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ホルヘ・三村

南米通信 ~ラ・ビダ・デ・ホルヘ~

ホルヘ・三村
1960年10月23日生まれ。東京都出身。元々の南米サッカー好きが、89年のコパ・アメリカ取材を契機に沸騰。91年、気がつけば職を捨て、単身エクアドルに立っていた。現在はアルゼンチンのブエノスアイレスを拠点に、コパ・リベルタドーレス、コパ・アメリカ、ワールドカップ南米予選や各国リーグを取材している。そのかたわら、酒を中心とした南米各国のナイトライフにも造詣が深い。というよりそれに溺れ、酒とサッカーの日々を送っている。

アルゼンチン

■ケータイ事情あれこれ

2009.4.20

 ストライカーDXのワールドサッカー通信局に執筆しているのは、各国でサッカー留学やコーチ修行をしている人たちがメイン。自分が体験している各国の現場の状況をレポートしているのだから、大方の読者であるサッカー選手には有意義な情報だ。そこへいくと、ホルヘのコラムはどうだ。たまに真面目な試合レポートもあるが、ほとんどが私生活の失敗談。サッカー選手のためになる情報など、ほとんど発信していない。しかしこれが意外と、業界の人には受けているのだ。マスコミを中心としたサッカー業界には、ホルヘのコラムファンが少なからずいる。Jリーグやヨーロッパのサッカーを追っかけている人には、南米のバカ話が面白いようだ。ホルヘは過去に、月刊のサッカー雑誌でも「ラテンの魂」というコラムを連載していた。その内容はここと変わらず(いや、もっとひどかったか)、イボ痔の話や新米を食い損ねた話などくだらないことばかり。そしてこのコラムが、下記のウェッブで再掲載されている。くだらないが面白いので、是非ご覧いただきたい。
http://footballlife.jp./pc/

 さて、ここからが本題。先日、ペポという太ったマスターがやっているバーへ行った。店の名前は、ラ・バンダ。英語のバンドと同じで、バンダはグループや帯という意味。ただしこの店のバンダが指しているのは、ユニホームの左肩から右下へつながる赤い帯のこと。つまりここは、リーベルサポーターの店なのだ。ホルヘの目的は、ここでリーベルのチャントのことを聞くためだった。ところで、チャントという言葉は、いつごろからサッカー用語として定着したのだろう。実はホルヘ、数カ月前までこの言葉を知らなかった。それはともかく、ペポは親切な男で、快く質問に答えてくれた。自分で分からないことがあれば、ケータイでアミーゴに聞いて調べてくれた。おかげで、疑問はすべて解決。グラシアス、ペポ!

 アルゼンチンでもケータイはすごく普及しているが、報道によると、昨年は7分に1台のペースでケータイが盗まれたという。どうやら、大がかりな犯罪シンジケートがあるようだ。子供たちがカッパライや置き引き、恐喝で盗んできたケータイを業者が買い取り、チップ交換して再び店頭で販売するというシステムになっているらしい。そういえば、中古や格安のケータイを売っているショップを目にしたことがある。テレビのニュースクルーが、このようなショップがたくさん入っているテナントビルを直撃取材した。すると、まだ陽も高いのに、「閉店、閉店」と軒並み店を閉めてしまった。確実に、盗品を売っている。ホルヘの老母が先日、バスの中にケータイを忘れたが、届けたらちゃんと出てきた。アルゼンチンならすぐに売られてしまう。やっぱり、日本はいい国だ。

 ホルヘのケータイデビューは遅く、アルゼンチンで06年7月、日本では07年12月となっている。なぜ、いい大人がケータイを不携帯だったかというと、嫌いだったからだ。しかし、ついに持たねばならなくなった。これもご時勢だ。今はローミングだかなんだかをすれば、世界中で使える機種があるらしいが、ホルヘは両方の国で別のケータイを使っている。メールを打つ場合は、やはりその国の言語のワープロ機能がついていたほうが便利だ。そうでないと、スペルを1文字ずつ打っていかねばならない。しかし日本のテクノロジーのこと、最新の世界対応機種はスペイン語のワープロもついているのかもしれない。

 アルゼンチンにいるときはケータイメールをたまにするが、日本ではほとんどしたことがなかった。仕事上の連絡はPCメールで充分だし、急ぎの場合は電話で話せばいいと思っていたからだ。また、あの小さなボタンをピコピコ押すのも面倒くさい。だから、電車の中や飲食店で頻繁にメールのやりとりをしている人を、バカじゃなかろうかと思っていた。しかしそんなホルヘに、今回の日本滞在中、女性のメル友ができた。はじめは用件だけの短いメールだったが、だんだん内容が長くなりメールのキャッチボールになっていった。今までバカにしていたことだが、やってみると面白い。慣れない長文メールを打ち、指がツリそうになったこともあるほどハマった。

 そのメル友たちは、ホルヘの帰国に際し送別会を開いてくれた。そして、悪夢はここから始まった。送別会の翌日、「お別れのとき、あの人とはハグしたのに、どうして私としないのよ」という抗議メールが届いたのだ。他意はないと返信しても、「許せない。謝れ」という。このようなメールが、なんと出発当日の未明まで続いた。こうなると、もはや完全な迷惑メールである。もしホルヘのケータイが世界対応の最新機種だったら、このメールはアルゼンチンまで追いかけてきただろう。旧型のケータイで本当によかった。

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