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先々週は、疲労骨折か何かで右手が痛いと書いたが、今週は腰痛に悩まされている。中学生のころにサッカーボールに乗っかって引っくり返り、尾てい骨底挫傷というのをやったため、ホルヘは若くして腰痛持ちとなった。身動きが取れないようなギックリ腰も4~5回は経験している、いわば腰痛のプロである。
今回の腰痛は、プロにとっては非常に軽いもの。ピリッとした痛みが走り、背筋をピシッと伸ばせないという症状。ギックリ腰の治りかけとほぼ同じだ。ミニサッカーのGKとして奮闘中、何かのはずみに腰を打ったかひねったらしい。その日はそうでもなかったが、翌日から痛みと違和感が出始めた。こうした場合、日本だったらシップを張るのが一般的だろう。腰痛に限らず、打撲やネンザの手当てにも、真っ先に登場するのはシップである。しかし南米には、なぜかシップが存在しない。「ケガをしたら冷やす」という考えはあるので、氷のうは使用される。しかし、シップは存在しない。バンテリンのような塗り薬は最近お目見えしたが、以前はなかった。だから、日本から行ったサッカー選手は、ネンザをしたときなど、ひどく不安になるという。こちらでは、ネンザや筋肉痛、関節痛などの治療には、飲み薬が用いられる。日本から持ち込んだシップはあるが、今回はホルヘも南米流に飲み薬に頼ることにした。その結果、腰痛発症から3日で、痛みはほとんどなくなった。ただし、自然治癒か薬の効果かは不明。
このように、ケガや病気の治療は、日本と海外では異なる場合もあるから面白い。異なろうと同じであろうと、南米に比べれば日本の医学は数段進んでいる、というのが多くの日本人の考えであろう。しかし、必ずしもそうではない。アルゼンチンでプロサッカー選手をしているある日本人のケースを紹介しよう。かねてから、両足の小指に痛みを感じていた彼。しかし痛みは激しいものではなく、全く痛まないときもあった。日本に帰国中、ランニングをしていて、小石か何かを右足の外側で踏んでしまい、小指を亀裂骨折した。診断を下した日本の医者は、手術の必要はないという。アルゼンチンに戻ってドクターの意見を聞くと、手術すべきだという。しかも、右足だけ手術すると、すでに痛んでいる左足に負担がかかり、今度は左の小指が折れる。そういった前例が多いから、両足同時に手術すべきだという。その選手は、このドクターの言葉に従った。日本の医者も間違ってはいない。あの診断は、たぶん常識的なものだったのだろう。しかし、患者が一般人かプロサッカー選手かということは考慮されていないのではないか。その点、医者がサッカー関連のケガや障害に詳しい南米だと、プロ選手にはそれに合った治療をしてくれる。
現在、ペルー1部リーグのムニンシパルで活躍している澤昌克も、昨シーズン終了後にヒザの手術をする決断をした。そのとき悩んだのは、ペルーで手術を受けるか、アルゼンチンで受けるかだった。日本という選択肢は初めからなかったという。また、広島のお寺の息子は、近視治療のレーザー手術を受けるため、わざわざブラジルまでやってきた。日本よりはるかに安いし、何といっても、医者の経験が違うという。手術医は一種の職人だから、同じ手術を何度も行い、経験豊富なほうが信用できるのだ。最新の設備や医療器具では日本に引けをとるものの、南米の医療は決して侮れないのである。 |