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7月30日(水)に大阪で、スルガ銀行チャンピオンシップというものが行われる。これは今年から始まる大会で、ナビスコカップの王者とコパ・スダメリカーナの覇者が雌雄を決するもの。記念すべき第1回大会は、ガンバ大阪vsアルセナルの対戦となる。
実はホルヘ、この大会にちょっと関係しており、ポスターやプログラムに写真や原稿を提供している。そんなことから、最近は頻繁にアルセナルへ足を運んでいる。あちらは国際的に無名の小さなクラブなので、日本行きに舞い上がっており、ホルヘの訪問を大歓迎してくれた。
アルセナルが1部に昇格したのは02年のこと。それが決定した試合では、サポーターが飛んだり跳ねたりの大騒ぎをしたため、木造のスタンドが崩壊したそうだ。そしてそれを機に、鉄筋のスタジアムに建て替えられた。案内してくれた広報担当のロベルトが、「これは、ボカのスタジアムにもリーベルのスタジアムにもないものだ」といって自慢したのは、女性審判員用の更衣室。以前は審判といえば男性だったので、更衣室は一つあれば十分だった。しかし今は女性審判員も増えており、更衣室が一つしかないスタジアムでは、男女が交代で使用している。新しく造ったこのスタジアムには、時代に対応して女性用更衣室があるため、ここを会場として行われるレセルバの試合には、女性審判員が登場することが多い。
今回の取材では、逆に質問されることも多かった。大阪の物価や食べ物、ショッピング情報や京都観光についてである。日本滞在は3日間で、選手にはほとんど自由時間がないが、広報のロベルトやGMのカルロスは大阪探索に意欲的だ。質問されても、大阪をよく知らないホルヘは、「ウラカンにカトウっていう日本人選手がいるでしょ。彼は大阪出身だ。彼を獲得して連れて行ったらどうだ」と、口から出まかせで適当なことをいった。カルロスは、「それは面白い」などと答えていた、ような気がする。それから数日後、「アルセナルの新監督はモハメドか」というニュースが流れた。前任のアルファロ監督と再契約しなかったアルセナルが、新監督候補として、現コロン監督のモハメド獲得に乗り出したというのだ。このモハメドというのは、前ウラカン監督で、加藤を抜擢(ばってき)した人物。彼がアルセナルへ来れば、加藤の獲得も実現性を帯びてくる。まさにヒョウタンから駒、冗談から加藤。故郷の大阪へ錦を飾る日は近いぞ、と思ったが、モハメドはコロンに残留し、加藤もウラカンと再契約を結ぶという、面白みのない結果に終わった。
ロベルトからもう一つ頼まれたのは、あちらが作成した原稿の翻訳である。クラブの歴史や近況を説明したもので、日本語に訳したものを大阪で関係者やマスコミに配るのだという。難しいものではないので、ホルヘでも翻訳可能だった。しかし、ゴルフ仲間の一人が日系一世の翻訳家であることを思い出し、彼に仕事を回してあげることにした。出張中で多忙の中、彼は素早く対応してくれたが、「サッカー用語がわからないので、チェックしてくれ」と翻訳済み原稿を送ってきた。読んでみると、「02年、一級Aへ上昇」などとなっている。これは、「02年、1部へ昇格」のことだ。アルゼンチンでは1部リーグのことをプリメーラAといい、直訳すれば一級Aである。わからなくはないが、やはりおかしい。そんな個所がいくつもあり、それをホルヘが訂正して完成にこぎつけた。
今回のアルセナル取材で、ホルヘのコレクションがまた一つ増えた。そのコレクションとは、優勝カップ。正確には、優勝カップを持った写真を撮ることだ。これまでにも、コパ・アメリカ、コパ・リベルタドーレス(2回)、コパ・コンカカフ、以前のワールドカップであるコパ・ジュールリメ(レプリカ)を持って記念撮影をした。そして今度は、コパ・スダメリカーナである。選手が苦労して獲得した優勝カップを気安く扱うのは失礼だ、という意見もあるだろうが、気にしない。「楽して得とれ。コツコツやるヤツは、ご苦労さん」がホルヘの信条なのだ。手にしたカップは、予想以上に軽かった。コパ・コンカカフもそうだったが、ズシッとくる重さがない。歴史の深いコパ・アメリカやコパ・リベルタドーレスにはこのズシッがあるが、新しいカップにはそれが欠ける。これも時代を反映した、資源を節約するエコロジーなのだろうか。
若干の寂しさはあったものの、ホルヘはこれで5冠(コパ・リベルタドーレス2冠を合わせれば6冠)を達成。これだけの大会を制した選手はいないであろう。南米の大会の表彰式でカップを授与するコンメボルのレオス会長は、ジュールリメまでは手にしたとしても、コパ・コンカカフには手が届かないはず。となれば、ホルヘのこのコレクションは、ギネスものかも知れない。 |