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道言 栄太
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~me sinto o português futebol~

道言 栄太
鹿屋体育大学在学中。18歳のときから指導を始める。常に“世界で活躍できる指導者”を目標に掲げ活動し、早10年目。これまでキッズから大学生まで幅広い年代の指導に携わる。その中で目標を達成するために必要だと感じたのが他の指導者との差別化である。過去には、1年間のイタリア留学の経験がある。今回のポルトガル留学では、大学、グラウンドそしてスタジアムで多くの経験を積み、新たなサッカー感を養い独自の指導法を生み出すことが目的である。
Twitter: @eitadogon

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■プレシーズンにおけるトレーニング(後編)

2018.08.16

8月10日から、ついにポルトガルでリーグ戦が一斉に開催しました。ポルトの試合を観戦予定でしたが、発売3日で売れ切れてしまい、バーでの観戦を余儀なくされました。翌日の日曜日には研修先のエスピーニョの試合がアウェイであり、結果は0対0の引き分けに終わりましたが、守備面では危ないシーンもほとんどなく、チームが機能している印象を受けました。

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先日のエスピーニョの試合の様子

では、本題に入っていきたいと思います。

今回は前回の続きで、戦術的ピリオダイゼーション(以下PT)によるプレシーズンの後半部分のトレーニングについて書いていきたいと思います。

はじめに、こちらが8月の日程です。

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前回も説明したとおり、トレーニングマッチにおける1人あたりのプレー時間は45分です。理由としては、プレーの質を優先するためと前回のコラムでお伝えしました。そのほかにもメリットがあり、45分にプレーを制限することで、疲労を抑え翌日のトレーニングを可能することなどが挙げられます。特に週半ばのトレーニングマッチで全員が90分試合をしていたら翌日をリカバリーに当てなければならなくなり、トレーニングする時間が大幅に減ってしまいます。

私は、なぜ試合翌日にオフを取らないのか、オフ明けにリカバリーをしないのかと疑問に感じておりました。なぜかというと、基本的に体力の完全回復には、72時間必要だと言われているからです。しかし、この定義に当てはまるのは、90分間プレーし完全に疲弊しきった状態から回復させる場合に限ります。プレシーズンでは45分のプレー時間をさらに2分割、3分割してプレーさせるため、リカバリーが必要なほど疲れていないと捉え、選手の様子を見て翌日もトレーニングすることが多かったです。

ここで大切になるのは、リカバリーの概念にとらわれないことです。試合翌日はオフで、翌々日はリカバリーという流れをそのまま適応しないように注意する必要があります。なぜ、試合翌日をオフにするのか? なぜリカバリーを行うのか? を理解しなければ必要以上に休んでしまうことになってしまいます。個人的にも、リカバリーの過程に応用力をつけていく必要があると実感しました。リカバリーを行う際にも、単純にサッカーバレーを行うだけではなく、セットプレーのトレーニングに当てたり、少しだけトレーニングを入れるなど、リカバリーの内容も微調整していく必要があるようです。

選手の疲労度を基準にリカバリーの過程を決めていきます。では、どのように選手の疲労具合を確認すれば良いのでしょうか? プロチームであればGPSを使い、走行距離やスプリント数をベースに疲労度を評価できますが、そのような環境が揃っているチームはなかなかありません。その場合は、プレーの精度や選手との対話を目安にすることができます。プレーの精度を見極めたり、練習後の会話であったり、そのようなところから判断していくことはどのチームでもできることだと思います。

プレシーズンを見ていて個人的に驚いたことがあります。それは、プレシーズン中誰1人として1度も90分プレーする機会が与えられなかったことです。プレシーズンの目的として、90分間走りきれる体力をつけるというのは、どのチームも目指している部分だと思います。しかし、監督のフイ・キンタさんには、90分走りきれる体力をつけるという概念はなく、常にプレーの質を保てる時間を見極め、少しずつプレー時間を延ばしていきました。具体的にエスピーニョのトレーニングマッチの時間の区切り方を例に挙げると、プレシーズン1、2週目は15分×3セット、3、4週目は22分×2セット、5、6週目は45分×1セットと徐々に連続するプレー時間を延ばしていく方法を取っていました。正直、いきなりの本番で90分間体力は持つのだろうか…と心配していましたが、先週行われたリーグ戦で選手が足をつったり、足が止まったりするようなシーンは見られませんでした。

「プレシーズンに、PTの活用する上で難しいことはどんなことか?」と尋ねたときに、日本でも起こり得るような回答が返ってきました。それは、選手がPTのやり方を信用しきれないという点です。PTでは、フィジカルに特化したトレーニングは行いません。ですが、多くの選手、指導者が特にプレシーズンではフィジカルトレーニングが必要だと感じています。実際、エスピーニョも昨年のプレシーズンでは、少しだけフィジカルトレーニングを行なったそうです。なぜなら、昨シーズンは、PTを採用するフイ・キンタ監督がエスピーニョの監督に就任しての最初のシーズンということもあり、選手がフィジカルトレーニングをしないPTの方法に疑問を持っていたからだそうです。そこで、選手の不安を軽減するために少しフィジカルトレーニングを取り入れたと言っていました。しかし、シーズン中はフィジカルトレーニングを取り入れませんでした。結果は、リーグ戦で2位とフィジカルトレーニングが必要ないことを証明しました。今回のプレシーズンでは、既存の選手が新加入の選手にPTの方法論を説明することで、チームはPTを信じ、全くフィジカルトレーニングを行わずにシーズンに突入しました。

今回約5週間に渡ってプレシーズンを見学することで、PTがどのような理論のもとトレーニングを展開しているのか少し理解を深めることができたように思います。行なっている練習や1週間のスケジューリングはシーズン中と比べると一見違うように見えましたが、軸となる考え方はシーズン中となんら変わりがないことに気づきました。トレーニングの目に見えない部分に焦点を当てながら今後も研修を続けていき、新たな情報をみなさんにお届けできればと思います。

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