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ホルヘ・三村

南米通信 ~ラ・ビダ・デ・ホルヘ~

ホルヘ・三村
1960年10月23日生まれ。東京都出身。元々の南米サッカー好きが、89年のコパ・アメリカ取材を契機に沸騰。91年、気がつけば職を捨て、単身エクアドルに立っていた。現在はアルゼンチンのブエノスアイレスを拠点に、コパ・リベルタドーレス、コパ・アメリカ、ワールドカップ南米予選や各国リーグを取材している。そのかたわら、酒を中心とした南米各国のナイトライフにも造詣が深い。というよりそれに溺れ、酒とサッカーの日々を送っている。

アルゼンチン

■はにかみホルヘ

2008.1.24

 流経大柏が高校選手権で初優勝。本田裕一郎監督おめでとうございます。とてもアミーゴなどとはいえないが、本田監督とホルヘは知らない仲ではない。習志野高校を率いていたころは、本田監督も南米とは深い縁があった。毎年夏休みにウルグアイで合宿を行っていたのだ。主力は日本に残り、1年生か2年生が2週間ほど滞在していた。コパ・アメリカがウルグアイで開催された95年には、日本に残してきた1軍がインターハイで勝ち上がり、予定を変更して慌てて帰国したことを覚えている。

 そういえば、ホルヘがゴルフを始めるきっかけも本田監督だ。ブラジルとの国境にある町リベラで、監督とその友人がゴルフをやることになった。そこにホルヘは、通訳みたいな形でついていったのだ。そのゴルフ場というのは、金持ちが自分の牧場の一部に作ったもので、フェアウェイやグリーンはボコボコの上、あちらこちらに牛の糞が落ちているといったものだった。いってみれば、プライベートコースである。そんな状況だったので、監督から「誰もいないから他人に迷惑かからない。一緒にやろう」と誘われ、貸クラブを折らないことを祈りながら、数ホールだけお供したのだった。本格的にゴルフを始めたのは数年経ってからだが、この出来事がなければその気にならなかっただろう。しかし、それが良かったのか、悪かったのか。初めの1~2年は少し上達したが、その後は進歩しない自分の腕前を見ると、選ぶ趣味を間違えたのでないかと思うことがある。

 ウルグアイでは、他にも富山第一などが合宿を行っており、たしか高校2年当時の柳沢を見て、「こいつ、うまいな」と思ったことを覚えている。合宿では、現地のプロコーチの指導を受けながら、ナシオナルやペニャロールなどのユースチームとの練習試合を行う。試合は、前半は日本のチームが善戦し、後半は圧倒されるというパターンが多かった。当時のオフサイドルールは今よりも守備側に有利だったので、オフサイドトラップは常識的な戦術だった。日本のチームはこれを身につけており、ビシビシとラインを上げる。すると、相手のFWが面白いように引っかかるのだ。「こいつら、オフサイドのルール知らないのかな」と思わせるほどだった。実際には、ルールを知らないわけではない。ただ、オフサイドトラップに慣れていないだけ。あちらのユースは、チームの成績よりも選手個々の育成に重点を置いている。したがって、オフサイドトラップを使って試合展開を有利にするよりも、FW対DFが競い合うプレー機会を増やそうとする。極端にいえば、オフサイドトラップで相手を引っかけたら、プレー機会が減って上達しなくなる、という考え方。戦術はプロになってからでも覚えられるが、技術は若いときでなければ身につかない。だから選手はオフサイドトラップに慣れておらず、ダボハゼのように引っかかったのだ。しかしハーフタイムに監督から、「相手はラインを上げてくるから、FWはもっと下がってパスを受けろ」と指示されると、展開が変わる。オフサイドにさえ引っかからなければ、個人技やショートパスで楽に突破できるからだ。悲しいかな、日頃の練習や試合で戦術を多用する日本と技術重視のウルグアイでは、ガチンコ勝負になった場合、選手個々の能力に大きな差があった。しかし、これは10年くらい前の話。今は、日本人選手の能力もアップして差は縮まっている。ところが、そこからが進まない。これをさらに縮め、そして逆転するためにはどうすべきだろう。大会や試合はモチベーションとして必要だが、小学生や中学生の段階から勝つために戦術で縛ったり、大人のサッカーをコピーすべきでないことは確かだ。何か根本的な打開策を見いださないと、さらなる進歩は期待できない。ちょっと上向きになった後、ダラダラと横ばいが続くのは、ホルヘのゴルフだけで充分なのだ。

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