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ホルヘ・三村

南米通信 ~ラ・ビダ・デ・ホルヘ~

ホルヘ・三村
1960年10月23日生まれ。東京都出身。元々の南米サッカー好きが、89年のコパ・アメリカ取材を契機に沸騰。91年、気がつけば職を捨て、単身エクアドルに立っていた。現在はアルゼンチンのブエノスアイレスを拠点に、コパ・リベルタドーレス、コパ・アメリカ、ワールドカップ南米予選や各国リーグを取材している。そのかたわら、酒を中心とした南米各国のナイトライフにも造詣が深い。というよりそれに溺れ、酒とサッカーの日々を送っている。

アルゼンチン

■壮大な選手育成プロジェクト

2009.2.27

 2月19日、マラドーナの孫が誕生した。“クン”・アグエロと、マラドーナの次女ジャンニーナとの間に生まれた第一子だ。3660グラム、身長50センチ。性別は男でベンハミンと命名された。サッカーの神様と現役アルゼンチン代表のDNAを受け継ぐサラブレッド中のサラブレッド。気の早い人間は、「2034年から44年のワールドカップは、ベンハミンの活躍で3連覇する」などとはしゃいでいる。出産予定日は27日だったが、初産なのに約1週間早く生まれたのも、オフサイド気味に反応する攻撃型選手の血筋からなのかもしれない。しかし、母親のジャンニーナがスポーツウーマンでないことは不安材料。これは、その母親であるマラドーナの前妻クラウディアから引き継がれたもの。やはり両親がそろってスポーツ選手でないと、マイナスの遺伝子が現れることもあるわけだ。ハンマー投げの室伏のように、両親が優れた投てき選手であれば、プラスの遺伝子がガバっと入ってくるは当然だ。

 日本サッカー協会は、何十年構想とかいって、将来的に日本のサッカーレベルを世界のトップクラスにすることを目標にしている。それに向けてキッズからの育成とかさまざまなことを行っているが、より本気で取り組むのなら、そこに遺伝子の操作も加えるべきだろう。遺伝子の操作といっても、クローンとか非人道的なことではない。お互いの合意というか、お互いの意思、あるいは恋愛感情によって、優れたサッカー選手同士を結婚させることだ。例えば、代表の中澤と女子代表の荒川が結ばれていれば、男であろうと女であろうと、ものすごいボンバーヘッド2世が誕生したであろう。俊輔と澤の子供なんかは完璧な10番で、しかも両利きということになりそうだ。日本人はただでさえ体力的に劣るので、世界のトップを目指すには、生まれながらに優れた選手を作ることが大切だと思う。

 ヨーロッパや南米でも、サッカー選手とタレントのカップルは多い。アルゼンチンでは、サッカー選手好きのタレントを指す、ボティネーラ(スパイクガールみたいな意味)という言葉まである。高収入なうえ鍛え上げられたボディーを持つスター選手はモテモテで、女性タレントのほうから寄ってくるのだ。しかし外国がそうだからといって、日本も同じことをしていたら差は縮まらない。

 結婚は個人の自由だ。周囲が強制することはできない。ホルヘのような独身主義者もいる。また、仕事と家庭は割り切りたいから、サッカーに興味がない嫁さんがいい、という選手だっているかもしれない。したがって、選手同士を結びつけるのは簡単ではない。しかし協会が音頭をとって、「自分の子供にワールドカップ優勝の夢を託す」という啓蒙運動を進めれば、選手の意識も少しは変わるはず。とにかく、何もしなければ現状のままだ。ホルヘが通っていた高校の体育教師は、身長が低く、それが悩みの種。そして自分の子供には同じ思いをさせまいと、自分より背の高い女性を結婚相手の第一条件にした。果たして、その結果のみの夫婦が誕生し、子供も狙い通りに育ったそうだ。このように世の中には、ほれたはれたとか配偶者の容姿性格だけでなく、将来の子供のことを優先的に考えて結婚する人もいるのだ。

 したがってサッカー協会も、この可能性に賭けてみる価値はある。Jリーガーとなでしこリーガー、あるいはその下のカテゴリーの独身選手を対象に、協会主催でお見合いパーティーや合コンを企画する。合わせて、サッカーに秀でた遺伝子をもつ者同士が結婚すれば、その子供は素晴らしい選手になる確率が高いと説明。サッカー選手同士で結婚し自分の子供を世界的な選手に育てたくはないかと問いかけ、日本サッカー発展のためには皆さんの協力が必要だと訴える。さらにカカーやC・ロナウドの両親が、息子のおかげで豪邸に暮らしフェラーリに乗っているとかいう情報があれば、それを披露して射幸心をあおる。こんなことを続けていれば、その気になって結ばれるカップルもあるかもしれない。

 こうして生まれた2世同士が将来的にまた結婚すれば、その子供にはより強力な遺伝子が組み込まれる。50年後の日本代表に、こうした選手が何人かでもいるように、協会は速やかにブライダルプログラムを立ち上げるべきであろう。

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