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ホルヘ・三村

南米通信 ~ラ・ビダ・デ・ホルヘ~

ホルヘ・三村
1960年10月23日生まれ。東京都出身。元々の南米サッカー好きが、89年のコパ・アメリカ取材を契機に沸騰。91年、気がつけば職を捨て、単身エクアドルに立っていた。現在はアルゼンチンのブエノスアイレスを拠点に、コパ・リベルタドーレス、コパ・アメリカ、ワールドカップ南米予選や各国リーグを取材している。そのかたわら、酒を中心とした南米各国のナイトライフにも造詣が深い。というよりそれに溺れ、酒とサッカーの日々を送っている。

アルゼンチン

■ホルヘ、ルールに泣く

2008.1.31

 日本滞在中のホルヘは、久々に母国でのプレーを楽しんでいる。2週間ほど前は、シニアの大会に呼ばれた。これは、東京・駒沢の第2球技場に6チームが集まっての総当りリーグ。つまり、1チーム5試合。これを1日で消化する。もちろん試合時間は短く、20分1本。それでも、全部に出れば計100分。シニアにはきつい。一般にシニアといえば40歳以上だが、この大会は50歳以上がほとんど。だから、サブ要員が多数必要になる。そこで、ホルヘも頭数として呼ばれたのだ。大会の趣旨はサッカーを楽しむことで、勝敗は度外視。そして、年寄りがケガをしないように、「スライディングタックル禁止」というルールも設けられた。しかし、最終試合になると足がヨレヨレで、スライディングなのか転んだのかわからないプレーが続出。とにかく、楽しい大会だった。

 元朝日新聞記者の中条さんは、日本人はルールに縛られ過ぎる、ということを書いていた。旧制高校OBによるオールドインターハイでも、一般と同じルールでサッカーを行っていたというのだ。皆さんお年寄りなので、CKはゴール前まで届かないは、動けなくなるは、ケガ人は続出するはといった状況だったらしい。そこでメンバーでもあった中条さんは、「ピッチを小さくしよう。ボールを4号にしよう」などと提案したそうだが、「そんなものは、サッカーじゃない」と一蹴されたそうだ。これは、たぶん20年以上前の話だろう。しかし今は、人々の頭も柔らかくなってきたのか、試合や大会独自でのルール変更をよく見かけるようになった。レクリエーションとして行うのなら、そのレベルに合わせたルールを決めることは何も問題ないと思う。あるシニアリーグでは、今年からテストケースとして、シュートを打った場所によって得点を変えることにした。ゴールエリア内からは1点、それ以外のペナルティーエリア内からは2点、ペナルティーエリア外からは3点とするらしい。シニアはキック力が落ちてシュートに自信がないし、社交性が身についているので譲り合いの気持ちが強い。このため、とにかくシュートが少ないという。これを打破するためのルール変更なのだが、こうなると、無謀なヘロヘロシュートばかり増えて、かえってつまらない試合が増えるのではないかと、ホルヘは予想している。

 しかし、頭の固い人間はまだいる。ホルヘは、自分のチームを率いて一般の大会にも出ている。わがチームのユニホームは黄色の半袖で、肩から袖口まで10センチほどの黒いラインが入っている。冬は寒いからアンダーシャツを着るのだが、今回、これでトラブルがあった。今までは、同じ大会でも黒のアンダーを着ていた。袖のラインと合っているから、なかなかカッコいい。それが今回は、試合直前になって、「アンダーは、ユニホームの主たる色と同色でなければダメ」と主審にいわれてしまったのだ。この件について、サッカー協会から通達があったことはホルヘも知っていた。だから、事前に大会役員に相談し、「全員が黒でそろえれば、問題ないだろう」という答えを得ていたのだが、土壇場で大逆転。たしかに、ルール上はその通りだろう。しかし、草サッカーレベルの大会で、そこまで厳密にする必要があるのか。日本人は頭が固いというか、上からの指示に忠実過ぎる。おかげで、黄色のアンダーを買わなければならなくなったのだった。

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