12年1月3日(火)/12:05キックオフ/東京都・駒沢陸上競技場/観客2440人/試合時間80分 |
| 中京大中京 |
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済美 |
宮市(前半39分、後半2分)
熊谷(後半26分) |
得点者 |
青木(後半5分)
藤本(後半39分) |
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| お互いが強みを出し合う一進一退の好ゲームのスコアを動かしたのは中京大中京。前半39分、左SB⑪河合のクロスを待ち受けていた24荒木がワントップの⑲宮市へダイレクトパス。⑲宮市はキックフェイントで相手DFをかわした後、左足を豪快に振り抜き先制点を奪う。さらに攻撃の手を緩めない中京大中京は後半早々の2分にも、⑩熊谷のスルーパスに鋭く抜け出した⑲宮市この日2点目となる追加点。主導権を一気に引き寄せた。しかし済美も直後の7分に⑭藤本の浮き球パスに抜け出した⑨青木がゴール。2トップの連係から反撃ののろしをあげると、その後も決定機を2度にわたり演出。勝利への執念を見せる。ただし、次の1点を奪ったのは中京大中京であった。26分、⑰速見の左クロスに⑲宮市がつぶれ役となった先にフリーで待っていたのは⑩熊谷。彼の左足シュートで、趨勢(すうせい)は決し、中京大中京が初のベスト8進出を決めた。が、敗者の済美も39分に⑭藤本のPKで1点差に追いすがるなど、80分間を通じ決して試合をあきらめなかった健闘は見事の一語である。 |
「見つける」と「作り出す」
両軍ストライカー、現状の実力差 |
「スペースがあれば前にいける選手になりましたね」
済美のストライカー⑭藤本佳希をこう評したのは、彼の出場試合を数多く見てきた地元J2愛媛の児玉雄一スカウトである。確かに同スカウトのいうとおり、⑭藤本の今大会における成長は著しいものだ。前日の2回戦・新潟西(新潟)相手の2ゴールに代表されるように、相手のDFライン裏にスペースを「見つけた」際の突破力と決定力は、春先から敵なしだった愛媛県、四国内のレベルを超え、いまや高校生全国トップクラスといっても過言ではない。
ところが、この日の対戦相手・中京大中京には、⑭藤本のようなスペースを「見つける」からさらに一段上のレベルとなるスペースを「作り出す」ストライカーが君臨していた。その選手とは現在イングランド・アーセナルでプレーする宮市亮を3歳上の兄に持つ、1年生FW⑲宮市剛。185センチ67キロの堂々たるサイズに長い手足。そして瞬時に相手DFを置きざりにするスピード。そんな彼のプレースタイルは、まるで元フランス代表FWティエリ・アンリ(ニューヨーク・レッドブルズ)の若きころを連想させるものである。
ではこの試合、中京大中京の全3得点に絡んだ⑲宮市はどのようにしてスペースを作り出したのだろうか? まず前半39分の1点目は、半身でボールを受けながらキックフェイントで左足シュートのコースを作ったもの。これはまさに「普段から同級生にDFになってもらって、背負ってからトラップする練習をしているし、利き足とは違う左足シュートの練習もしている」成果の賜物である。
続いて後半2分、⑩熊谷知紀からのスルーパスに反応した2点目は、185センチ76キロと⑲宮市には決して引けを取らない済美DF④久保飛翔も「今までに体験したことのないスピードとタイミング」と驚くほどの判断の速さでGKとの1対1を作り出したもの。これに先立つ前半16分、済美⑭藤本は4対2の絶対的有利な状況にもかかわらず判断をもたつき、最後は相手DFのプレッシャーにシュートが枠外に外れただけに、この場面では彼のアジリティーの高さが一層際立つ形となった。
さらに圧巻だったのは後半26分の⑩熊谷のゴールに直結した、⑰速水聖矢の左クロスに対し中央でつぶれ役となる動きである。ここは⑲宮市本人の言葉をそのまま引用しよう。
「自分が中央でヘディングしても入らない状況だったので、頭で後方にすらせるようなイメージで入っていきました」
これが1年生の言動であろうか。事実、⑩熊谷の前にゴールへの、そして勝利へのスペースが広がったのも、彼が中央で相手DFを一手に引き受けたからである。このように、数々の高校生離れしたプレーで魅せた⑲宮市。これには、かつてJ1名古屋、新潟で闘志あふれるプレーで観客を魅了した岡山哲也監督も「これで1つ上にいけると思う」と満足げな表情を浮かべていた。
一方、現状における⑲宮市との実力差を受け入れざるを得ない現実を突きつけられた格好の⑭藤本。「自分の甘さが出た。練習への取り組みが足りなかった。どんな状況でも同じパフォーマンスができないと」と、課題を並べる彼の目は悔しさで真っ赤であった
しかし、⑭藤本の高校サッカー生活はここで終わったが、サッカー選手としての勝負はこれからも続く。「選手権に出たことで改めてサッカーが好きだとわかったし、プロサッカー選手を目指したいと思った」純粋さを失わず、「彼はまだスペースを作るために工夫することができない。そこが作れるように大学(明治大進学内定)では工夫してほしい」と語った土屋誠監督のエールに応えることができれば……。その涙も将来、きっといい思い出になるはずだ。
(監督・選手コメント)
中京大中京・岡山哲也監督
立ち上がりはいい入りができました。その後徐々に押し込まれはしましたが、ハーフタイムでの、サイドに起点を作ってボールを散らす指示に対し、選手たちがよくやってくれた、楽しくプレーできたと思います。CBに1年生の25應和祐希を先発させたのは、初戦途中出場した彼が1対1でいい対応をしていたから。さらに相手の⑭藤本佳希君もスピードある選手なので、彼をそこに対応させました。今日の朝、⑲宮市剛には「点を取るよ」と伝えたんですが、2点取るとは……。彼にとっても自信になったと思いますし、元々ポテンシャルはある子なので、このゴールで1つ上にいけると思います。(準々決勝で対戦する)四日市中央工とはプリンスリーグU-18東海1部で2-2、2ー11と勝てていないですが、あのころとはウチも確実に違っている。大舞台でできるのが楽しみです。
中京大中京・⑲宮市剛
初戦は全国大会ということで緊張しましたが、今日は初戦ほど緊張することなくできました。1点目は軸足の前にボールがイメージどおりに入ってくれました。2点も取れましたし、自分としてはよかったと思います。兄には(亮)もう「2点取ったぜ!」とメールを送りました(笑)。
済美・土屋誠監督
相手DFはボールを弾ませる傾向があるので、そこのセカンドボールを狙っていました。ただ、そこで決められそうで決められない運のなさがありましたね。⑲宮市剛への対策としては、②安藤一貴を先発させて彼の高さに対応しつつ、彼にボールを入れさせない守備を心掛けました。そこはできていたし、④久保飛翔もよく対応していたとは思うんですが……。⑲宮市君は1年生にしてはよくやりますね。でも、選手たちは戦うごとに1つにまとまってくれた。よくやってくれました。
済美・④久保飛翔
⑲宮市剛君はヘディングが高かった。彼のようなタイプとは今まで対戦したことがなかったです。1年生であれなら、3年生になったときは脅威ですね。だからこそ、そこでもっとチャレンジ&カバーをしておけばよかったのですが、甘いところがあって失点してしまいました。前半を0に抑えておけば、勝敗もわからない試合だったのに、悔いが残ります。(進学予定の)慶応大ではこのままでは全然練習についていけないので、もっと体を作って、1年でAチームに入って試合に出たい。まずはユニバーシアード代表を目標に、最終目標のプロへ向かって大学ではタイトルも取りたいです。 |