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Match Report マッチレポート

第89回全国高校サッカー選手権大会 レポートコラム

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トーナメント表
大会概要

2011/1/3

第89回全国高校サッカー選手権大会 3回戦 山梨学院大付-駒澤大高

菊地芳樹(本誌) 取材・文

11年1月3日(月)/12:05キックオフ/千葉県・フクダ電子アリーナ/観客7596人/試合時間80分

山梨学院大付
1-0
0-0
駒澤大高
荒木(前半30分) 得点者  

激しいボールの奪い合いの中で、前半途中に連続してチャンスを作った山梨学院大付が、30分にFKを⑥荒木が決めて先制ゴール。後半はお互いにシュートチャンスがないまま進んでいき、終盤、駒澤大高は⑨山本のシュートがバーを叩く惜しいチャンスがあったが、結局ゴールを決められなかった。

パワフルプレーに苦戦
FK1発で逃げ切る

 大会2連覇を目指す山梨学院大付が、「非常にハードワークするので、やりづらさがありました」(吉永一明監督)という、難敵・駒澤大高を何とか退けたゲーム。この試合唯一訪れた自分たちの時間帯で、うまく1点をもぎ取って勝利をつかんだ辛勝だった。

 駒澤大高は、大津、星稜と、格上の強豪校を徹底的に困らせる戦術でここまで勝ち上がってきた。後ろからつなぐプレーはなく、GK、DFライン、そしてMF陣も、ボールを持ったら2トップの前方目がけてロングボールを入れて、FWを走らせる。つながらなくて、ボールがピッチの外に出てもOK。素早く引いて陣形を整え、呼吸も整え、相手のリスタートに備えるのだ。

 球際の競り合いには、ちゅうちょなく体をぶつけにいく。ちょっと面食らった相手が思わずファールしてしまうことが多い。すると駒澤大高は、ピッチのどの地点からのFKでも、時間をかけ、選手をゴール前に上がらせ、ロングボールを放り込むのだ。また、自分たちのゴールキックでも、もちろん丁寧に時間をかける。

 こんな感じだから、1プレー1プレーがぶつ切れになり、アウト・オブ・プレーの時間が長くなり、「試合時間を削れる」ことになるのだ。これがフットサルのようにプレーイングタイムだったら、試合が終わるまでにいったい何時間かかってしまうのだろうという感じだ。そして、試合がぶつ切れになる分、呼吸が整えられて1プレー1プレーの強度は強く保てるので、強い相手にも対抗できるというわけである。

 この「キック&ラッシュ」を見て、今さらながら、ああ、ここはあの駒澤大の付属高校なのだと気づいたのだった。このチーム、関東大学リーグの強豪・駒澤大学と同じサッカーをしているのである。

 山梨学院大付も他校にもれず、この駒澤大高のエネルギッシュなサッカーに序盤はハマりかかった。しかし、少しずつ相手のやり方に慣れてくると、20分過ぎから立て続けにゴール前のシュートシーンを作り出す。

 山梨学院大付のほうのプレーで目立ったのも、前線へのロングボールだった。ただ彼らが違ったのは、駒澤大高のDFラインの裏、あるいは逆サイドのスペースへ精度の高いボールが送られ、それを足の速いアタッカー陣が追いかけ、チャンスにつなげたのである。

 24分には山梨学院大付が連続シュートを放ち、それを駒澤大高も必死にブロックするといった盛り上がるシーンがあり、少し駒澤大高の息が上がりかけたところで得た、30分のFKだった。ペナルティーエリア左手前の位置から、右利きの⑩白崎凌兵と左利きの⑥荒木克仁が位置につく。25分の同じような位置からのFKでは、⑩白崎が狙ってGKに止められていた。今回は「少し内寄りの位置だった」(⑥荒木)。

 そして、今度は⑥荒木が放ったシュートが鋭いカーブがかかり、逆サイドのゴール右上に決まったのである。

 リードされた状況では、なかなか苦しいぞと思われた駒澤大高だったが、それでも自分たちのサッカーの強度をさらに強める感じで、後半は猛然と山梨学院大付に向かっていく。スタジアムに駆けつけた大応援団の影響もあっただろう。山梨学院大付のほうもこれには気圧された感じになって目立ったチャンスは作れず、押す駒澤大高を山梨学院大付がしのぐ感じの、終始ガチャガチャした攻防が続いた。

 駒澤大高の頼りは、ロングスローをはじめとしたセットプレーだったが、山梨学院大付もこれをしっかり跳ね返して決定機を与えない。山梨学院大付DF陣は、この日は何回ジャンプヘッドでクリアしたことだろう。昨日に続き、今日の殊勲もDF陣だと思う。

 だが試合終了間際の40分。駒澤大高は左から右へのサイドチェンジから⑮飯泉優人が落としたボールを、⑨高平将史がペナルティーエリア外からミドルシュート! 鋭いボールがゴールに向かったが……、無常にもバーを叩きゴールにはならなかった。程なくタイムアップの笛が鳴り、山梨学院大付がベスト8へ進出した。

(監督・選手コメント)
山梨学院大付・吉永一明監督
予想どおりの展開でした。ウチもパワーを持って前半から入ろうといっていた。相手はウチより1試合多くやっているので、それは想定していましたね。⑥荒木のFKは、今まで出ていないですけど、彼の左足はスペシャルなので、やっと出してくれたなという感じです。

山梨学院大付・⑥荒木克仁
FKは毎日自主練で50分は蹴っているので、「チャンスが来た」と思いました。1本目は別の人が蹴りましたが、2本目は少し内寄りの位置だったので、確率の高い僕のほうが蹴りました。

山梨学院大付・⑨加部未蘭
相手のキャプテン(④大畠)のマークがきつく、マンツーマンでこられたのでやりづらかった。空中戦でも跳べないようにされられました。

駒澤大高・大野祥司監督
20分まではウチのペースで0-0が1点取れればよかったが、セットプレーでやられてしまった。でも今日は相手のキッカーがよかった。選手たちを責めることはできない。選手たちには、どちらかが勝ってどちらかが負けるもの。初出場で2回も勝てたのはよかったといいました。

駒澤大高・④大畠一馬
前半の始めにチャンスがあったけど、そこをしっかり守られ、その後で相手に点を取られてしまった。もっと上に行けると思っていたのに、ここで負けるのは悔しい。

駒澤大高・①岸谷紀久
自分のキックミスでリズムを崩して、みんなに迷惑をかけてしまった。もう少しみんな一緒にサッカーをしたかった。FKのシーンは2人のどちらが蹴ってくるのか分からなかったです。後半は相手よりも走って、ボールも追いかけていて、チームとして戦えていた。それと大会を通して応援はウチの学校がいちばんすごくて、そのおかげで奇跡の2勝ができたと思う。

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