第97回全国高校サッカー選手権大会 全試合完全レポート

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第97回全国高校サッカー選手権大会
2回戦 龍谷-羽黒

2019年01月02日

河合拓(フリーライター)取材・文
古賀庸介 写真

19年1月2日(月)14:10キックオフ/千葉県・フクダ電子アリーナ/観客3,522人/試合時間80分
龍谷
3 3-0
0-0
0
羽黒
出口陸(前半3分)
出口陸(前半32分)
後藤嵩裕(前半9分)
得点者  

前半3分、選手権初出場の龍谷は、ロングボールで抜け出した⑯出口陸がゴールを決めて、先手を取る。その後も強度の高いプレスで相手に思うようなビルドアップを許さない。9分にもPKを獲得すると⑩後藤嵩裕が追加点を決め、リードを広げる。さらに32分にも⑯出口が右足のワンタッチシュートを決めて、3-0とした。後半、羽黒もチャンスを作ったが最後までゴールが遠く、このまま試合終了。初出場の龍谷が3回戦進出を決めた。

選手権、初出場で3回戦進出の龍谷
太田恵介監督が与えた規律と考える力

 サッカー部を強化し始めて5年。初めて選手権の出場権を得た龍谷が、2回戦で全国初勝利を挙げた。清水商から福岡大に進み、Jリーグのアビスパ福岡でもプロ経験のある太田恵介監督のもと、今年のチームは「5原則」を掲げて強化してきた。

 その5原則とは、「声」「球際」「ハードワーク」「切り替え」「競り合い・拾いあい」。初の選手権で先制点を含む2ゴールを挙げたFW⑯出口陸も「この5原則を重視してきました。そこをやったうえで、自分の長所を出さないといけない。そのベースをつくるために、日々の練習からしっかり意識してやっています」と話す。

 朝練習では週に一度か二度、1キロ走×6本を行った。そして、その6本すべてを3分30秒以内で走れなければ、トップチームに入ることはできないという。「もともと高1、高2はケガが多くて、体力がなかったのですが、高3で体力も付いて、走れるようになり、メンバーに入れるようにもなりました」と、出口は振り返る。

 この決まりを与えた一方で、太田監督は選手たちに自分で考える力をつけさせた。太田監督は「最初は一番ダメな監督だった」と自分のことを振り返る。

「たとえば選手たちが歩いている目の前に、小石があったとします。以前は練習試合でも、それをどけてきた。でも、今は小石があることに気づいて、このままだと選手がつまずくなと思っても、つまずいてもらっている。そうやって、次に転ばないために何をすればいいかを考える力をつけてもらうんです」と説明する。

「以前は、恥をかきたくないから、練習試合から選手たちに答えをすべて教えてしまった。そうしてきれいな道を歩いてきた選手たちは、公式戦になると、うまくいかないとき、ベンチを見てしまっていたんです。でも今の子供たちは、練習から自分たちのものにできているので、自分たちで対処できるようになりました

 自分たちで考えるようになると、選手たちは監督にも意見をしてくるようになったという。「外から見たら、『監督に盾突いているよ』と思う人もいるかもしれません。でも、僕は『主体性が出てきたな』とうれしかった」と太田監督は言う。

 初戦に勝利し、龍谷はさらに勢いが出てくるだろう。初出場校ながら、しっかりと応用力を身に着けてきた選手たちが、どこまで勝ち進めるか、今後も注目だ。

監督・選手コメント
龍谷・太田恵介監督
相手はポゼッションのチームだったのでプレッシングがうまくはまったと思います。初出場ですが、試合に出る前にうまくやってくれと言っていた。思い切ってやってくれたと思います。今日の試合は終わったので、良い準備をして、明日の試合に臨みたいと思います。この3年生だけではなく、僕が入って1期生目、2期生目の子供たちとやってきたこと、チームのルールも含めたものが、今3期生目のところで選手たちのものになってきている感じがします。これをベースに、次の子供たちはもっとレベルが上がっていくと思います。これは間違いなく自信になると思いますし、それも考えて1年生、2年生も今日の試合で使いました。

龍谷・⑯出口陸
試合の立ち上がりのところで点を取ることができてよかったです。しっかり自分の長所であるスピードを生かして点を取ることができました。最初は緊張しましたが、試合をやっていくうちにだんだん慣れていきました。明日も集中して、勝てるように全力で頑張りたいと思います。自分の役割を果たすことを意識していきます。それができたら自ずと点も取ることができると思うので、相手の背後を突いて、脅威になり続けるようにやっていきたいと思います。

龍谷・⑩後藤嵩裕
初出場だったので、チームとしてチャレンジ精神でいこうと思って、最初からギアを上げて、泥臭く戦えたのでよかったです。明日の試合もチーム全体で勝つだけです。総体で悔しい思いをして、無様な試合をしてしまいました。それが悔しくて県大会の決勝に挑みましたが、決勝では負ける気もしませんでした。チームが一つにまとまり、勝つことができたのでよかったです。最初の10分、チームのコンセプトである相手の背後を狙って、そこから被せていくことができたのは大きかったです。緊張するよりも、夢の舞台を楽しめました。この大会にはかける思いがありますが、楽しみたいです。勝つことでチームのレベルも上がると思うので、自分たちらしく、やることをやり続けたいと思います。

羽黒・本街直樹監督
オフェンスのボールの失い方が悪く、ディフェンス面でもリズムが悪くなってしまいました。もともと攻撃の好きな選手が多いです。守備をベースにオフェンス面に取り組んできたのですが、この試合はオフェンス面から入って、それで失敗してしまった部分もあると思います。立ち上がりはしっかり後ろで守備をしながら、前に大きくボールを蹴って、プレッシャーをかけるのがいいかなとも思っていました。でも、龍谷がそれをやってくるのはわかっていたので、自分たちはそのギャップを突いたり、ゲームを作っていなしたりしようとしたのですが、そこで引っ掛けてしまった。3年生には「頑張ったね」と伝えたいです。ここまでチームを作ってきたのは、今年の3年生ですからね。

羽黒・⑤星野竜弥
今は悔しい気持ちでいっぱいです。相手が前からくることは予想していましたし、そのなかでも自信を持って、自分たちのサッカーを貫こうとしました。でも相手のプレスの強度が自分たちを上回る部分が多く、厳しい試合の入りになっていました。後半、試合が進むにつれて自分たちのやりたいことができる展開になりましたが、前半の失点があまりにも大きかったです。相手は少ないシュート本数でも決めてきて、うちはそれを逃したところが、差になりました。まだまだ出し切れなかった、正直、悔いの残る試合です。もっともっと自信を持って攻撃的にやれたと思いますし、80分間で羽黒のやりたいサッカーを半分も出せなかったと思うし、もっとやれたかなと思います。練習試合もすべて負けなしで来ていて、チームとして非常に高い完成度で来ていただけに悔しいです。今日で終わることは正直、考えていなかったので……。

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