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少し前のことだが、Jリーグのレッズvsガンバ戦の後、サポーター同士がもめたことがあった。きっかけは、ガンバの選手が、アウエーなのに喜びすぎたからだという。日本では、アウエーのチームは勝ってもおとなしくしているのがマナーとされているらしい。しかしアルゼンチンでは、ホームもアウエーも関係ない。勝てばサポーターといっしょに喜びを分かち合う。特に大事な試合や、相手がビッグクラブの場合は、優勝したみたいな騒ぎになる。
しかし、相手サポーターへの侮辱行為に対しては厳しい。サポーター同士の乱闘で死者まで出る国なので、選手が相手サポーターを挑発することは、そうした事件を引き起こすことにつながると協会は考えている。得点した後に、相手サポーターに向かってガッツポーズをすると厳しく処罰される。しかし、対象となるのは選手や監督だけで、その他は野放し状態。したがって、それほどの効果はないように思える。
先日、インデペンディエンテvsラシンのアベジャネーダ・クラシコがあった。ブエノスアイレス市に隣接するアベジャネーダ市を本拠地とする両チームは、激しいライバル関係にある。しかし現在経済危機に苦しむラシンは成績が悪く、このままでは入れ替え戦か自動降格かという状況だ。2部落ちとなれば、1983年以来のこととなる。日本的な考え方だと、このような場合にインデペンディエンテ側の人間は、ラシンの奮闘を期待するのではないか。少なくとも表面上は、「ライバルが降格すると寂しくなる。がんばってほしい」とか、「クラシコがなくなるのは考えられない。クラシコのためにも残留してほしい」などというのではないだろうか。しかし、アルゼンチン人はえげつない。元インデペンディエンテのアグエロは、新聞のインタビューで堂々と、「ラシンは2部に落ちてほしい」と語り、さらに、「絶対に名前の頭にRが付くチームではプレーしない」(ラシンのつづりはRACING)とまでいい放っている。
当然、サポーターも手加減はしない。クラシコのスタジアムでインデのサポーターは、「BOLVES?」(帰っちゃうの?)と書かれた紙や旗をラシンのサポーター席に見せつける。このBOLVESだが、発音は同じながら、VOLVESと「V」を使うのが正しいつづり。しかしこちらでは、2部リーグのことをナシオナルBということから、「Bリーグに帰っちゃうの?」という洒落で「B」を使っているのだ。彼らは、本気でラシンが2部に落ちるのを願っている。もちろん、クラシコがなくなるのは寂しいのだが、どうせすぐに戻ってくる。2~3年は、クラシコがなくても我慢できる。それよりも、ライバルに屈辱を与えたいという気持ちのほうが強いのだ。こうなるともう、ライバルというよりも、憎しみの対象に近い。死傷者が出るような乱闘が起きるのも、わかる気がする。
ちなみにクラシコは、凡戦の末、0-0の引き分けに終わった。 |