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第90回全国高校サッカー選手権大会 レポートコラム

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トーナメント表
大会概要
2012/1/5

第90回全国高校サッカー選手権大会 準々決勝 大分-市立西宮

鈴木智之(スポーツライター) 取材・文

12年1月5日(木)/12:05キックオフ/埼玉県・埼玉スタジアム2002/観客1834人/試合時間80分

大分
1-2
2-0
市立西宮
清家(前半34分)
小松(後半8分)
牧(後半39分)
得点者 指田(前半9分)
後藤(前半13分)

山梨学院大付、近大付と強豪校を破った勢いそのままに、市立西宮が前半9分に先制する。直後の13分にはエースのMF⑩後藤がペナルティーエリアの外から、右足で鮮やかなミドルシュートをねじこみ、追加点を奪った。追いすがる大分は、34分にセットプレーから1点を返すと、後半8分にFW⑪小松が2点目をゲット。試合終了直前に「切り札」21牧がゴールを決め、大逆転勝利を飾った。

粘り強さを発揮し、3連続ゴールで逆転!
大分高校が国立競技場への切符を手中に

 大分高校が見事な大逆転勝利をおさめ、同校初となるベスト4に進出した。試合終了の瞬間、大分の朴英雄監督はグラウンドに突っ伏し、感情を爆発させた。「日本に来て18年。指導者としての目標は国立のピッチに立つことだった。こんなにうれしいことはない」(朴監督)

 大分にとっては苦しい展開だった。前半9分、13分と中盤のルーズな守備を突かれ、早い時間帯で2点のビハインドを背負うことに。「うちの中盤が最終ラインとくっついてしまった。それを修正しない限り、点は取られると思っていた」(朴監督)。ボールコントロール技術に優れた市立西宮の中盤に対し、大分の中盤が下がりすぎてしまい、大きなスペースを与えることとなった。

 反撃ののろしをあげたのは34分。直接FKをDF⑰清家俊がGK①中野啄冶の鼻先でバックヘッド。これがゴールに吸い込まれ、1点を返す。ハーフタイムに入ると、指揮官は中盤の3人のポジションを本来の高さにするよう、修正を加える。さらに相手のボールがサイドに入ると、中盤の3人がボールサイドにスライド。守備の安定を図り、リズムを取り戻そうと試みた。

 攻撃はシンプルに相手DFラインの裏を狙い、セカンドボールを拾い始める。ようやく、本来のリズムを取り戻した大分が、徐々に試合のペースをつかんでいった。

 そして後半8分、左からのCKをファーサイドで途中出場の⑪小松立青が蹴り込み、同点に追いつく。ハイボールを処理しようとした、市立西宮のGK①中野は、左足の甲を痛めており、満足にステップを踏むことができない状態だった。

 このゴールで同点に追いつくと、その後は一方的な大分ペース。大分の攻撃はシンプルで力強い。奪ったボールを素早く、相手のDFラインの裏を目掛けて蹴り込む。そこに、球際に強く、ボールの奪い合いに力を発揮する3トップの選手がなだれ込んでいく。「向こうは人数をかけてくるから、うちがボールポゼッションをすると取られちゃう。後半は向こうの中盤とトップの4人が前線に張るようになった。そのため中盤に戻れなくなったこともあり、前にボールを飛ばしていこうと思った」(朴監督)

 何度も送り込まれるハイボールに、市立西宮の最終ラインは手を焼いた。初戦から固い守りを披露していた、DF⑤帷智行は「カバーをしっかりすれば止められると思ったんですけど、疲れもあって、わかっていても対応が遅れたところもあった」と悔しそうに振り返った。

 そして終了間際の39分。試合を決定づけるゴールが生まれた。大分FW⑥武生秀人の縦パスに、朴監督が「最後のカード」と期待を寄せる、途中出場の21牧寛貴が抜け出し、GKと1対1の場面で冷静にシュートを流し込んだ。0-2からの3連続ゴールで逆転すると、直後に試合終了のホイッスルが鳴った。

 大分は大逆転で初のベスト4進出。朴監督は「国立に立つことで、私のサッカー人生は終わりだと思っていた。外国人が国立に連れていったのは私が初めてだと思う。とてもうれしい」と感激の面持ちで語った。

 一方、敗れた市立西宮の大路照彦監督は「長短のパスを織り交ぜたアイデアあふれるサッカーで、(大分の)パワーサッカーに勝ちたかったのですが、最後のところでパワーに屈してしまいました」と肩を落とした。試合後、文武両道を実行し、ベスト8まで勝ち上がってきた選手たちには「ありがとう、ごくろうさま」と声をかけたという。丁寧にパスをつなぎ、素早い攻撃でゴールを目指す「イチニシ・スタイル」は国立まで一歩及ばなかったが、好感の持てるスタイルだった。大会を沸かせた文武両道校に、拍手を送りたい。


(監督・選手コメント)
大分・朴英雄監督

サッカー人生の終点は国立のグラウンド。そこまでしか線路は引いていません。今日、終点にたどり着きました。引退会見ではないんですけど、今日が新たな誕生日です。ものすごくうれしいです。いつかは大分県を背負って、国立に行きたいと思っていました。私は日本人ではありませんが、大分県民なので、県民としてとてもうれしく思っています。

大分・⑩上野尊光
今までの試合でいちばんきつかったけど、最後は気持ちで戦いました。勝ちたい気持ちは自分たちがいちばんじゃないかと思うぐらい、みんな気持ちは入っています。国立を目指していく、強い志を持っているところに運も転がってくると思うので、強い気持ちを持ってやっています。

市立西宮・大路照彦監督
チーム状態もよく、やりたかったサッカーに近いものができました。ですが、早い時間帯に点を取れたことで、ベンチや選手に経験のなさが出てしまいました。あと1試合、勝たせてあげたかったです。相手はパワー、スピード、闘志がありました。2点を先に取ったことによって、気迫の部分で甘さが出てしまったかなという気がします。

市立西宮・⑤帷智行
勝てなかったことは自分の力不足を感じています。今日までの間は、一生の思い出になりました。公立高校でベスト8進出ということで、そんなに落ち込む必要もないと思います。胸を張って西宮に帰りたいです。

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