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昨年8月にギックリ腰となり、それが10月末に座骨神経痛へと進み、激痛で左足が動かなくなった。この件は以前のコラムで書いたので詳細は省くが、とにかく大変な思いをした。座骨神経痛は、病名でなく症状だ。つまり発熱みたいなもの。インフルエンザや麻疹(ましん)などの原因で発熱という症状が出るように、座骨神経痛にも原因がある。それは、一般的には椎間板ヘルニアや腰椎すべり症などらしい。これを正確に特定するには、MRIとかCTスキャンでの検査が必要になる。
しかしホルヘは、座骨神経痛で苦しんでいるとき、こういった検査は受けなかった。その理由は、早く痛みを取りたかったから。過去に何度か経験したギックリ腰では、針や整体で楽になった。これまで幸運だったのは、ギックリ腰になったのがいずれも日本滞在中だったことだ。腕の良い、あるいは評判の良い鍼灸師や整体師、柔道整復師がたくさんいる。彼らの治療を受けると、ハッキリと実感できるほど痛みが軽減する。したがって今回も、アルゼンチンの日系人鍼灸師と整体師の世話になった。しかし残念ながら、劇的な効果は実感できなかった。これは、たぶんホルヘが重症だったからなのだろう。彼らの評判はよく、「車イスで来た患者が歩いて帰った」という話も聞いている。この名医たちが共通していうのは、「(ホルヘの)背中から腰がガチガチだ。ちゃんと検査を受けたほうがいい」というもの。しかし、徐々にではあるが痛みは軽くなってきたし、帰国も近づいていたので検査は日本で行うことにした。
さて、問題はここからだ。12月の末に総合病院の整形外科へ行った。この時点では痛みは消えていたが、左足にしびれが残っていた。過去の腰痛歴から現状を説明し、レントゲンを撮ることになった。その結果は、「若干の腰椎すべり症があるかもしれないが、大した問題はない。MRIとかで検査する必要はない」とのこと。さらにしびれについては、「痛みが引いてからしびれだけが残るのは、よくあること。とりあえず、様子をみましょう」ということで、治療などは一切なし。運動についても、無理をしなければOKといわれた。「これはひどい。手術しなければだめだ」という最悪の事態を心配していたので、「問題ない」といわれて大いに安心した。しかしそれと同時に、納得できない思いにも見舞われた。それは、問題がないにもかかわらず足がしびれていて、しかもそれを治す治療をしない、ということについてだ。
そんな思いのまま街を歩いていると、突然「シビレ」という文字が目にとまった。それは整骨院の看板で、「痛み、シビレを取り除きます」というものだった。そしてホルヘは、その文字に誘われるようにフラフラと接骨院の中に入った。それほど、足のしびれが気になっていたのだ。「整形外科ではああいうけど、日本の整骨院はどう診たてるか」ということも知りたかった。するとアルゼンチンと同じように、「背中と腰がガチガチになっている」といい、さらに「酷使されて、腰はネンザしたみたいに痛んでいる。いつギックリ腰や座骨神経痛になってもおかしくない状態」だという。整形外科の見解と全然違う。そして、「暖めるな、風呂もマッサージもダメ。運動も控えて」という指示。治療は、「とにかく筋肉を正常な状態に戻すこと」ということで、EMSの機械で筋肉を刺激し、その後はベッカムも治療に使ったという電気棒(名称不明)で細胞を活性化するのだそうだ。この電気棒がすごく痛い。しかし、痛いほうが効いている気がするし、「筋肉が正常になれば、この痛みが消える」といわれると、ガマンもできる。
「やっぱり、重症だったのか」と思いながらこの整骨院に通っていたが、ある日行きつけの飲み屋で、別の整骨院の院長に会った。彼もサッカー好きということで話が弾み、「じゃあ、今度行くから」という約束をした。この整骨院は機械も使うが、院長自らの手で念入りにマッサージだか指圧だかもしてくれる。そして、「体が硬いので、風呂上りにストレッチしてください」という。さらに「腰はたいしたことない。今度サッカーの試合がある? 出ていいですよ。がんばってください」とのこと。前の整骨院とは大違いだ。一体どちらが正しいのか。治療法が違うのはある程度理解できるが、診たてがここまで違うとは驚きだ。今のところ軽症が2票で重症が1票。念のためもう1個所行こうと考えているが、そこで3対1になればいいものの、2対2になったら、さらに数個所で診てもらい白黒をつけなければ安心できない。なんだか、えらく面倒なことになってしまった。 |