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ホルヘの家は加入していないが、アルゼンチンでもNHKの国際衛星放送というのを受信することができる。たまに見るその放送やネットニュースで、水泳代表の結団式とか、バトミントン代表のユニホーム発表とか、トランポリン代表の壮行会などが報じられている。本当に、日本人はオリンピックが好きだと思う。アルゼンチンでは、こんなことはない。こちらで人気や期待が高いのは、サッカー、バスケ、ホッケー、テニス、ボート競技などだが、ニュースとなるのはメンバー構成(メッシ問題は大きなテーマとなった)や選手のコンディションがメイン。番外の行事は、ほとんど報じられない。
日本対アルゼンチン戦は、もちろん生中継された。アルゼンチンは調整が目的で勝負は度外視だったとはいえ、日本の善戦には驚いた。リケルメなどのオーバーエイジを含む強豪相手に、内容やチャンスの質と量がほぼ互角の戦いだった。マスチェラーノやガーゴが、意表を突かれて思わずファールをする場面もあり、「これは頼もしい」と喝采したものだ。しかしこの試合では、アルゼンチンのゆったりしたペースが日本に合っていたことも事実。本番の相手はもっとテンポが速くてガチガチくるはずだ。となると、なぜ最後のテストマッチにアルゼンチンを選んだのだろうか?
さてその翌日は、ガンバ対アルセナルのスルガ銀行カップ。日本では、29日の代表戦と31日のバイエルンやボーフムの試合の谷間なので、ガンバサポーター以外は興味を示さなかったと思う。この試合もアルゼンチンで放映され、解説者はGKの藤ヶ谷を絶賛していた。そして、「日本には、いつも素晴らしいGKがいる」と、日本のGK事情も説明。歴代代表GKが、過去のW杯で好セーブをしたことが記憶に残っている様子。フィールドでは、山崎と佐々木の評価が高かった。その他、明神や加地が元代表だとか、クラブの歴史なども伝えたが、やがて話すことがなくなったのか、大阪の人口密度まで説明しはじめた。「社会の授業じゃない。人口密度なんてどうでもいいだろ」と思うが、国土の広い国の人からすれば、日本の人口密集は興味深いものらしい。「1キロメートル四方に○○人(人数は忘れた)も住んでいるんですよ」と、すごいネタのように話していた。
ホルヘが以前から気になっていたことを、この試合でも眼にした。それは、負傷した選手を運ぶ担架の係員だ。この試合でも、高校生のアルバイト(どこかの高校のサッカー部)らしき人たちがやっていた。これはホルヘが気にしているだけではない。南米で数人から、「なんで、日本では子供が担架を運んでいるんだ」と聞かれたことがある。ピッチで倒れるサッカー選手の約9割が仮怪我(仮病に対して仮怪我)や軽傷かもしれないが、たまには重傷者も出るし、場合によっては生命にかかわるケースもありえる。それを運搬する係員が、少年というのはいかがなものか。「ただ担架を運ぶだけだ」といってしまえばそうだが、たぶん臨時のアルバイトなのだろう、運び方も危なっかしい。たとえ彼らがサッカー部のアルバイトでなく、看護科の学生の実習だとしても同じこと。少年に任せる仕事ではないと思う。
アルゼンチンでは、専用の低い台がついている担架用カートを使用している。これだと、選手を担架に乗せてから低い台に上げるだけなので、係員は2人で足りる。しかも係員は成人で、救急隊員のようなユニホームを着ていることが多い。日本の担架ボーイズとは、安心感、信頼感が違う。この国では、無料の公立病院よりレベルの高い医療制度として民間の医療保険が普及している。医療施設を組織化し、それを加入者(被保険者)が利用する仕組みだ。カートは、それらの保険会社の広告塔にもなっている。
日本でも、担架ボーイズからカートに切り替えたらどうだろうか。ピッチの中に車両の乗り入れ禁止という規則のスタジアムもあるらしいが、試合のときに数回入るだけなら芝生も痛むまい。カートは、屋根や側面に大きなロゴを入れることを条件に、自動車メーカーなどに寄付を頼む。電気自動車の開発に取り組んでいるメーカーにとっても、いい宣伝になるだろう。あるいは、つぶれたゴルフ場の競売品を改造してもいいではないか。係員は4人から2人になるので、人件費も浮く。成人を雇っても、アルバイトなら日給はそう変わらないだろう。とにかく、少年が担架を運ぶのは、非常に違和感がある。カートを使わなくてもいいから、担架ボーイズから担架メンに変えてもらいたい。担架メンなら、略称がタンメンということになり、どこかの即席中華麺メーカーが、ユニホームスポンサーになってくれるかもしれない。 |