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先週はセマナサンタ(聖週間)だった。これはキリスト教の儀式というかお祭り。十字架にはりつけとなって死んだキリストが、3日目に生き返ったことを祝うものだとか。この生き返った日が復活祭。これは必ず日曜日。ただし春分の日の次の満月の後の日曜日、という定義なので、3月になったり4月になったり日にちは決まっていない。そして、木曜日からお祈りとかが始まって、なにやら町が宗教っぽくなる。セマナサンタでの習慣というか決まり事は、肉を食べないこと。本来は木曜日から土曜日まで肉を避けるのだが、金曜日だけにするのが一般的なようだ。その肉も、「鶏肉と豚肉はいい」とかいう人がいて、よく分からない。またカトリック色の強くないウルグアイでは、最近はセマナサンタをバケーション週間と呼ぶことが多い。このように、国や人によってセマナサンタのとらえ方は少しずつ違っている。しかし数年前アルゼンチンで、「セマナサンタに肉を売るとは、許せん!」とマクドナルドが襲撃されたことがある。
カトリックとは無縁の上、多少へそ曲がりのホルヘは、同好の士を集めてしばしばセマナサンタの金曜日にアサードをやる。今年もアミーゴの家でやった。アサードとは、アルゼンチン式(他の南米各国にもあるが)バーベキューのこと。罰当たりなことだ。オキにした炭火の上で、肉のかたまりを2時間以上かけてじっくり焼く。アバラ肉など脂肪の多い部位から溶けたアブラが、炭火に落ちてジュウジュウと煙る。この煙がカトリックの過激派に見つかったら、襲撃されるかもしれない。そんなことを考えると、なにやら秘密のパーティーみたいで面白い。味付けは塩とコショウだけ。これに「チュミチューリ」なる薬味をつけて食べる。この薬味がまたウマい。それぞれのレストランや家でオリジナルの作り方があるが、ホルヘ式は次の通り。タマネギ、ニンニク、赤ピーマン、パセリ、唐辛子をみじん切りにする。これらを混ぜてサラダ油をヒタヒタに注ぎ、色付けの粉末パプリカ、乾燥オレガノを加え、塩と酢で味付けする。分量は適当。肉料理なので酢があったほうがサッパリしていいのだが、酢を少量にしたり入れなければ、パスタや他の料理にも使える。ぜひ、お試しあれ。
アルゼンチン人は、とにかくアサードが好きだ。だから、ほとんどの家にアサード用の焼き場がある。もちろんサッカークラブにもあって、練習後にみんなで食べる。彼らにすれば、これがスタミナの素、というわけだ。アサードとは、直訳すれば「焼かれた」という意味。「焼く」「焼いた」と取ってもいいだろう。ヤキトリとか焼魚、焼ソバなど食材を一切示さず、「焼く」だけで焼肉のことにしてしまうのだから、考えてみればずいぶん荒っぽいネーミングだ。ちなみに、肉の部位にもアサードという名前のものがある。これは、骨付きのアバラ肉。アサードは「焼かれた」という意味だといったが、アバラ肉のアサードは、生でもアサードだからややこしい。
セマナサンタ最後の日曜日、すなわち復活祭に、アルゼンチン人のカブレラがゴルフのマスターズで優勝した。日本では、石川遼の出場で開幕前から盛り上がり、大会が始まってからは片山晋呉の大活躍でヒートアップしたはず。ホルヘは最終日にスペイン語版ESPNで見ていたが、4位となった片山が映ったのは2度だけだった。スペイン語圏とアメリカの有名選手以外は、ほとんど相手にされていなかった。片山は16番と18番のパットが紹介され、パットを決めて喜ぶシーンで、「まるで、サッカー選手みたいなパフォーマンスですね」といわれていた。
優勝したカブレラは、2年前の全米オープンも制した実力者。しかし、アルゼンチンでは一般の人にとって、ゴルフはあまり親しみがないスポーツだ。したがってこの優勝も、それほど騒がれていない。下手の横好きでゴルフをやるホルヘは、たまに打ちっ放しの練習に行く。ここは本当の打ちっ放し。なにしろ距離が約300ヤードあり、フェンスの向こうはラプラタ川になっている。そこへ目がけて打つのだから気持ちいい。ただし、隣の打席に怪力アルヘンティーノがいて、フェンスをバシバシ直撃されると嫌になる。ここでは、何度もサッカー選手に遭遇した。ラモン・ディアスがリーベルの監督だったころ、自分が好きなこともあり、「ゴルフは精神修養にいい」とかいったらしい。それで、リーベルの選手がよく来ていた。また、サッカー選手にゴルフ対決をさせるバラエティー番組をそこで収録していたこともあった。いずれの選手も、足でボールを扱うようにいかず四苦八苦。ホルヘでも勝てそうなのが5人はいた。そのうち、真剣勝負のラウンドを申し込んでやろうかな。 |