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ホルヘ・三村

南米通信 ~ラ・ビダ・デ・ホルヘ~

ホルヘ・三村
1960年10月23日生まれ。東京都出身。元々の南米サッカー好きが、89年のコパ・アメリカ取材を契機に沸騰。91年、気がつけば職を捨て、単身エクアドルに立っていた。現在はアルゼンチンのブエノスアイレスを拠点に、コパ・リベルタドーレス、コパ・アメリカ、ワールドカップ南米予選や各国リーグを取材している。そのかたわら、酒を中心とした南米各国のナイトライフにも造詣が深い。というよりそれに溺れ、酒とサッカーの日々を送っている。

アルゼンチン

■拝借上手のアルセナル

2007.12.11

 アルゼンチンのトルネオ・アペルトゥーラ(前期リーグ)で中堅のラヌースが初優勝したと思ったら、今度はコパ・スダメリカーナで、新興クラブのアルセナルが優勝。この流れが地球の裏側まで届けば、クラブワールドカップはレッズが制覇するだろう。それはともかく、コパ・スダメリカーナ王者になったことで、アルセナルは来年、ナビスコカップ王者のG大阪と日本で対戦することになった(開催予定)。そんなわけで、日本では全く知られていないこのクラブを、ホルへなりに紹介してみよう。

 アルセナルはARSENALのスペイン語読みで、文字通りイングランドのアーセナルにあやかって名付けたもの。同じような例は他にもあり、ウルグアイのリバプールやエクアドルのバルセロナが有名だ。イングランドの本家アーセナルも、スペイン語では「アルセナル」と発音される。本家と分家(?)を区別するためか、本家に敬意を表してなのか知らないが、この2つの「アーセナル」は微妙に違う。本家のほうは、普通に「アーセナル」というのと同じイントネーション、つまり「アルセナル」の「ア」にアクセントがある。一方、偽者の……、いや失礼、アルゼンチンのアルセナルはほとんど平坦で、ほんの少し「ナ」が強調される。エクアドルのバルセロナは、チーム名は本家とまるっきり同じだが、略称で区別をつけている。本家が「バルサ」なのに対し、バルセロナを短くして、そのまんま「バルセ」である。

 アルセナルはサランディという駅の近くにある。ブエノスアイレス市の始発駅コンスティトゥシオンからわずか3つ目。隣駅のアベジャネーダには、インデペンディエンテとラシンという名門2チームがある。サランディの人たちも、昔はラシンかインデを応援していた。しかし、サランディにもチームを作って盛り上げようということで、ちょうど50年前の1957年に創立された。このときの発起人の一人が、フリオ・グロンドーナ。現在のアルゼンチンサッカー協会会長である。そして彼の息子のフリオ・リカルド・グロンドーナが、アルセナルの現会長を務めている。スタジアムは1万8000人収容と小規模ながら美しい。名前は、もちろん「フリオ・グロンドーナ」だ。

 02年に1部リーグに昇格し、着実にステップアップしてきた。コパ・スダメリカーナの決勝第1戦は、アメリカのホームであるメキシコのアステカスタジアムで行われた。アステカといえば、86年メキシコワールドカップのメイン会場。スタジアム内の廊下には、当時を物語る写真や記念品が飾られている。グロンドーナ会長(息子)はそれらを見ながら、「ついに、こんな所まで来られるようになったのか」と感激して涙を流していた。

 創立に携わった発起人の中には、当然ながらラシンやインデのファンがいた。そこで、アルゼンチン代表と同じく白と水色のユニホームであるラシンの水色と、“赤い悪魔”インデの赤をチームカラーにしたそうだ。名前といいチームカラーといい、勝手に拝借するのが好きな人たちだ。現在のユニホームは、身が赤で袖が水色になっている。しかし、元々は水色がメインでそこに赤い帯が斜めに入っていた。つまり、リーベルと同様のデザイン。今は赤の色がエンジみたいだし、水色はトーンが弱い上にくすんでいる。本家のユニホームに似せようとしているのがミエミエだ。しかし、ホルへは納得いかない。なぜ、そんなに本家を意識するのか。分家は分家、妾腹(しょうふく)の子は妾腹(しょうふく)の子として堂々と我が道をいけばいいではないか。ホルへは以前のユニホームが気に入って購入しているだけに、あえて苦言を呈したい。元のデザインと色彩に戻せ! 大体、アーセナルのコピーみたいなユニホームで日本へ行ったら、みんなの笑いものになるぞ。それどころか、名前もパクった上にユニホームまで似せたら、偽ブランドとして成田で摘発されるかもしれない。マラドーナを入国させなかった日本だけに、そんなことまで心配してしまうのだ。


コパ・スダメリカーナを優勝した、アルセナル(アルゼンチン)
コパ・スダメリカーナを優勝した、アルセナル(アルゼンチン)
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