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生まれて初めて、ペアを組んでプレーするというゴルフをやった。ティーショットは2人が打ち、そこからは有利なボールを選んで交互に打っていくという方式。ゴルフ番組などでは見かけるが、日本では一般のゴルファーがこのプレーをすることはまずないのではないか。なぜなら、金がもったいない。普通のゴルフをしようがペアでプレーしようが、ゴルフ場には関係ないことなので、当然グリーンフィーは同じ。となると、交互に打つシステムでは1人のストロークが普通の半分近くになってしまう。これでは、損した気になる。さらに、月に1回とかふたつきに1回しかプレーできないと、久しぶりのゴルフをたっぷり楽しみたくなるのが人情。だからペアのプレーに興味があっても、実際にはできないようだ。
ところがゴルフ環境のよいブエノスアイレス近郊では、ゴルフ好きは毎週コースに出ている。日本みたいにバカ高い会員権制度がないので、身分さえしっかりしていれば、ちょっとした入会金だけで会員になれる。この入会金が2,000ペソ(約60,000円)前後で、日本の感覚だと180,000円くらいだろうか。日本は会員権が高く、会費が安く、(会員の)グリーンフィーが高いが、アルゼンチンはその逆。月々の会費は250ペソ(約7,500円)前後で、これは日本の22,000円くらいとちょっと高い。しかし会員になれば平日は無料、週末や休日は15ペソ(約450円=日本の感覚の1,200円程度)でプレーできる。毎週土日にプレーしても、会費とグリーンフィーのトータルは、250+15×8回の370ペソ(約11,100円)。日本の価値に置き換えると35,000円以下で、月に8回も楽しめるのだ。ホルヘのゴルフ仲間にも、土日と休日のたびに行っている人が何人もいる。会員になったら、月に4回以上行かないと損をする。3回以下なら、非会員でビジター料金を払っていたほうが安いのだ。
まあこんな状況だから、普通のゴルフにもいい加減あきてしまうのだろう。そこで、たまに変わったシステムを取り入れることになるようだ。仲間内の大会に参加するためゴルフ場に着いたホルヘは、ここで初めてペアマッチだということを知った。これには、思わず尻込みした。なにしろ、ド下手なのだ。ペアを組んだら、絶対相手に迷惑をかける。うまい人と組んだら、相手の足を引っ張らないように気を使い、緊張して楽しめもしないだろう。しかし幸いなことに、ホルヘ並みに下手な人とペアを組むことになった。ハンディは、2人合わせて61という重量コンビである。改めてルールを説明すると、ティーショットは2人が打つ。そしてベターボールを選んで、そこから交互に打っていく。しかし、われわれのティーショットはOBだったり水に入ったりで、ベターボールが存在しないこともしばしば。このルールに欠陥があることを明らかにしたのだった。
この大会が行われたのは、エスペランサ(希望)という韓国系のゴルフ場。ブエノスアイレスには、東京の上野のような雰囲気をもつ「オンセ」という繁華街がある。この周辺は衣料品店が多いのだが、その多くが韓国人の経営。ブランド品が安いと評判で、大型バスでツアーを組んだ地方の業者が買い付けに来る。先日、テレビニュースで「ニセモノ天国」といってオンセのことを取り上げていた。そう、ここのブランド品のほとんどはニセモノなのだ。ADIDASをADIDOS(アディドス)とかいうレベルではない、完全なコピー商品。ホルヘのアミーゴが韓国へ行ったとき、市場で安いブランド品を見つけた。「これ、ニセモノでしょ」と聞くと、「ニセモノ違う。ホンモノと同じに、イッショウケンメイ作った。だから、ニセモノ違う」と答えたそうだ。ホンモノと寸分の違いもなく精巧に作れば、それはニセモノではないというわけだ。彼らにとってニセモノとは、ブランドのマークを入れただけの粗悪品のこと。だから一生懸命作ったコピー商品は、「ニセモノではない=ホンモノ」として堂々と売られている。
最近は、韓国人より目立つのが中国人。街中の中小規模のスーパーはほとんどが中国系だ。彼らの本拠地であるチャイナタウンで、先日麻雀賭博が摘発された。掛け金が日本の暴力団並みに高額だったので驚いた。それだけもうかっているのだろう。さらにアルゼンチン政府が中国政府と協定を結び、中国の通貨「元」をドルに準ずる扱いにするとかいうニュースも流れた。1部リーグのバンフィルに、中国選手が入ったという話もある。しかしこれだけ勢いのある中国人だが、不思議とゴルフ場で会ったことがない。そういえば、PGAツアーでも中国選手の名前を聞いた記憶がない。ひょっとすると、中国人はゴルフが嫌いなのかもしれない。これは、中国を理解するための興味深いテーマになりうる。実はホルヘ、吉川英治の三国志を読み終えたばかりで、かなり中国に傾倒しているのだ。 |