第95回全国高校サッカー選手権大会 全試合完全レポート

PUMA

PUMA

第95回全国高校サッカー選手権大会
1回戦 長崎総科大附属-桐光学園

2016年12月31日

鈴木智之(スポーツライター) 取材・文
高橋学 写真

16年12月31日(土)12:05キックオフ/神奈川県・等々力陸上競技場/観客8,314人/試合時間80分
長崎総科大附属
2 1-0
1-0
o
桐光学園
⑨右田翔(前半7分)
⑩薬真寺孝弥(後半29分)
得点者  

長崎総科大附がマンツーマンを主体としたハードなプレス、球際の強さで主導権を握ると、前半7分に⑦宇髙魅人のスルーパスに⑨右田翔が抜け出し、GKと1対1の場面で冷静に右足を振り抜き先制する。その後もプレスの勢いを緩めない長崎総科大附に対し、桐光学園は⑩鳥海芳樹、⑦西川公基、⑪倉持快を中心にテンポの良いパスワークでリズムを作るが、長崎のスイーパー⑮田中純平、GK⑫湊大昂の好プレーの前にゴールを割ることができない。長崎総科大附は⑦宇髙、⑨右田、⑪安藤瑞季の3トップを軸に鋭いカウンターを繰り出すと、後半29分に左サイドから桐光学園の守備を崩し、最後はキャプテン⑩薬真寺孝弥がゴール左に流し込み2点目。桐光学園の猛攻も実らず、長崎総科大附が2回戦に駒を進めた。

長崎総科大附が高い身体能力とテクニック、
チームとしての統制を見せつけ、桐光学園を撃破

ボールを収める、蹴る、走る――。長崎総科大附の選手たちは、サッカーに必要な基礎能力が高い。なかでも前線の4人、ワントップのU-17日本代表FW⑪安藤瑞季、左ウイングの⑦宇髙魅人、右ウイングの⑨右田翔、そしてトップ下に入るキャプテンの⑩薬真寺孝弥を揃える攻撃陣は屈指の破壊力で、桐光学園ゴールを何度も脅かした。

多彩な攻撃を支えるのが、寄せの速いプレス。この日も、桐光学園の⑩鳥海芳樹、⑦西川公基、⑪倉持快、⑭田中雄大といった攻撃陣にボールが入ると、素早い寄せと体のぶつかり合いをいとわない姿勢でボールを奪取。一人目の選手がプレスを掛けて相手の自由を奪い、縦パスを後方にいる選手がインターセプトするという、守備の基本に忠実なプレーで桐光学園の攻撃を封じた。相手に体をぶつける技術、ヘディングで競り勝つジャンプ力、セカンドボールを拾うための予測力と動き出しと、どの選手も総合的な能力が高く、チームとしてスキがない。

戦術的にも柔軟で、桐光の攻撃力を警戒し、相手2トップにセンターバックの②嶋中春児と⑤森田将生がマンマークでディフェンス。後方に⑮田中純平がスイーパーとして、カバーリングを担当する作戦が奏功した。小嶺忠敏監督は「ディフェンス陣がきっちり仕事ができるかどうかが、勝負の分かれ目だと思っていた。役割分担をはっきりさせて、自分の仕事を忠実に遂行してくれた部分は評価できる」と及第点を与えた。

長崎総科大附は「攻守の局面で相手を上回ることで、試合に勝つ」というサッカーの原理原則を体現するチームであり、相手からボールを奪うこと、スペースを見つけて素早く攻めること、選手が連動することなど、相手を上回るために必要な要素を備えている。

桐光学園には川崎F内定のDF⑤タビナス・ジェファーソン、C大阪加入内定のGK①茂木秀がいたが、キャプテンの⑩薬真寺は「相手にはJリーグに行く選手がいましたが、自分たちも負けていない。どんな相手が来ても、できると思っている」と自信をのぞかせる。初戦の戦いを見るに、力強さと柔軟さを備えた彼らが、トーナメントの頂点に立っても決して驚きではない。

(コメント)
長崎総科大附

小嶺忠敏監督
試合の内容では負けたが、勝負に勝った。最後まで集中が切れず、よく頑張った。内容は正直言って桐光さんのほうが上でしたが、一人ひとりの能力に応じた仕事をやってくれた。これが続く限りは、ある程度チームとして機能する。相手には、11番、10番、途中出場の9番と個性のある選手がいるので、いかにディフェンス陣がきちっと仕事ができるかどうかが、勝敗の分かれ目だと思っていた。マンツーマンにしたのは、今日はそうせざるを得ないと思ったから。うちの能力では、彼らを止める力はない。仕事の分担をはっきりさせるという意味で、自分の仕事を忠実にこなしていく。チャレンジしてカバーしてというのではなく、1つの仕事に集中する。それが今日の試合の進め方でした。

⑩薬真寺孝弥
楽しみながら、自分たちのプレーができました。みんなリラックスして、アップから声を出して盛り上げていたので、緊張はなかったです。相手にはJリーグに行く選手がいて、ビビる人もいるかもしれないですけど、自分たちも負けていないというのをチームメートに伝えました。実際にやってみて、やれないことはなかったと思います。選手権はどの試合が最後になるかわからないので、楽しみながら全員で勝ちに行きたいです。

桐光学園

鈴木勝大監督
先に点を取られたことが、後半まで尾をひいてしまった。前半の中盤から後半にかけて、ゴールを決めるチャンスがあった中で、決められないことが、選手たちのストレスに変わっていたんじゃないかなと思います。長崎総科大附さんのアプローチや切り替えの速さは、情報として持っていました。うちが著しく劣っていたとは思いません。勝負の分かれ目のところで、決定機をものにできたかどうかの部分で、差があったのではと思います。(タビナス、茂木の)プロに行く選手たちには、感謝の気持ちを持ちながら、向上心を持って謙虚にやってほしいと思います。

⑤タビナス・ジェファーソン
自分たちの力不足です。悔やんでも悔やみきれない形で失点して、チャンスもあったが決めきれなかった。詰めの甘さが顕著に現れたゲーム。準備はしていたが、押し切られた。キャプテンとして、チームメートに助けられてここまでやってきた。仲間に感謝の気持ちを伝えたいです。

img
img
img
img
img
(C)Gakken Plus Co.,Ltd.
ページトップへ