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ホルヘ・三村

南米通信 ~ラ・ビダ・デ・ホルヘ~

ホルヘ・三村
1960年10月23日生まれ。東京都出身。元々の南米サッカー好きが、89年のコパ・アメリカ取材を契機に沸騰。91年、気がつけば職を捨て、単身エクアドルに立っていた。現在はアルゼンチンのブエノスアイレスを拠点に、コパ・リベルタドーレス、コパ・アメリカ、ワールドカップ南米予選や各国リーグを取材している。そのかたわら、酒を中心とした南米各国のナイトライフにも造詣が深い。というよりそれに溺れ、酒とサッカーの日々を送っている。

アルゼンチン

■岡ちゃんに笑顔を

2009.4.1

 野球のWBCは、ESPN2でおもに放映されていた。ESPNとESPN+は見られるのだが、このESPN2というのは、アルゼンチンではほとんど受信できないようだ。ようするに、野球に興味のないアルゼンチンにWBCを流しても意味がない、との判断だったのだろう。しかしうれしいことに、準決勝からはESPNでも放映したので、優勝の瞬間はリアルタイムで見ることができた。アルゼンチンには衣料関係の仕事をしている韓国人が多数いるが、翌日は彼らの機嫌が悪かったこと。負けた相手がアメリカやキューバならそれほどでもないが、やはり日本には、特別な意識を持っているのだ。その一方でアルゼンチン人のほとんどは、日本が優勝したこともWBCなんていうものが行われていたことも知らない。こんな状況では、オリンピック競技への復帰は非常に厳しい。頂点を決める大会を開くだけでなく、もっと普及に力を注ぐ必要がありそうだ。

 プロ野球レベルでいうと、韓国は日本の野球をお手本にして成長してきた。守備を重視し、攻撃ではチームワークを前面に押し出した緻密なスタイル。これに対しアメリカやキューバ、ベネズエラなどは、まず選手ありきでチームはその次といった感がある。プレーは大胆というか、悪くいえば大雑把。したがって打線がつながりにくい。この点日本や韓国は、打てなければ打てないなりに何とかしようと試みる。そして、そこから勝利につなげることもある。チームにいるバリバリのメジャーリーガーの数でいえば、日本や韓国は大したことがない。つまり、選手の質では劣っている。それでも、緻密な野球でアメリカやキューバを難なく下した。これならばサッカーも行けるのではないかと思ってしまうが、残念ながらそうはならない。サッカーは野球と違って代表チームの試合が多いので、WBCのような即席チームにならず、質の高い選手をそろえた代表もチームワークに問題はない。さらに接触プレーや1対1での争いが多いサッカーでは、野球とは比較にならないほど選手の質が勝敗に影響する。能力の低い選手がチマチマと緻密なサッカーをやっても、悲しいかな通用しないのだ。したがって、少なくとも今の段階では、侍ジャパンに続くことはできない。いつかそのうち、地球が崩壊するまでには、1回ぐらいワールドカップを制してもらいたいものだ。

 今まで、ボンボンとか甘チャンというイメージが強かった原辰徳監督は、WBCの優勝で男を上げた。これに対し、我らが岡田武史監督の華のなさといったらどうだ。会見での仏頂面というか不景気顔を見ていると、「きっと、株で大損したんだな」などと余計な想像をしてしまう。可愛らしさも笑顔もあった岡ちゃんブームのときと比べると、別人のようだ。最近は代表の試合に観客が入らないそうだが、指揮官があれでは人気も下がるだろう。人気と実力のどちらが重要かといえば、それは実力だ。しかしホームのバーレーン戦にFK一発で辛勝しているようでは、実力もそれほどあるとは思えない。指揮官として突出した能力がないのなら、少しは代表の人気や営業面についても考えてもらいたい。本筋ではないが、それも代表監督の務めであろう。とにかく、まずは笑うところからだ。幸せは、笑顔の先にある。いっそのこと、協会とマスコミがタッグを組んで、“岡ちゃんを笑わせる会”でも作ったらどうだろうか。岡田監督も、笑えば楽になると思うけどな。

 仏頂面の監督といえば、元アルゼンチン代表(現チリ代表)のビエルサを思い出す。徹底したマスコミ嫌いで、会見でも当たり前のことを二言三言いうだけ。怒ったマスコミが、「代表監督は、もっと国民に伝える義務が有る」とかみつくと、延々3時間に渡ってボソボソとしゃべりっぱなしの嫌がらせ会見を行った。とても付き合っていられずに、多くのマスコミが途中で退席。これで、「ビエルサは変人」というイメージが定着した。こんな調子だから人気はなかったものの、当時のワールドカップ予選において攻撃的サッカーで圧倒的強さを誇ったため、サポーターからの評価は高かった。チリ代表を率いている現在も地元のマスコミからは毛嫌いされているが、ワールドカップ出場圏内にチームを引き上げて実力者ぶりを発揮している。

 実力は未知数(テストマッチは2勝)ながら、人気が先行しているのはマラドーナ監督。国民的ヒーローという素材も人気の一因だが、もうひとつの要因は彼のオープンな性格。取材規制はほとんどなく、選手への単独インタビューも自由。これによりマスコミのネタは豊富になり、さまざまな情報がサポーターに届く。こうして代表の人気は、近年まれに見るほど高まっている。公式戦初さい配となる注目のベネズエラ戦。これからホルヘも取材に向かう。

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