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ホルヘ・三村

南米通信 ~ラ・ビダ・デ・ホルヘ~

ホルヘ・三村
1960年10月23日生まれ。東京都出身。元々の南米サッカー好きが、89年のコパ・アメリカ取材を契機に沸騰。91年、気がつけば職を捨て、単身エクアドルに立っていた。現在はアルゼンチンのブエノスアイレスを拠点に、コパ・リベルタドーレス、コパ・アメリカ、ワールドカップ南米予選や各国リーグを取材している。そのかたわら、酒を中心とした南米各国のナイトライフにも造詣が深い。というよりそれに溺れ、酒とサッカーの日々を送っている。

アルゼンチン

■チリ記者団日本滞在記

2008.2.11

 コラムの締め切りの関係で、タイミングを逸した話になるが、今回は日本代表と対戦したチリ代表について書こう。すでに知られているように、来日メンバーは主力抜きの若手中心で、日本戦ではスタメンの7人が代表デビュー戦だった。そんなチーム相手に日本が0-0で引き分けたのは、チリのモチベーションが高かったからだ。

 3週前の「チリの応援」で書いたように、今回の試合はFIFAの国際Aマッチデーではないため、ヨーロッパをはじめメキシコやアルゼンチン、ブラジルなどの外国でプレーしている選手は呼べなかった。唯一、スペインのアルメリア所属のビタンゴシー(プログラムではビジャレアルとなっていた)が来てはいたが、クラブが参加を認めたというのは、彼の現在の立場がその程度だということ。しかしビエルサ監督は、このメンバーの中から代表の1軍で使える選手を真剣に探しており、年明け早々からハードな合宿を行っていた。その気持ちは選手たちにも伝わり、これが、日本を苦しめることにつながったのだ。中でも、ハイチとのハーフで褐色のボセジュールは、ビエルサに充分なアピールができた一人。ただ1軍のあのポジションには、強力なレギュラーがいるが。

 1月20日に来日した一行は、そのままJヴィレッジへ直行。そこでも練習漬けで、試合前日の25日午後に東京入り。さらに、試合翌日の朝には次の試合(30日)のために韓国へ発つというサッカーオンリーの日程だった。招待で来日する外国チームは、ついでに観光や買い物を楽しむことが多い。リラックスは結構だが、それが過ぎると、試合は二の次ということになる。去年のペルー代表などは、監督自ら夜遊びに精を出していた。それに比べて、チリ代表の何と真面目なことか。チームが本気か観光気分かは、監督の仕切りで決まる。しかし、放っておけばダレるのが人間の弱さ。したがって、JFAが代表の強化のためにガチンコでくる対戦相手を望むのであれば、契約時に、「本気モードとベストコンディションで試合に臨めば、試合後に1万ドル払う」といった密約を監督とすべきだとホルヘは思う。

 チームに張りついていたチリの報道陣も、代表同様のハードスケジュールを強いられたが、試合当日の昼間はつかの間の自由時間が取れた。そこでホルヘは、アミーゴであるカメラマンのアンドレスと、そのまたアミーゴである記者のロドリゴを新宿へ連れ出した。福島では、Jヴィレッジ近くの小さな旅館に泊まり、そこで、畳に布団というのを初体験したそうだ。「英語も通じないので困ったが、みんなとても親切だった」と、すっかり日本が気に入った様子。そして彼らがいちばん驚いたのが、紛失した財布が戻ってきたこと。福島から東京へ移動する列車の中で、財布を落とした記者がいた。それを駅で報告したら、その財布がちゃんと戻ってきたというのだ。「チリでは、100パーセントありえない」とアンドレスは感激していた。

しかし福島ではほとんどが和食だったそうで、人によっては食べ物で苦労したようだ。新宿でホルヘが、「何、食べたい?」と聞くと、ロドリゴは、「何でもいいから、西洋料理」と答える。しかし和食が苦にならないアンドレスは、「何いってんだ。記者なんだから、記事を書くために日本のいろいろなものを知らなきゃだめだ」といい、まだ食べたことない寿司を経験するため、ロドリゴを強引に立ち食い寿司へ連れ込んだ。アンドレスは、チリから輸入されたウニや生ものをバクバクいったが、ロドリゴは生もの以外を少しつまんだだけ。いちばん気に入ったのは、アボカドの握りだとか。かわいそうだが、アジア取材には向いていないようだ。

 ちなみに韓国vsチリは、後半10分にフィエロがGKの上を抜いたゴールが決勝点となり、1-0でチリが勝った。しかも零下8度という、チリにとっては、日本での試合よりも悪いコンディション。この結果だけで見れば、現段階では日本代表が韓国代表を上回っているようだ。

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