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加藤が出場したレセルバ(日本のサテライトに相当)の試合に行ってきた。レセルバは本来、トップの試合の前座として組まれるが、ウラカンの場合はトップとは別の日に“ラ・ケミータ”という練習場で行われている。これは、現在ウラカンのスタジアムが改修中のための措置。トップのホームゲームはアルヘンティノスのスタジアムを借りて行っているが、ピッチ保護かショバ代倹約のためなのか、レセルバは練習場へと追いやられたのだ。この日の相手のインデペンディエンテには、プレシーズンマッチでボカ相手に大活躍し、“アグエロの再来”と呼ばれる17歳のパト・ロドリゲスがいる。彼はトップで起用されていないので、レセルバに出場するのではないかと期待したが、残念ながらその姿はなかった。
さて、ツートップの一角として出場したわれらが加藤だが、前半は見せ場がなかったものの、後半は決定的なシュートチャンスを3回得た。まずはゴール前にフリーで抜け出し、後方からのクロスをヘディングシュート。しかし、当たりが浅く得点ならず。「フリーだったから、トラップしてもよかったですね」と本人も語るが、後の祭り。このチャンスは決めておきたかった。続いては、DFがかぶったボールを胸で浮かせてジャンピングボレーでゴールを狙うも、GKがつめてきた難しい状況で、枠をとらえられなかった。そして最後は、縦パスを受けて素早く右足を一閃(いっせん)。ボールはゴールに吸い込まれたが、判定はオフサイド。結局、ウラカンは無得点で、ロスタイムの失点により0-1で敗れた。
日本人に共通ともいうべき、競り合いや接触時での弱さは目立つものの、全体的に見れば加藤のプレーは及第点だった。彼は背番号7を着けていたが、9番を着けたもうひとりのFWより、はるかに存在感があった。しかし、ノーゴールではアピールできない。現在ウラカンのトップは、20チーム中11位。当初、残留争いは必至と思われていただけに、大健闘といえる。しかし、調子がいいときはメンバーを変えたくないもの。これは、加藤にとって不利な状況。ウラカンは、11位ながら2勝5分け1敗の5得点5失点と内容がパッとせず、特に得点力の低さが課題となっている。ここに加藤のつけ入るスキを見いだせるが、いずれにせよ、レセルバでゴールを重ねていくしかない。
話は変わるが、アルゼンチンの食卓が大変なことになっていた。この国の主食ともいうべき“肉”が消えたのだ。肉屋の店先から商品である肉が消え、大手スーパーでは精肉売り場そのものがなくなった。そして肉だけではなく、その他の農作物も少なくなって値段が上がった。これは、輸出税アップに反対する農家のストの影響。しかも単なるストではなく、各地で主要幹線道路を閉鎖し、ストに参加していない者の物流もストップさせた。日本であれば、道交法違反と威力業務妨害に問われることは間違いない。しかしアルゼンチンは、フランス同様ストに寛大なのだ。しかも、この状況が20日間も続いた。ホルヘは、今回アルゼンチンに来てから、まだ肉を買っていない。だって、売っていないのだ。先週、韓国料理屋に行ったときも、事前に「肉あるか?」と電話で確認したほどだ。これに似たことは、何年かに一度フランスで起こる。またアメリカでも、港湾労働者や脚本家がストを行う。そしてこれらは、日本でもニュースとして取り上げられる。ホルヘは、毎日インターネットで日本の新聞を読んでいるが、この件に関しては、読売新聞が2週間目に一度触れただけだった。アメリカやフランスとは比較にならない扱いである。そしてこの扱いの低さや興味のなさを見ると、「ここは、第三世界だな」と実感する。アルゼンチンは、「サッカーとタンゴの国」と紹介されるが、本当は、サッカーとタンゴ以外何もないのではないか。だから、こんな後進国になってしまったのだろう。そのサッカーですら、国内リーグに対する日本人の関心は低い。こんなところでサッカージャーナリストをしていても、メシが食えない。肉が食えないどころの騒ぎではない。でも、酒は飲む。つい最近、安い酒でおいしく酔っ払う方法を見つけた。なんだか、悪循環に入ったようだ。加藤に未来はあるが、ホルヘはお先真っ暗。だから、奇跡を願って、インターネットでトトビッグを買うことにする。 |