高校総体愛媛県予選 決勝 松山工業-松山北高校

2016年05月23日

森田将義(フリーライター)取材・文・写真

16年6月11日(土)11:00キックオフ/愛媛県・総合運動公園ニンジニアスタジアム/試合時間70分+延長20分+PK戦
松山工
2 1-0
0-1
延長
0-0
1-1
PK
4-3
2
松山北
大木秀仁(前半35分)
酒井佑斗(延長後半10+1分)
得点者 串部太一(後半35+5分)
村上拓(延長後半10分)

前半終了間際にPAを抜けだしたMF大木秀仁のゴールで松山工が先制したが、後半終了間際にクロスバーに当たったシュートのこぼれをFW串部太一が押しこみ、松山北が追いついた。迎えた延長戦では延長後半10分に奪ったFW村上拓の得点で松山北が勝ち越しに成功。このまま終わるかと思われたが、すぐさま松山工が追いつき、PK戦に突入した。ここでも互いに譲らず6人目のキッカーまでもつれたが、先行の松山工が成功したのに対し、後攻の松山北はキックを浮かせてしまい勝負あり。PK戦を4-3で制した松山工が4年ぶり11回目の全国総体出場を手にした。

ピックアッププレーヤー

松山工GK野口龍也(3年)
見せた存在感は173センチの身長以上。
悔しさをピッチにぶつけた守護神がPK戦で勝負強さを発揮

苦しみながらも先制点を奪い、チームに勢いが出てきた松山工のアクシデントが訪れたのは後半15分。ここまで188センチの高身長を生かしたセービングで守備を支えてきた1年生守護神・伊藤元太が相手クロスに反応した際に足をつってしまい、交代を余儀なくされた。ピンチを救うべく、声がかかったのは今予選では決勝まで出番がなかった3年生GKの野口龍也。「驚きはしたけど昨年、選手権を経験しているので緊張はなかった」と落ち着いた守りでピンチを防いだが、後半終了間際に同点弾を許すと、迎えた延長後半終了間際にも逆転弾を献上。チームメイトの活躍によってすぐさま追いついたものの、決着はPK戦に委ねられた。

「自分が迷惑をかけた分、PK戦で取り返そうと思っていた」。そう誓った男は、これまでPK戦でやってきた自然体を意識した構えではなく、「伊藤クンに比べたら自分は小さいので、少しでも大きく見せようと、とっさに思った」とGKとしては小柄な173センチの身長を目いっぱい伸ばしながら、両手を何度も上げることで、相手にプレッシャーをかけた。「昨年の選手権2回戦の丸岡戦で、1本止めた経験が生きている。すごく自信を持っているように見えた」と坂本哲也監督が口にしたように狙いが見事にハマり、堂々とした立ち振る舞いから繰りだしたセーブで、2人目のキックを見事にストップ。それ以外は防ぎきれなかったものの飛んだ方向はすべて的中させた上、相手キッカーが2本枠を外したのは彼が見せた動きが奏功したからかもしれない。

昨年はスタメンをつかんでいたが、今年3月に左ヒザの内側じん帯を痛めて、戦線離脱。ケガから戻っても試合感覚が戻らず、本来のパフォーマンスからは遠いプレーに終始している間に後輩の伊藤がレギュラーに定着。大西貴コーチから、「このままだと先発がとれないぞ」とハッパをかけられたことで、「あまり表に出せなかったけど、試合に出られず悔しかったし、気持ちに火がついた」彼は、ケガの間に足腰とウエイトとの強化に励み、「小さい分、他の人よりも強く速く飛ぶ」プレーに磨きをかけた。

「無失点で試合を終わらせようと思っていたので、勝てたのは良かったけど、2失点は悔しい。今日はダメ出しされると思う」と反省するものの、彼がいなければ勝利がなかったのは確か。「インターハイまでに課題を克服して直して、先発を取り返したい」という意気ごみの足掛かりとなるかもしれない。

松山工GK野口龍也(3年)
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