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残念ながら、アルゼンチンが勝ってしまった。ワールドカップ予選最終節、アウェーでウルグアイを1-0で破り、4位で出場権を確保。ホルヘの希望は、アルゼンチンが5位でプレーオフに回ることだった。以前にも書いたが、プレーオフに勝って南米から5カ国参加するためには、ウルグアイやエクアドルが5位になるのは望ましくない。さらにアルゼンチンが5位で予選を終えれば、マラドーナ監督は解任されるだろうとも考えていた。ホルヘは、選手としてのマラドーナは大好きだった。また、トラブルメーカーとしての彼にも興味を持っている。一度は代表監督をやってもらいたいとも思っていた。しかし、もういい。これ以上は続けてもらいたくない。ワールドカップといえば、サッカーの世界最高峰である。参加国の中には二線級もあるが、優勝争いをするチームは、トップレベルの技術、戦術を兼ね備えている。すなわち、トップレベルの選手と監督で構成されるのだ。そこに、マラドーナのいる場所はない。逆にいえば、彼が監督では、アルゼンチンは上位に食い込めないのだ。しかし、内容は悪いながらも最後は2連勝して4位通過。これでは解任できない。
もっとも最終戦の指揮は、ほとんどマネージャーのビラルドが執っていたようだ。マラドーナとの不仲説、というよりマラドーナがビラルドを遠ざけているとうわさされ、これはほぼ事実だった。しかしこの試合では、ビラルドがコーチに選手交代を指示しているようなシーンが見られた。さらに交代で入る選手にも、彼が作戦を授けていた。ビラルドはグロンドーナの後任としてサッカー協会会長の座を狙っており、監督としては過去の人。最新の戦術を身に着けているわけではない。しかし勝負師としての判断力は健在で、敵と味方のどこに穴があるかを見抜く眼力は非凡なものがある。マラドーナもそれを認め、背水の陣であるこの試合では、ビラルドのサポートを受け入れたのだろうか。そうとしか考えられない。しかし、ビラルドは正式なベンチ要因ではなかった。彼がいたのは、ベンチ横にある地下通路への入り口。非登録員がここから指示を出していたのだから、これって違反じゃないのか。
4位となり、監督の座が安泰となったかに見えたが、そこはさすがにマラドーナ、すぐに墓穴を掘ってしまった。試合終了と同時に喜びを爆発させる彼を、報道陣が取り囲んだ。いつも取り巻きにチヤホヤされている上、「監督とは批判される職業だ」ということを理解していない神様は、最近のマスコミの報道に腹を立てていた。たぶん、「勝ったら、うっぷんを全部ぶちまけてやろう」と思っていたのだろう。そしてそれを予想していたビラルドは、すぐにマラドーナの頭を抱きかかえて、「やった、勝った、よくやったディエゴ」と叫んで彼の口をふさごうとした。しかし、人の口に戸は立てられないのだから、神様の口はなおさらだ。なんと報道陣に向かって、「キンタ○、シャブってろ」という暴言を吐いた。そしてこのキンタ○発言は、生中継でお茶の間に届いたのだ。
「キンタ○、シャブってろ」は、売り言葉に買い言葉で使われる下品な決まり文句。マラドーナとすれば、普段使っている言葉を叫んだにすぎないのだろう。しかし、代表監督が報道陣を侮辱したこと、さらにそれがテレビで流れたことで問題は大きくなった。マスコミは明らかにマラドーナに対して敵意を見せるようになったし、さまざまなアンケートでは国民の83~88パーセントが監督更迭を望むようになった。それでもマラドーナはひるまず、翌日のテレビインタビューでは、「(キンタ○発言をしたことを)女性の皆さんには謝罪するが、マスコミに対しては謝らない」と突っ張った。グロンドーナ会長はマラドーナ擁護の立場をとっているものの、これはポーズに違いない。監督のクビをいちばん切りたがっているのは、彼なのだから。しかしここで攻撃に回ると、泥試合になったり印象が悪くなるなどの考えがあったのだろう。そして、この問題はFIFAが取り上げることになった。これこそがグロンドーナの謀略だとホルヘは思う。表では擁護しておきながら、裏では盟友のブラッター会長に「FIFAからペナルティーを与えてくれ」と頼んだのだろう。FIFAの規律には、「第三者への侮辱」という条項が存在し、これに該当すると最低2万スイスフランの罰金と出場停止5試合の処分になる。5試合も指揮が執れないのなら、監督交代もやむをえないという大義名分がつく。そうだ、きっとそうに違いない。ホルヘの望みは、まだ失われていなかったのだ。 |
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アウェーでウルグアイを破り、南アワールドカップ出場を決めたアルゼンチン。
だが、マラドーナ監督の指揮はこの試合が最後となるのだろうか? |