第97回全国高校サッカー選手権大会 全試合完全レポート

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第97回全国高校サッカー選手権大会
2回戦 帝京長岡-旭川実業

2019年01月03日

森田将義(フリーライター)取材・文
木鋪虎雄 写真

19年1月2日(水)14:10キックオフ/埼玉県・NACK5スタジアム大宮/観客4,126人/試合時間80分+PK戦
帝京長岡
2 2-1
0-1
PK
17-16
2
旭川実業
晴山岬(前半29分)
田中克幸(前半31分)
得点者 山内陸(前半20分)
金野修那(後半29分)

初戦で当たった高知西戦を6-0で終えた帝京長岡だったが、この日は旭川実業が見せた前線からのプレスに苦しみパスが繋げなかった。前半20分にはクリアボールを⑧山内陸に決められ先制点を許したが、そこからは⑭谷内田哲平を中心にチャンスを演出。⑪晴山岬と⑧田中克幸のゴールで前半のうちに逆転した。後半はチャンスを作りながら、3点目が奪えずにいると、後半29分に同点弾を献上し、勝負の行方はPK戦までもつれた。ここでも両者譲らず、史上最長となる19人目までもつれたが、19人目のキックを⑰猪越優惟が防ぎ、帝京長岡が勝利を掴んだ。

3本のPKストップで、チームに恩返し
緊張を楽しんだ守護神・猪越がヒーローに

 今回が6回目の出場となる帝京長岡だが、大会を去るのはいつもPK戦ばかり。80分での負けを許したのは2012年度だけで、それ以外の4回は全てPK戦で涙を飲んできた。前後半で決着がつかなかった今年度も、谷口哲朗監督が「長かった。心臓が止まるかと思った」と振り返ったように嫌な記憶が蘇らなかったといえば、嘘になる。

 プレッシャーのかかった状況でもリラックスし、きっちりゴールネットを揺らす選手が続く中で、誰よりもPK戦を楽しんでいたのが、2年生守護神の⑰猪越優惟だ。PK戦に突入することが決まった瞬間、「よっしゃー!これでヒーローになれる」と喜んでいたという。「止めたら、ヒーローになれる。やっと俺がヒーローになれる瞬間が来た」。そんな意気込みの通り、相手の一人目のキックを見事にストップすると、以降もキックを止めることはできなかったが、ことごとくコースを的中。「読みが当たっていたから、どんどんポジティブな気持ちになって行った。後は触るだけという気持ちになれたから、最後に止めることができたと思う
(⑰猪越)。

 迎えた13本目は、先行だったチームメートのキックが失敗し、⑰猪越が止めなければ負けというシチュエーション。相手が蹴るまでの時間がかかり、待つ側のGKとしては難しい状況だったが、「3年生と少しでも長くプレーしたいので、止めるしかないと思った」と気持ちでセーブ。19人目のキックもコースを的中させると、歓喜の瞬間を迎えた。

 中学までは宮城県の街クラブでプレー。高校ではJのアカデミーや、県外の強豪でのプレーを希望し、セレクションを受けたが、合格には至らず。進路がない状況だったタイミングで、声を掛けてくれたのが帝京長岡のスタッフだった。練習参加した際に、チームの雰囲気がよかったこと、プレースタイルが面白かったことが決め手となり、入学を決意した。行き場がなかった所を拾ってもらった恩を感じていたため、勝利の喜びもひとしお。⑰猪越は「帝京長岡には、救ってもらった恩がある。そういう面でも今日やっと恩返しできたよかった」と満面の笑みを見せた。

監督・選手コメント
帝京長岡・古沢徹監督
長いPK戦を見守り、1キロくらい痩せました。ただ、県総体ではPKで負けたのですが、直前の調整試合では負けてこなかった。特別、PKの練習はしてこなかったのですが、普段からきっちり止める・蹴るの練習をしてきたから、自分の信じた所にボールを蹴ることができました。⑳矢尾板岳斗は県総体の際にPKを外して負けたのですが、今日は2本決めたのでチャラにしてあげます。お釣りが来るくらいの活躍かもしれません。初めて、PK戦で勝って次に進出できたのは感慨深い物があります。

帝京長岡・⑭谷内田哲平
前半は、僕の所でチャンスが作れたので、後半ももう少し攻撃に絡みたかったです。2失点は自分のミスから奪われたので、今日の出来には納得いっていません。チームに迷惑をかけてしまったなと思います。PK戦は自分が蹴るより、味方が蹴る瞬間の方が緊張しました。ただ、大会前の練習試合でもPKで勝てていたので、勝てるかなという気持ちでいました。まさかあんなに長く続くとは思わなかったですけど……。

旭川実業・富居徹雄監督
前半はのんびりと戦い、後半に点が取れたらいいなと思っていました。1失点は許容範囲内ですが、2失点目がいらなかった。後半も自分たちのリズムを作りながらも、点を取り切ることができず、ちょっと勿体ない試合でした。ただ、2失点してからガタガタと崩れるのではなく、立ち直すことができたのはよかったです。ゲームが終われば毎年、こうすればよかったという後悔が出てきます。全国に出ると課題が見えるので、改善しなければいけません。

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