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ワールドカップ南米予選の第9節と第10節が連続して行われた。10カ国による総当りなので、第9節で一巡目が終了し、第10節からが後半戦となる。第9節の注目カードは、アルゼンチンvsウルグアイのラプラタ川クラシコ。この試合、ウルグアイはセレステ(空色)のファーストユニホームを使用し、アルゼンチンがセカンドの紺色を着用した。アルゼンチンのファーストはセレステに白の縦ジマなので、両者がともにファーストを着たらまぎらわしい。しかし長い間このクラシコは、その紛らわしいユニホームで行われてきた。国旗をデザインしたファーストこそが、チームの象徴であり、プライドの表れでもあるからだ。ところがFIFAの規定でそれが許されなくなり、ワールドカップ予選ではハッキリと識別できるものを着るようになった。さらに最近では、FIFAとは関係のないCONMEBOL主催のコパ・アメリカでも、同様の措置がとられている。何か、またひとつ伝統が破壊されたような気がする。
アルゼンチンは左からテベス、アグエロ、メッシと並べた「チビッ子」3トップが功を奏し、5分にメッシ、13分にアグエロが決めて2点を先取。その後30分過ぎからウルグアイが荒いタックルで応戦し、試合が乱れ始める。これは、このクラシコの定番でもある。ウルグアイが1点を返して後半に入ると、両者はケズリ合いに終始。当然のごとくサッカーにはならず、ウルグアイのパスが4本続くのは珍しい、というような展開になった。センターフォワードのアグエロはほとんどボールに触れず、メッシはタックルを恐れて逃げるドリブルしかできなかった。しかしそれでも、5試合ぶりの勝利で勝ち点3を手中にした。
続く第10節、チリに乗り込んだアルゼンチンは、ゲンを担いでまたも紺色のユニホーム。しかし、その効果はなかった。シュートチャンスの回数がチリの8回に対してわずか2回というお粗末さで、スコアは0-1ながら内容でも完敗を喫した。リケルメとテベスが警告の累積で出場停止だったとはいえ、チリも同じくベストメンバーではないので言い訳にはならない。この結果、アルゼンチンはチリに勝ち点16で並ばれ(得失点差で3位)、翌日、バシーレ監督は辞任した。今後、勝利が確実視されるのはホームでのベネズエラ戦、ペルー戦のみ。当確ラインが勝ち点28~29まで上がると、厳しい状況となる。
首位のパラグアイは、第9節、アウェーでコロンビアに苦戦。新監督の下で攻撃的になったコロンビアから波状攻撃を受ける。しかし、カバーニャスのロングシュート1発で勝利をつかんだ。これは、どう見ても右サイドからのクロスがアウトにかかって偶然ゴールに入ったようなのだが、本人は「狙って蹴った」といっているらしい。勝てば官軍だ。続く第10節もホームでペルーを1-0で下し、勝ち点を23に伸ばした。ブラジルはアウェーのベネズエラ戦を4-0と大勝したものの、第10節はホームでコロンビアとスコアレスドロー。これで、パラグアイの1位突破が現実味をおびてきた。
第10節、テレビ観戦を決め込んだホルヘは、ブエノスアイレスのエクアドルレストランに足を運んだ。ここは、つい最近知った店。前回のコラムで書いた、サルサのコンサートによって縁ができたのだ。第10節は14日の火曜日と15日の水曜日に行われ、15日に4試合が組まれた。そしてブラジルvsコロンビアと、ベネズエラvsエクアドルが同時刻だったため、テレビの生中継はブラジル戦だけとなった。しかしこのレストランでは、エクアドル戦をインターネットで見られるという。店内には大きなスクリーンがあり、エクアドルの試合のときにはエクアドル人が集まって観戦している。そこでブラジル戦は録画して、エクアドルの試合をみんなでワーワーいいながら応援することにしたのだ。ちょうど翌週からエクアドルに行くことになっていたので、その情報収集のためにも絶好のチャンスだった。
しかしエクアドル人だけが集まっているところに、ひとりだけ日本人が入ると浮いてしまう。彼らが作り出した雰囲気を壊すことになるかもしれない。そうならないようなるべく自然に、と思ったのだが、どう自然に振舞ったところで彼らは違和感をもつだろう。それならいっそ大胆にやってやれと、ホルヘはダボシャツに身を包んで乗り込んだ。この作戦は大成功。「なんだ、そのシャツ。面白いな」ということで、すんなりと溶け込めたのだ。ところが肝心の映像は、回線の容量が不足なのか途切れ途切れにしか映らず、そのため画面でブラジル戦を見て、ラジオでエクアドル戦を聞くという変則スタイル。さらに試合は1-3で敗れ、新監督になってから続いていた6戦無敗の記録も途切れてしまった。試合終了と同時に客は店から引き潮のように去っていき、最後まで飲んだくれていたホルヘは、マスターにタクシーで送ってもらうという幸運にありついたのだった。 |