10年1月5日(火)/12:05キックオフ/埼玉県・さいたま市駒場スタジアム/観客3329人/試合時間80分 |
| 矢板中央 |
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広島観音 |
島野(後半16分)
益子直(後半30分) |
得点者 |
山本(後半6分) |
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立ち上がりから広島観音が持ち味を出し、後半6分にサイドをドリブルで崩して先制ゴールを奪う。しかし矢板中央が選手交代で流れをつかみ、後半16分に途中出場の⑯島野が同点ゴールを決めると、30分にはその⑯島野のパスを⑧益子直がゴールネットに突き刺し逆転に成功。その後の広島観音の反撃をしのぎきり、矢板中央が栃木県勢として24年ぶりのベスト4進出を決めた。 |
後半勝負に出た矢板中央が
セカンドボールを制し夢の国立へ |
セカンドボールの攻防に、この試合の妙味が詰まっていた。
前半は広島観音ペースだった。J2岡山入りが決まっているFW⑪竹内翼が前線で起点となり、ワンタッチで決定的なシーンを演出したり、自らドリブルでゴールに迫ったりと、広島観音の攻撃陣をけん引していた。ただ攻撃はそれだけではなく、ボランチ⑥柳田優介と⑭田中杏平、2列目の山田帆久斗と⑬今枝義貴が、テンポよくパスを回して、サイド→中→サイドを繰り返して、相手の守備陣を翻ろう。個々に派手さはないものの、局面で見せるプレーは効果的でそれぞれの技術の高さを感じさせた。
前半、攻勢に出ていた広島観音だが、畑美喜夫監督は、満足していなかった。「DFラインをもう5メートル上げれば、もっとセカンドボールを拾えてパスをつなげたはずだ。全体の距離が遠すぎる」(畑監督)。修正点はわかっていたものの、選手たちの自主性に任せ、あえてハーフタイムで指示は出さなかった。普段、戦術を練っているキャプテン⑥柳田も、セカンドボールを拾えなかったことをハーフタイムで指摘したが、具体的な方策は出せずじまいだった。
自分たちがペースをつかんでいながら、状況が悪い方向に傾いたきっかけは、皮肉にも自らの先制点だった。後半6分、左SB②小林祐輝がストップ&ゴーのフェイクで左サイドを突破すると、そこからのクロスを⑨山本邦彦がヘッドで決めて広島観音が先制する。しかし、得点が入ったことで、これまでやっていたサッカーを継続させてしまい、修正すべきセカンドボールへの対応があいまいになってしまった。
逆にこの1点で火がついたのが、矢板中央だった。「後半勝負のチーム」と高橋健二監督がいうように、今大会2試合とも前半を0点で抑えて、後半のゴールで競り勝ってきた矢板中央は、後半開始からいつものように、⑮渡辺光を入れてきた。さらに1点ビハインドとなった直後に、ボランチ⑯島野一也を投入。「セカンドボールを拾うことと、運動量には絶対の自信がある」という⑯島野は、それまでフィフティー・フィフティーだった中盤のルーズボールをことごとく拾い、素早く前線へ配給。自らも駆け上がって、チャンスに絡んでいった。これでチームは一気に活気づいた。
そして後半16分、⑧益子直樹が長い距離をドリブルで進み、シュート。そのこぼれ球を全速力で駆け上がった⑯島野が左足で蹴り込んだ。その後も中盤のセカンドボールを拾った矢板中央が攻勢に出ると、後半30分、⑯島野の股抜きパスを⑧益子直が左足で突き刺し、ついに試合をひっくり返した。
広島観音は逆転された直後にシステムを4-4-2から3-4-3に変更し、高さのある⑲井上友輔をセンターにおいて前線に人数をかけた。しかし矢板中央②須藤貴郁を中心とした強固なDFラインを崩すことができず、1点差で逃げ切られた。
豊富な運動量でセカンドボールを拾いまくる⑯島野を投入し、チームの方向性を示した矢板中央・高橋監督。一方、セカンドボールを拾えない理由を知っていながら、選手たち自身に気づかせようとした広島観音の畑監督。もし一言ハーフタイムで指示を出していたら、いったいどんな結末になっていただろうか……。
ただ、練習メニュー、メンバー選考、戦術決定などを選手たちに委ね、人間力を育てることを指導哲学としている畑監督は、選手たちが負けて学んだことの多さに、どことなく納得している様子だった。試合後の監督の顔は敗者のそれではなかった。そして最後に、「総合的には日本一のチームだと思う」と誇らしげに語り、大会を後にした。
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