第97回全国高校サッカー選手権大会 全試合完全レポート

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第97回全国高校サッカー選手権大会
準々決勝 青森山田-矢板中央

2019年01月05日

川原宏樹 取材・文
佐藤博之 写真

19年1月5日(土)12:05キックオフ/神奈川県・等々力陸上競技場/観客10,785人/試合時間80分
青森山田
2

1-1
1-0

1
矢板中央
二階堂正哉(前半40分)
二階堂正哉(後半26分)
得点者 眞島聖弥(前半14分)

ベスト4のイスを争い、プレミアリーグEAST2位の青森山田と一つ下のカテゴリーとなるプリンスリーグ関東で優勝した矢板中央の対戦が行われた。ディフェンスに定評があるチーム同士の戦いは、セットプレーでゲームが動いた。前半14分、矢板中央は②後藤裕二が右サイドからロングスローでゴール前に放り込む。一度は⑤三國ケネディ・エブスが頭で跳ね返すも、そのこぼれ球を拾った②後藤がクロスを入れる。それを⑬眞島聖弥がフリーになり頭で押し込み、矢板中央が先制点を挙げる。
その後、守備を固めた矢板中央に青森山田は攻めあぐねるも、前半終了間際の40分に同点ゴールを決める。こちらもロングスローからで、ゴール前からこぼれたボールを⑦武田英寿がシュートし、それを④二階堂正哉が頭でコースを変えて同点にした。
後半になっても、どちらの守備も崩れずに均衡した戦いが続く中、またゲームを動かしたのはロングスローだった。青森山田の⑮澤田貴史が投げ込んだボールがこぼれてきて、それを今度は足でゴール前に送る。そのボールをファーサイドにいた④二階堂が左足でゴールへ押し込み、青森山田が逆転に成功した。その後、システム変更などで矢板中央が攻勢に出るも、守りきった青森山田が勝利し、ベスト4のイスを手にした。

話題となったロングスロー
ポイントは「競った後」

青森山田、矢板中央ともに、ディフェンス力に定評のあるチーム同士。ゲームは戦前の予想どおり緊迫した展開となった。

青森山田は左の⑩檀崎竜孔と右の⑪バスケス・バイロンにボールを集めて、彼らの突破力を使って矢板中央のゴールに迫ろうと試みた。しかし、「そこはプランどおり、しっかりできた」と矢板中央の髙橋健二監督が振り返ったように、サイドハーフが戻ってきて必ず2対1の数的優位の状態を作り、2人に突破を許さなかった。

一方の矢板中央は、身長190センチの⑭望月謙を身長192センチの⑤三國ケネディ・エブスとは競り合わせずにサイドに開いてから空中戦を挑み、そのこぼれを⑧伊藤恵亮が拾って縦方向へ推進しようと試みた。しかし、青森山田のDF陣もセカンドボールへの反応は速く、相手に思うような形を作らせなかった。

僅差のゲームになる雰囲気が漂っていたなか、スコアを動かしたのはロングスローだった。

前半14分、矢板中央が右サイドからロングスローを送り込む。一度は⑤三國がはね返すも、そのこぼれ球の折り返しで、⑬眞島聖弥がフリーとなり頭でゴールへねじ込み先制点を挙げた。ここまで集中力を保っていた青森山田のDF陣が、初めて集中力を切らしボールウォッチャーになってしまった瞬間だった。

先制された青森山田もこれまでの形を変えずに、矢板中央陣内へ攻め込むもゴールは遠く1点リードを許したまま前半を終えるかに思えたが、終了間際の前半40分に同点ゴールを挙げる。右サイドからのロングスローのこぼれを⑦武田英寿が胸トラップからボレーシュートを狙う。それを④二階堂正哉が頭でコースを変えて同点ゴールを挙げた。そのまま前半を終了しスコアは1−1となったが、どちらも流れのなかで守備を崩された場面はほぼなく、両チームの堅固な守備が目立った前半の戦いだった。

後半になっても、ゲーム展開は大きく変化しなかった。どちらが集中力を切らすか、どちらが走り負けるのか、一瞬が勝敗を分ける緊張感のある流れは続いた。そんななか、スコアを動かしたのはまたもロングスローだった。後半26分、左サイドからのロングスローが再び左サイドに転がり、そこからゴール前へクロスを送り込む。ファーサイドでボールを受けた④二階堂がコントロール後に左足でゴールへ押し込み逆転ゴールを挙げた。その後、矢板中央は⑩飯島翼や⑨板橋幸大をピッチに送り込み、攻撃的にシステムを変更し決定機を作り出したがゴールマウスを捕えることはなく、2−1のままゲームは終わり青森山田が勝利した。

この試合で2得点を決めた④二階堂は自身のゴールを「自分の役目を徹底した結果」と言い切り、チームとして決められた動きをしたおかげで取れたゴールで、チームの得点であることを強調した。また、お互いに集中力を切らさずに崩れなかったゲームのなかで得点できたことに関して、「自分たちは競った後を狙っていたので、そこの差だと思います」と、相手より一手先を読んで動いた結果が得点を招くことができたと、勝利の要因を挙げた。

ちょっとした意識の差が僅差のゲームで勝敗を分けた。その要因は、青森山田が培ってきたこれまでの経験と歴史にあるように感じたゲームだった。

監督・選手コメント
青森山田・黒田剛監督
おそらくですけど、僅差(の試合になる)ということはお互いに想定内で、リスタートを含めた1点ゲーム、どちらも我慢強く守り、ミスも含めてどちらが先に1点を先行していくか、そういうゲーム展開(を予想した中)で、ゲームプランとしては0−0という中で送り出しました。決して悪くはなかったんですが、動き出しのところでちょっと動きに精彩を欠いた部分があり、中盤が硬かったかなというような印象を受けました。案の定というか、最悪な形で失点しました。折り返しに対して注意していましたが、ボールウォッチャーになってしまった。そういうところを含めて、入りとしてはよくなかった。ただ、前半のうちに追いついてくれたのは大きかったと思います。(得点は)やはりセットプレーからでした。どちらもセットプレーで取り合ったというようなゲーム。我々のほうがたまたま1本多く取れたというだけで、最後は同点になるようなピンチもありました。ですが、1人がミスしても、1人がカバーをするという基本に忠実な動きをGKも含めてDF陣が頑張ってくれた成果かなと思います。

青森山田・④二階堂正哉
早い時間帯に先制点を取られて、焦る部分は最初はあったんですけど、自分たちがボールを保持する時間が長かったので、絶対に点は入ると思っていました。セットプレーで絶対に取りたいと思っていて、自分のところのポジションはセカンドボールが大事になると思っていたので、狙いどおりに詰め込めたところはよかったです。⑤三國ケネディ・エブスなど高さのある選手がすらしてその後を狙うという狙いだったので、こぼれてくると信じて走り込みました。

矢板中央・高橋健二監督
矢板中央の持てる力を全部出し切ったかなと……本当に選手たちは精一杯にやってくれたと思います。とにかく相手のチームは高校サッカー界最高峰のチームなので、我々はプリンスリーグ関東で優勝できたということを自信に持って、臆することなくすべてを出し切って戦おうと臨みました。早い時間帯で1点を取って、その後も粘り強い守備ができていたんですけど、青森山田の特徴であるセットプレーからの失点で、前半の終わり際だったのがちょっと痛かったかなと思っています。対策はやってきていたんですけど、そこは青森山田のほうが上手でした。

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