第95回全国高校サッカー選手権大会 全試合完全レポート

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第95回全国高校サッカー選手権大会
準々決勝 前橋育英-滝川第二

2017年01月05日

森田将義(フリーライター)取材・文
松岡健三郎(本誌) 写真

17年1月5日(木)14:10キックオフ/千葉県・フクダ電子アリーナ/観客4,985人/試合時間80分
前橋育英
2 1-0
1-0
0
滝川第二
⑥長澤昴輝(前半22分)
㉔人見大地(後半37分)
得点者  

序盤から拮抗した試合展開が続く中、試合が動いたのは前半22分だった。右サイドからあがったクロスを㉔人見大地がヘディングで落とすと、⑩飯島陸がこぼれ球に反応。ドリブルで仕掛けたところを倒され、PKを獲得すると、⑥長澤昴輝が決めて前橋育英が先制した。以降は滝川第二がエース⑩持井響太を中心に反撃を試みたが、前橋育英の激しいプレスに苦しみゴールが奪えず。後半37分には㉔人見をPA内で倒し、この日2度目のPKを与えると、㉔人見自らに決められ、勝敗が決した。

2失点で敗退の滝川第二
主将は後悔も、監督は奮闘を称える

日本一となった2010年大会以来となるベスト8進出を決めた滝川第二は、ここまでの3試合で13得点を奪った攻撃陣に目が行くが、守備陣もここまで無失点。堅守を支えてきたのが、主将を務める⑤今井悠樹だ。「今大会に入って、いちばん成長している選手」と松岡徹監督が名指しで称賛するほどの活躍で、勝ち上がりを支えてきたが、目標とした埼スタ入りを前にし、待っていたのは過酷な現実だった。

前半21分に自らのファールによりPKを与えて、先制点を献上した。後半36分にはPA内で仕掛けた前橋育英㉔人見大地に対して、「2点目を取られたら、終わりだと思い、冷静さを失っていた」とスライディングで倒してしまい、2枚目の警告を受けた結果、退場となった。このプレーによって与えた2度目のPKを決められ、0-2で敗戦。⑤今井は試合後、「キャプテンの僕がレッドカードで退場し、チームに迷惑をかけてしまった。申し訳ない気持ちでいっぱいです。プレーとしても大したプレーができなくて、悔しい。DFリーダーとしても、キャプテンとしてもやってしまった」と無念を口にした。

ただ、松岡監督が「彼自身は危ない場面を何度も防いでくれていた。PKを与えた場面はDFが悪いというよりも、その前の段階に問題があったと思う」とフォローしたように、彼一人のせいで負けたわけではない。それどころか、彼の存在がなければ、選手権でベスト8まで進むことなど不可能だったのは確かだ。

「個性強すぎるヤツが多すぎて、まとめるのがすごく大変だったし、苦しいことのほうが多かった」。そう振り返るように、主将を託された今季は重圧に耐えながらも、なんとかチームを勝たせようと奮闘を続けた。苦悩の中で成長を実感するのが人間面。「キャプテンとして、僕がいちばん元気を出して頑張らなアカンと思っていた」とこれまで自らの欠点として挙げてきた気分屋で、人の前で話せなかったという課題を少しずつ克服していった。

滝川第二OBである松岡監督も現役時代に主将を経験。「チームのことばかりで、自分のプレーをあまり覚えていない。いつの間にか帝京さんにPKで負けていた」と苦笑いするように、キャプテンの重圧は誰よりも知っている。だからこそ、松岡監督は⑤今井に伝えたいことがある。「今後の人生、いろんなことがあるし、彼はこれを糧に成長していくと思う。(今日の結果は)短い目でみたらかわいそうだけど、長い目で見ればすごく貴重な財産になると思う」。

「ピッチにキャプテンがいなくなってからも、テーマである“心のあるチーム”を見せてくれたし、最後の最後まで戦う、滝川第二らしさは見せてくれた」と指揮官が称える今年の代の中心だったのは⑤今井で間違いない。目標とした埼スタ行きを逃した悔しさを見せつつも、「正直、こんなところまで来られるとは思っていなかった。一試合一試合勝っていくにつれて、みんなの勝ちたいという想いが強くなっていった。いろんな人に良かったと言ってもらえたし、僕自身チームがまとまっていったように思う」という言葉を残し、高校サッカーを卒業した。

監督・選手コメント
前橋育英
山田耕介監督
滝川第二はこの3試合、開始から10分以内に得点を奪っているので、立ち上がりはリスクを避けて蹴り合いになるのを覚悟し、ボールを大きく蹴ろうと伝えていました。10、15分が過ぎたら、リズムよくつないでいこうという狙いでした。この試合、出場停止だった③角田涼太朗のところで不安もありましたが、代わりに入った②小山翔も2年生のころから試合に出ていた力のある選手。ケガが多かったのですが、何とか間に合い、良いプレーをしてくれました。

㉔人見大地
前半の最初からゴールは狙っていた。後半もチャンスが多かったので、シュートを打とうと思っていたのですが、(PKをもらった場面は)相手がスライディングするのが見えたので、落ち着いて切り返したらハンドになりました。PKは練習をしっかりしてきて自信もあったので、しっかり決めることができました。競り合いで負ける場面もありましたが、チームのために走ることなどコツコツやっていたので、結果につながって良かったです。

滝川二
松岡徹監督
前橋育英さんはやっぱり強かった。技術の差を知ることができたのが勉強になりました。技術があってボールが収まる㉔人見大地を起点にした前橋育英の攻撃を奪い、攻撃に転じたかったのですが、思うようにボールが落ち着かず攻撃ができませんでした。この3試合、立ち上がりに点が取れていたので、PA内に入ればチャンスがあるぞと選手に声をかけていたのですが、思うようにいきませんでした。前橋育英さんが自分たちの良いところを出したので、ウチからすれば良いところが出せなかった試合だったと思います。

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