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南米王者の称号とクラブワールドカップへの出場権をかけて戦うコパ・リベルタドーレス。昨年の覇者ボカも連覇に向けてスタートを切った。今年はアルゼンチン勢の不調が目立ち、リーベル、サンロレンソ、エストゥディアンテスが、アウエーとはいえ格下のベネズエラやエクアドル勢相手に敗れている。ボカもアウエーでUA・マラカイボ(ベネズエラ)相手に苦戦を強いられたが、なんとか1-1の引き分けに持ち込んだ。
この試合でUA・マラカイボのゴールを守っていたのは、04年トヨタカップに出場したオンセ・カルダスの守護神エナオだった。ポルトを相手に0-0からPK戦の末に敗れたが、彼のセーブは観衆の目を引いた。その後サントスに移籍したがパッとせず、ベネズエラにたどり着いていた。サッカー後進国といわれるベネズエラだが、近年は国を挙げて強化に取り組んでいるし、オイルマネーを背景に外国人選手への報酬も高い。つまり、外国人選手にとってはオイシイ環境。しかしエナオには、このぬるま湯に甘んじず、もう一度レベルの高い舞台で勝負してもらいたい。
ホルヘがエナオに肩入れするのは、彼の人柄が好きな上、ちょっとした恩があるから。初めて会ったのは、04年のトヨタカップ前に、コロンビアまで行って取材したとき。事前にチーム関係者から、「マスコミ嫌い、変人、取っ付きにくい」との情報を得ていたため、難しい取材になることを覚悟していた。しかし、形式張ったインタビューではなく雑談を交えて接すれば、なかなかに冗談が通じる面白いヤツであった。すぐに打ち解けて、やがては、公園の芝生で肩を寄せ合うアベックのような間柄にまでなったのだ(写真参照)。彼を変人扱いする理由のひとつに、用具の自己管理がある。普通、ユニホームやスパイクは用具係が管理するが、エナオは練習着までも自分で持ち帰って洗っている。他人任せにするのが嫌なのと、こうすることで、好きなときに好きなものを着られるからだそうだ。そして彼のこの習慣が、ホルヘに幸運をもたらした。トヨタカップの翌日、ある雑誌の読者プレゼント用に選手から何かをゲットするため、オンセ・カルダスの宿舎を訪れた。しかし、着いたのが少し遅過ぎた。この日帰国する彼らは、すでに荷物をまとめてバスに積み込んでしまっていた。したがって、ユニホームや練習着といったお宝は手に入らず、サンダルとかキャップが数点集まっただけ。「編集部に、何て言い訳しよう」とオロオロしていたら、それを救ったのがエナオ。彼はここでも用具を自己管理しており、その荷物はまだ部屋の中に残っていたのだ。「頼む、何かくれ」とお願いしたら、「じゃあ、これとこれ持っていけ」と、ベンチコートとキーパーグローブを渡してくれた。これで面目が保たれたのだから、エナオはホルヘの恩人といってよい。4月には、アウエーでボカと対戦するためブエノスアイレスに彼が来る。そこで会って、何か恩返しをしなければなるまい。 |