第95回全国高校サッカー選手権大会 全試合完全レポート

PUMA

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第96回全国高校サッカー選手権大会
3回戦 長崎総科大附-青森山田

2018年01月03日

安藤隆人(サッカージャーナリスト)取材・文
古賀庸介 写真

18年1月3日(水)14:10キックオフ/千葉県・フクダ電子アリーナ/観客7,971人/試合時間80分
長崎総科大附
1 1-0
0-0
0
青森山田
安藤瑞季(前半25分)
得点者  

3回戦屈指の好カードとなったこの一戦は、青森山田がペースをつかみながらも、再三の決定機を逃し続けた結果、長崎総科大附のエースストライカー⑩安藤瑞季(3年)の一撃で沈む形となった。前半25分、⑩安藤は中央でパスを受けると、鋭い反転からDF2人を置き去りにし、右足を強烈に振り抜いた。ボールはゴール右隅に吸い込まれ、この試合唯一のゴールが生まれた。この1点を守り抜いた長崎総科大附が、前回王者の青森山田を下し、準々決勝進出を果たした。

前年度覇者の前に立ちはだかった
ゴールを守る番人

1−0の勝利の立役者は、長崎総科大附のゴールマウスを1年のときから守り続けているGK⑫湊大昂(3年)だった。

175センチと上背はないが、瞬発力と安定した重心移動、身体のバネを駆使したシュートストップの質は高く、キャッチング技術も高い。1対1の対応も冷静で、常に面を作りながらシュートコースを限定させ、得意のセービングの形に持っていくのがうまい。だからこそ1年のときから守護神の座を張り続けられる。

前年度チャンピオンの青森山田に対しても、その安定感を発揮した。立ち上がりから猛攻を浴びた長崎総科大附は、前半10分のMF⑭田中凌汰(3年)のミドルシュートがバーに、前半34分のMF⑩郷家友太(3年)のシュートが右ポストに当たるなどの運にも恵まれたが、前半37分に⑭田中に抜け出されるも、⑫湊が冷静にコースを切りながら飛び出したことで、シュートは枠の外へ。

1−0で迎えた後半、⑫湊の集中力はさらに高まった。まずは同点に追いつきたい青森山田は、後半22分にMF⑯浦川流樺(3年)に代え、195センチのDF⑰三國ケネディエブス(2年)を前線に投入してきた。直後の後半25分、青森山田はDF②鍵山慶司(3年)の右からのクロスを、中央で⑰三國がドンピシャヘッド。ボールはゴール右隅に飛んだが、次の瞬間、「自然と身体が動いた」と⑫湊が軽やかな横っ飛びから右手一本で外にはじき出した。

フクダ電子アリーナがどよめくほどのビッグセーブでピンチを防ぐと、後半38分には右から⑭田中に侵入を許し、1対1の場面を作られるが、これもドンピシャのタイミングで前に飛び出してシュートブロック。その直後のゴール中央からのミドルシュートも、目の前でバウンドする嫌なボールだったが、後ろにこぼすことなく身体に当てて、前に落としてキャッチするなど、青森山田に隙を一切許さなかった。

そして、後半アディショナルタイム。ラストプレーでFW⑪中村駿太(3年)がドリブルで抜け出し、決定機を作り出すも、「みんなが少しずつ中村選手のシュートコースを消してくれていたので、僕は前に出て残りのシュートコースを消せばよかった。かなり落ち着いていました」と、またも絶妙なタイミングで飛び出して構えたことで、シュートを枠の外へ追いやった。
「インターハイでは終盤に集中が切れて負けてしまった。今回はそうならないように意識してプレーした」(⑫湊)
インターハイ準々決勝の流通経済大柏戦では、⑩安藤のゴールで先制しながらも、終盤に連続失点し、1−2で敗れた。その苦い過去を繰り返さないように、⑫湊は最後の最後まで集中力を保ち続けたからこそ、ゴールを許さなかった。

「全体的に1対1への対応は冷静にできたと思います。みんながコースを切ってくれたからこそだし、しっかりと面を作って対応できました。本当にみんなのおかげです」と、試合後、⑫湊は謙遜しながら周りを立てたが、冒頭で述べたように彼のビッグセーブと安定した1対1の対応がなかったら結果は違っていた。
「次はインターハイのときのリベンジです。絶対に借りを返したいと思いますし、そこで集中して戦い抜いてこそ、今日の勝利が意味を持つと思います」(⑫湊)
次なる相手は因縁の相手・流通経済大柏。エース⑩安藤は累積警告で出場停止となってしまったが、同じ準々決勝の舞台でリベンジに燃える気持ちは誰もが持っている。⑫湊はさらなる躍動を胸に誓った。

監督・選手コメント
長崎総科大附
小嶺忠敏監督
チームの底上げができていなくて、誰かがケガで抜けたら厳しくなってしまうでしょう。今日使った⑰西原先毅はずっとプリンスリーグでもスタメンを張っていました。⑰西原は合格点を与えられる出来だったと思います。

⑩安藤瑞季
ゴール前ではよりマークが厳しくなるので、外から狙っています。ゴールが見えたら打とうと思っています。あのシーンもゴールしか見えていなかったので、ゴールに向かって思い切り打ちました。チームの勝利につながるゴールを決めたいと思いました。もっとレベルアップをして、周りに刺激を与える存在になりたいです。次の試合は出られない分、みんなを信じたいし、迷惑をかけてしまって申し訳ないです。

⑫湊大昂
今日の試合は自分のプレーだけでなく、みんなが身体を張って守ってくれたので、絶対に守りきろうと思っていました。ヘッドのときは自然と右手が出ました。シュートストップは、少し自信があります。(準々決勝で対戦する)流通経済大柏はインターハイのときのリベンジです。絶対に借りを返したいと思います。

青森山田
黒田剛監督
チャンスが何本もあったにもかかわらず、決めきれなかったのは、昨年度と違うところでした。運がなかったのか、足りなかったのか。本当に惜しい試合でした。個人のフィニッシュのところの焦りはあったと思います。⑭田中の2本と⑪中村の最後の1本、⑰ケネディのヘッドなど、あれだけ決定打がありながらも入らないのは、1年を通して見てもなかなかないことです。ただ決定力がないのか、力がないのか。ちょっと考えても分かりませんが、こんなゲームがあるのもサッカーだとも思います。もったいない試合でした。惜しいところにいきながらも、最後の最後で逃し続けた1年間でした。優勝のプレッシャーはありましたが、最後に甘さが出てしまいました。

⑩郷家友太
前のスペースが消えてしまって、なかなかうまくプレーできませんでした。中学の途中から青森山田に来て、何もできなかった自分に腹が立ちますし、未だ足りないことがたくさんあると痛感をしました。

⑦壇崎竜孔
ピッチ外での甘さがこういう大事なピッチでのプレーに大きく影響をしてしまうことが分かりました。痛感しました。年間を通じて、僕がずっと試合に出させてもらっているにもかかわらず、結果を出せなかったのは自分の甘さだと思います。全体的にプレーの精度が低くて、サッカーの神様がまだまだ甘いと教えてくれました。

⑰三國ケネディエブス
交代してすぐチャンスがきて、ヘッドはよかったけどコースが甘くてGKに触られてしまいました。そういうヘッドの技術が足りませんでした。来年度は今年度の悔しさを晴らしたいです。選手権メンバーに入った僕らが中心となって、すぐに新チームが始まるので、いいスタートを切りたいです。

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