルヘはアミーゴの家に招待された。昼過ぎから始まったアサードには、娘夫婦も孫を連れてやってきた。実家で一緒に母の日を祝うという、絵に描いたような幸せな一族である。やがてホルヘの酔いがまわった夕方になると、娘夫婦はそろそろ帰るという。酔っ払いの礼儀として、こういう場合は、「なに、もう帰るだと? いいじゃねーか、もうちょっといろよ」と、からまねばならない。当然ホルヘもそうしたが、相手の返答を聞いて酔いが覚めた。「これから家で母の日のアサードをするんだ。よかったら来ないか。俺が焼くアサードは、ここのとはまた違ってウマイぞ」とダンナがいうのだ。これは、タチの悪い酔っ払いを追い払おうとしてデタラメをいっているのではない。本当にこれから後半戦、いや、ホームでの第2レグを行おうというのだ。こうなるともう、アサード中毒としか思えない。
母の日の次の日曜日は、ボカもリーベルも早々とチケットを完売。それもそのはず、両者が激突するスーペルクラシコなのだ。この時点でボカ10位、リーベル18位とともに精彩を欠くが、そんなことはファンには関係ない。1位vs最下位でも、クラシコには特別な意味がある。スーペルクラシコとなればなおさらだ。勝負だけでなくお祭りのような雰囲気もあり、取材するほうもワクワクする。しかし、母の日とスーペルクラシコが同じ日になったらどうなるのだろう。これは非常に興味がある。今度ぜひ、そういう日程を組んでもらいたい。鼻を負傷していたパレルモは、フェイスガードを着けて登場。日本ではおなじみのこのマスクだが、アルゼンチンでは見た記憶がない。試合前日のスポーツニュースで、「明日パレルモは、こういうマスクを着けてプレーするそうです」とスタジオに現物を持ち込んで説明していたから、過去にあまり例がないのだろう。
前半はリーベルが多くチャンスをつくり、ブオナノッテがファウルを受けてPKを得る。しかし、オルテガのキックをGKアボンダンシエリがはじく。その直後、今度はリーベルにゴール左からのFKのチャンス。キッカーはガジャルド。これが見事に決まって先制。リーベルは守備でもボランチのアルメイダが要所を締め、リケルメの持ち味を殺す。しかし10人対10人になった後半、パレルモがゴールを決めて同点とし、そのまま引き分けで終了した。しかしここに書いた選手は、ブオナノッテ以外すべて大ベテラン。「昔の名前で出ています」という感じだ。アルメイダなどは実質的に引退していたのだが、3年ぶりくらいにひょっこり戻ってきた。「そんなものが通用するか。そんなに甘くない」と思っていたが、ちゃんと戦力になっている。引退間際よりいいくらいだ。先日49歳となったホルヘも、こうした熟年パワーが発揮できるのだろうか。今度、若者たちとのミニサッカーで試してみよう。しかしそこでケガでもしたら、「年寄りの冷や水」といわれるのだろうな。 |
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スーペルクラシコ。パレルモはフェイスガードを着けて出場。
ボカのバタグリアにリーベルのベテラン、アルメイダが襲いかかる |