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ホルヘ・三村

南米通信 ~ラ・ビダ・デ・ホルヘ~

ホルヘ・三村
1960年10月23日生まれ。東京都出身。元々の南米サッカー好きが、89年のコパ・アメリカ取材を契機に沸騰。91年、気がつけば職を捨て、単身エクアドルに立っていた。現在はアルゼンチンのブエノスアイレスを拠点に、コパ・リベルタドーレス、コパ・アメリカ、ワールドカップ南米予選や各国リーグを取材している。そのかたわら、酒を中心とした南米各国のナイトライフにも造詣が深い。というよりそれに溺れ、酒とサッカーの日々を送っている。

アルゼンチン

■南米では見かけないミス

2009.2.10

 フィンランド戦の失点は、GK都築がCKのボールをファンブルしたことで生まれた。似たようなケースは、川口も何度かやっている。絶対ないとはいわないが、南米ではまず見かけないミスだ。なぜなら、相手と競り合うケースでは、キャッチにいかずパンチングで処理するからだ。これなら、ファンブルが起こらない。

 日本では、GKの基本はキャッチということになっている。練習でも、正面のボールのキャッチから入るのが一般的。とにかく、ボールをつかむことが大切なのだ。GKがボールを持った状況が最も安全だし、そこからのパスで攻撃に転じることもできる。だから、取れそうなボールをパンチングで逃げたりすると、コーチから怒られるし、味方DFからも、「今のは取れるだろ」と文句をいわれたりする。だから、GKはひたすらキャッチングにこだわる。そして、強いシュートや難しいボールもキャッチできることが、優れたGKの要素だと考えられるようになった。

 キャッチングを否定する気はないが、キャッチにいってファンブルした場合の危険をもっと考える必要があると思う。難しいボールを次々とキャッチしても、たまにファンブルから失点するGKはいかがなものか。この場合のファンブルは、相手へのアシストに他ならない。こうしたミスを避けるのは、判断力だという。取れるか取れないかを判断し、的確に処理すればミスは起こらないはずだ。しかし、この判断を瞬時にすることは非常に難しい上、判断できても対応が間に合わないことがある。だから、日本代表のGKだってミスをしてしまうのだ。基本がキャッチなのだから、練習でもそれに時間をかける。すると身体はボールに対して、まずキャッチしようと反応する。頭の中で、「難しいボールだからパンチングだ」と判断するのはその後のこと。だから、修正が間に合わないこともある。

 元コロンビア代表GKイギータの練習を初めて見たときは驚いた。アップ程度の、正面への弱いボールも、すべて手の平ではじき返していた。キャッチする気はさらさらない。南米の他のGKも、イギータほどではないが、練習のときからパンチングを多用する。日本と違い、基本はパンチ、といった感じだ。当然、試合でもパンチングが多い。実際に彼らに質問すると、「取れるボールは取るけど、取れないのははじくしかないじゃないか」という感じで、まともな答えは返ってこない。要するに、無意識の自然体ではじいているのだ。たぶん、キャッチよりはじくほうが簡単だという理由で、子供ころから続けていることが身についたのだろう。

 だとすれば、まず彼らの体は、ボールをパンチングしようと反応するはずだ。そこから、「これは取れる」という判断を下してキャッチする。つまり、日本とは逆になる。都築がミスしたようなクロスの場合は、南米式のほうが明らかに有利だろう。ジャンプしながら腕を曲げてパンチング準備をしていても、そこから手の平を開いて腕を伸ばしてキャッチに変更できる。しかし日本のように、はじめからボールをつかみにいくと、腕が伸びきってしまって、途中からパンチングに変えにくい。変えられたとしても、強くははじけない。同じようなミスを繰り返さないためにも、少なくともクロスに関しては、基本はパンチングにするべきではないだろうか。

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