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ホルヘ・三村

南米通信 ~ラ・ビダ・デ・ホルヘ~

ホルヘ・三村
1960年10月23日生まれ。東京都出身。元々の南米サッカー好きが、89年のコパ・アメリカ取材を契機に沸騰。91年、気がつけば職を捨て、単身エクアドルに立っていた。現在はアルゼンチンのブエノスアイレスを拠点に、コパ・リベルタドーレス、コパ・アメリカ、ワールドカップ南米予選や各国リーグを取材している。そのかたわら、酒を中心とした南米各国のナイトライフにも造詣が深い。というよりそれに溺れ、酒とサッカーの日々を送っている。

アルゼンチン

■秋葉原の事件を考える

2008.6.19

 秋葉原の事件は、アルゼンチンでも衝撃的に伝えられた。こちらにも日本のアニメファンは多く、彼らの間ではアキバがオタクのメッカであることが知られている。また、秋葉原が有名なショッピング街であることを認識している人もいるようだが、電気街であることを正しく理解しているかどうかは疑問だ。「AKIABARA」という屋号の洋品店が多く、ファッション街のような印象を与えている。ちなみに、スペイン語は「H」を発音しないので、「AKIHABARA」は「アキアバラ」となり、そこからスペルが間違えられて、「H」のない「AKIABARA」と書かれている。

 今回の事件は、一連の行動をケータイで書き込んでいたことが特異だが、犯罪の本質は、自暴自棄となっての無差別大量殺傷だ。南米では殺人が多いが、このようなものはない。いずれも、強盗や恨み、証拠隠滅あるいは猟奇的なもので、動機がはっきりしているし、自分は捕まらずに逃げる気でいる。ところが、日本やアメリカでしばしば起きる無差別殺戮(さつりく)犯は、逃げようとしない。アメリカであれば、銃撃戦の末、警察に射殺されるか、銃で自分の頭を吹っ飛ばす。日本では、昨年末の長崎の事件のように銃器を使った場合に自殺することはあるが、ほとんどがその場で警察に捕まる。そして、「死刑になりたかった」などという。今回の犯人も、普段から「死にたい」と漏らしていたと報道されている。

 となれば、これは一種の自殺と考えることができるだろう。世間をアッといわせてから死刑にしてもらおうというストーリーだ。自分で死ねないから、お上に殺してもらおうと思っている。死刑を自殺の方法ととらえ、そこに行き着く手段として大量殺戮をされたのでは、たまったものではない。ホルヘは、人道的な立場から死刑制度に反対する気はない。しかし、死刑の存続がこのような事件を引き起こすひとつの要因となっているのなら、死刑廃止も考えねばならないと思う。そういえば、アルゼンチンに死刑はない。もっとも今回のような事件が起こるのは、死刑の有無だけでなく、社会が病んでいるからだ。日本とアメリカの国民は、それほど疲れているのだろうか。たまには、テキトーに暮らしている南米の生活を見習ってもらいたいものだ。

 サッカーのほうでは、リーベルが最終節を待たずにリーグ優勝を決めた。当日の朝、バレーボール男子の日本vsアルゼンチンが生中継された。ホルヘは見ていなかったが、日本の監督は、大の字でコートに倒れて勝利の喜びを表したらしい。リーベルの試合でも、ブオナノッテが得点後に大の字になるパフォーマンスを演じた。ひょっとすると、バレーボールの中継を見ていてマネたのかもしれない。

 うれしいニュースは、ウラカンの加藤友介が1軍でプレーしたこと。前節はいつものようにレセルバ(2軍戦)に出場したが、体調が悪く、ハーフタイムに自ら交代を申し出ていた。ところが、週明けの練習ではやたらに調子が良かったらしく、ラシン戦で1軍のサブに召集された。そして、0-1の状況でFWが退場処分になるという展開にも恵まれ、途中出場を果たしている。退場となったライバルのFWは、次の試合も出場停止。ということは、その試合でスタメンがあるかもしれない。ホルヘがそう水を向けると、「いや、スタメンの可能性は100パーセントないです」と断言。先発は別のFWにほぼ決まっているとか。しかし途中出場でもいいから、最終節でもう一度プレーしてもらいたいものだ。

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