第94回全国高校サッカー選手権大会 全試合完全レポート

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第94回全国高校サッカー選手権大会
準々決勝 青森山田-富山第一

2016年01月05日

篠幸彦 取材・文

16年1月5日(火)12:05キックオフ/神奈川県・ニッパツ三ツ沢球技場/観客6,300人/試合時間80分
青森山田
1 0-0
1-0
0
富山第一
高橋壱晟(後半31分) 得点者  

前半開始から青森山田が右サイドを起点に攻勢を強めたが、堅守の富山第一は徐々に対応していく。互いに決定機をうまく演出できず、前半は0−0で折り返した。後半に入るとボールが回り始め、青森山田はそれまで中央にいたMF⑩神谷優太を左サイドへポジションチェンジ。すると後半71分、青森山田が左サイドを崩し、MF⑦高橋壱晟が今大会4得点目となるヘディングシュートをたたき込む。これが決勝弾となり、青森山田が6年ぶりにベスト4へ進出。

4試合連続の終盤10分でのゴール
勝負強さを見せつけた青森山田が4強入り

選手権常連の実力校同士の対戦となった準々決勝。サイドを起点に主導権を握りながら攻める青森山田に対し、堅守速攻を狙う富山第一。大塚一朗監督の「プラン通りにできていた」という言葉の通り、決定機は少なく、試合は長い時間均衡が保たれた。

試合が動いたのは後半31分。右サイドから青森山田・MF⑦高橋壱晟が鋭いライナー性のパスで、左サイドのMF⑩神谷優太へサイドチェンジ。⑩神谷がタメを作ると、すかさずDF⑥北城俊幸が追い越していく。⑥北城がサイドをえぐって左足のクロス。そこへ猛然と走りこんだ⑦高橋が豪快にヘディングシュートをたたき込んだ。

この瞬間まで青森山田は我慢の時間帯が続いていた。「多少蹴り合いになってもリスクを犯さず、後ろ5枚を残してカウンター対策をさせた」と、黒田剛監督は富山第一の2トップの鋭いカウンターを最大限に警戒。サイドバックの攻撃参加を極力抑えるように指示していた。そんな中、⑥北城は「スイッチを入れる瞬間をしたたかに狙っていた」と、虎視眈々とそのときを待っていた。

そしてその瞬間が訪れる。「ここで取らないと流れが変わって点を取られかねなかった。⑦高橋から⑩神谷にパスが来た瞬間、チャンスだと思った」(青森山田・⑥北城)。神谷にパスが通った瞬間、⑥北城は思い切りスタートを切った。

パスを受けた⑩神谷は巧みにタメを作り、後ろを追い越す⑥北城へヒールパス。ピタリとタイミングが合う絶妙なパスだった。左サイドをえぐった⑥北城は「前の場面でニアに入れて⑰鳴海が触れなかったシーンがあった」(青森山田・⑥北城)と、⑥北城はファーサイドへクロスを送る。「あまり見えていなかったが、誰かが来ると信じてファーサイドへ入れた」(同)。クロスへ飛び込んだ⑦高橋は「常にゴールを狙っている」と、MFながら今大会4得点目。黒田監督は「ラッキーボーイ的な何かを持っている」と目を細めた。

今大会4試合すべてで後半残り10分で得点を挙げている青森山田。勝負所を巧みに読んだ⑥北城をはじめ、今季プレミアリーグ2位の青森山田のチームとしての勝負強さが際立つ決勝弾となった。

(監督・選手コメント)

青森山田
黒田剛監督
これがプレミアを通じて本来山田がやらなければならないサッカー。絶対に点は取れる。ここまでの3試合で10得点決めていることに自信を持って行けといっていた。必ず1点は取れる。だから失点は0で行こうと。だからそれまで後ろはそんなにリスクを負うことはない。数的不利だったり、同数になる必要はないと選手たちに伝えていた。前半は割と蹴り合いというか、上空をボールが通過していくことが多かったが、後半からだいぶボールも動き始めてサイドでしっかりと起点が作れた。落ち着いたところで⑥北城のクロスオーバーから高橋のヘディングということで、形としては素晴らしいゴールが取れと思う。

⑦高橋壱晟
自分たちが優位に攻めていたので、どこかで1点取れればいいと思っていた。相手のカウンターには気をつけていたので、無失点で終われてよかった。

⑥北城俊幸
今はチームが勢いに乗っていると思う。でもこれに浮かれることなく、次の試合に向かっていければいい。神谷からうまいヒールパスを受けて、持ち出した瞬間にクロスは意識していた。ボランチの選手があそこに飛び込んでくるのはうちの強みだと思う。理想的な得点だった。

⑩神谷優太
あとはみんなの力でメダルの色を変えていくだけ。それに貢献できるように頑張っていきたい。ヒールパスはとっさの判断だったが、自分でもあの判断はよかったと思う。今日の中ではいちばんいいプレーだった。

③常田克人
無失点で勝ち切ったのはよかった。相手が自分たちの裏に蹴ってくるのはわかっていたので、相手が蹴る瞬間のダウン(DFラインを下げるの)を先に動くというのは意識していた。何回かチャンスは作られてしまったが、それが失点につながることはなかったのは大きかった。最後の時間帯に相手が勢いをもってくるのはわかっていた。それでもやられる感じはしなかった。落ち着いて対応できたと思う。

富山第一
大塚一朗監督
出来はそんなに悪くなかったが、サッカーは点を取るか、取らせないかというのが原理原則。そこで取られて、うちが取れなかったというのが全てだと思う。最後のヘディングシュートは高かった。早川のところでヘディングシュートされているので、あいつが負けたらもうしょうがない。本当に選手たちに感謝したい。辛い時期が長かった。自分たちがやったわけではないのに、優勝したチームの選手たちと見られてきた。そこで勝てなくて、すごく悩んだ時期もあったと思う。そこをはね退けて、人間性の部分をしっかりと見直してここまでやってきたというのは賞賛に値すると思う。

⑩早川雄貴
色んな人が応援してくれて、期待に応えられなかったのが申し訳ない。こうやってベスト8までサッカーができたのは、色んな人が携わってくれて支えてくれたおかげ。大塚監督をはじめとしたスタッフに本当に恵まれて充実した3年間だった。富山第一でサッカーができてよかったと思う。

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