12年1月7日(土)/12:05キックオフ/東京都・国立競技場/観客19392人/試合時間90分 |
| 市立船橋 |
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大分 |
渡辺(前半24分)
和泉(後半11分) |
得点者 |
清家(後半36分) |
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| 名門・市立船橋が7大会ぶりに決勝進出を決めた。前半15分まではボールを蹴り合うだけの低調な試合内容。そんな中でボールを両サイドにつないで主導権を握ったのが、市立船橋。そして前半24分にゴール正面で得たFKを23渡辺が直接決めて先制点を奪う。後半11分には相手が前がかりになったスキをカウンターで突き、最後は⑩和泉が決めて加点。その後大分にセットプレーから1点を許したものの、危なげない試合運びで勢いに乗る大分を振り切った。 |
プロの世界だけでなく、高校サッカー界でも強豪クラブ同士の戦いであれば、スカウティングが勝敗を大きく左右するもの。試合を徹底的に分析して戦略を練り、選手たちにポイントを絞って伝達する。どの選手を使い、どう戦うか。大会も準決勝まで来ると、その材料は豊富にそろっている。
市立船橋、大分とも当然のように、事前のスカウティングで戦略を立てていた。市立船橋は、大分の素早いプレッシャーとロングボール攻撃を警戒。「(大分は)攻撃に迫力があり、前の3人に連動性もある」(市立船橋・朝岡隆蔵監督)ため、立ち上がりに慌てることがないように、中盤に守備的な選手を並べた。攻撃的なMF⑧杉山丈一郎とFW⑪菅野将輝をベンチに置き、守備力に長けた⑱磐瀬剛と23渡辺健斗を起用。慎重に試合に入り、点が欲しい時間帯で、⑧杉山と⑪菅野を一気に投入する腹づもりだった。
大分のほうは、これまでの前からガンガン圧力をかけて、奪ったら一気にスペースを突く、自称「フリーマンサッカー」を微調整。市立船橋の⑩和泉竜司とダブルボランチ(この日は⑫松丸龍、23渡辺健斗)がキープレーヤーと分析し、そこから出される⑨岩渕諒へのパスコースの遮断を、攻略の最優先ポイントに挙げた。フリーマンサッカーのスタイルは踏襲しつつも、「3トップを1トップに変更し、ボランチ3人を中に絞らせて中盤をコンパクトにした」(大分・朴英雄監督)。
結果、立ち上がりに面食らったのは、市立船橋のほうだった。大分がプレッシャーに来ない。中盤でボールが持てる。相手のDFラインも低い。自分たちの意に反した出来事に、選手たちは、立ち上がりの15分まで大分に付き合って、飛んできたロングボールを蹴り返していた。しかし「選手たちが今までの経験を生かしながら、柔軟に対応した」と朝岡監督が評価したように、ぎこちなさはあったが、サイドにボールを散らして、攻撃を組み立て始めた。「相手が引いてブロックを作ってきたので、DFラインと中盤の間のスペースを使ってゲームを運んだ」とFW⑩和泉は相手のギャップでボールを受けて、攻撃のリズムを作り、試合の主導権を手繰り寄せた。そして前半24分、ゴール正面でFKを獲得し、それが先制点へとつながった。
1点をリードされた大分だが、焦りはなかった。「失点したけど、それでも我慢した」と朴監督がいうように、前半は相手の攻撃を耐えしのんだ。そして朴監督はハーフタイムに満を持して反撃プランを選手たちに伝えた。それは「(私が)サインを出したら、3トップにして、本来のサッカーでいけ」(朴監督)というもの。ただ結果論になるが、このサインを出すのが、遅すぎた。なぜならその前に2失点目を喫してしまったからだ。失点は後半11分、サインは後半19分だった。MF⑨梶谷充斗が「疲労がたまっていた」と語ったように、それまでの守備に忙殺され体力を相当消耗していた。1回戦から数えてこの日で5試合目。市立船橋は2回戦からの登場ということを考えれば、大分の疲労度のほうが大きかったのだろう。2点差をひっくり返すだけの余力はほとんど残されていなかった。
残り10分となったところで、市立船橋は「自信を持っている」(朝岡監督)という敵陣深くでのボール回しで時間を使い始める。こうなると大分は人数をかけて奪い取らなくてはならなくなり、肝心のゴールからはさらに遠のいてしまった。
ゲームプランを崩されたが、冷静にそれに対処し、勝利に結びつけた市立船橋は、伝統校の名に恥じぬ、見事な戦いぶりだった。決勝の相手は四日市中央工となったが、この日のような適応力を発揮できれば、5度目の優勝も見えてくるだろう。
一方大分は、攻守の要⑩上野尊光のケガによる離脱が響いた。FWの⑥武生秀人をボランチで使ってやりくりしたが、⑨梶谷も敗因を「⑩上野がいなかったので、有効なパスがでなかった」と語るなど、中盤からスペースへビシッと出るフィードボールが影を潜め、迫力のある攻撃を最後まで見せることができなかった。試合後、朴監督は「いくら効率的にサッカーをやっても、点を取れなきゃ評価されない」と悔しさをにじませたが、走力を生かした「フリーマンサッカー」は、今大会にくっきりと足跡を残したといえる。
(監督・選手コメント)
市立船橋・朝岡隆蔵監督
大分が相手ということで、しっかりと準備してきた。ただ大分は想定外の入り方をしてきた。ハーフタイムに相手は1点ビハインドなので必ず襲いかかってくるから、それを見極め、リスク管理をしっかりしようと話をした。ただ後半も想定外の戦い方で、いつ攻撃に出てくるんだろうと思っていた。大分は連戦で疲れていて、運動量が落ちていたのが原因ではないか。うちの選手たちは今までの経験を生かしながら、柔軟に対応してくれた。しっかりとボールを動かすことができた。
市立船橋・⑩和泉竜司
(得点シーンは)パスがズレて、ファーストタッチで前を向けなかったが、シュートを打つときに気持ちを込めて打った。前2試合で、チャンスで決められなかったので、今回決められてよかった。もっと大分は前からプレッシャーに来ると思っていたが、来なかった。後半も前から来ると思っていたけど、来なくて、そんな中で1点を取ることができた。自分たちのほうが気持ちで上回っていたと思う。
市立船橋・⑨岩渕諒
最初、僕も含めてみんなが硬かったが、先制点が入ってそれがなくなった。今日は試合で何もできなかったので、決勝では頑張りたい。優勝することが目標。FWなので点を取る欲もかきつつ、優勝に貢献したい。
大分・朴英雄監督
勝ちにいくシナリオまではうまくいったが、中身は微妙。単調なところがあった。力の差だと思う。攻撃では見せることはできなかったが、(市立船橋の)うまい選手たちを苦しめることができたので、守備に関しては非常によかった。外国人監督として最初に国立に立つことが目標だった。誰もが国立を夢見ている。死ぬ前に来てよかった。引退するわけじゃないですよ。
大分・⑨梶谷充斗
パス回しでサイドに展開できなくて苦しかった。相手がうまかった。ボールを持つと、何人もプレッシャーが来ていた。1失点で焦りが出てしまった。DFラインが下がってしまったが、それだけ相手が脅威だったということ。国立は夢の舞台。立つことができてうれしかった。 |