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Match Report マッチレポート

第88回全国高校サッカー選手権大会 レポートコラム

トーナメント表 大会概要
2010/1/3
試合名

第88回全国高校サッカー選手権大会
2回戦 尚志-東北

ライター 寺下友徳(フリーライター) 取材・文

10年1月2日(土)/14:10キックオフ/神奈川県・平塚競技場/観客1200人/試合時間80分

尚志

0-1
1-0
PK
4-2
東北
渡部(後半20分) 得点者 日野(前半5分)

ゲームのあらすじ
東北勢同士の戦いは前半5分にセットプレーから⑬日野のヘッドで東北が先制するも、後半20分には尚志が左足小指疲労骨折をおして途中出場したエースの⑳渡部の完璧なヘッドで同点に。白熱の肉弾戦はPK戦にまでもつれ込んだが、2本をストップしたGK①菅野一輝の活躍により、尚志が初の3回戦進出を決めた。

ライバル意識が生み出す熱気
東北勢対決の軍配は尚志に!

 人間は目標というものがないと、どうしても怠惰に走りがちな生き物である。さらに目標は身近にあり、手を伸ばせば届く範囲の場所にあればあるほど、目標を超えようとする意欲が湧いてくる。そして、その意欲が双方に生まれると「ライバル」という単語の下に両者に特別な感情が生まれてくることは、読者の皆さんも実感として分かって頂けるのではないかと思う。

 さて、平塚会場における2回戦第2試合は宮城県代表・東北と福島県代表・尚志という同じ東北地区、しかも隣県同士の対戦となった。さらにこの両者はすでに今年度JFAプリンスリーグU-18東北1部で2度対戦済み。5月2日に尚志がホームで3-0と東北を公式戦で初めて下せば、7月4日には東北がホームで4-0と雪辱するなど、彼らは勝敗こそ互角ながら、決して忘れられない屈辱と歓喜の記憶を携えて全国選手権という大舞台での決着戦に挑むことになったのである。

 初戦の東西対決以外はオープン抽選となる組み合わせの妙とはいえ、これだけ「ライバル」と呼ぶにふさわしい条件がそろえば、ピッチ上が意地と意地とのぶつかり合いとなることは必至。そして彼らは観客の期待を裏切らない好勝負を演じてくれた。

 東北が1回戦の一条戦同様に2トップへのマンマーク&⑬日野竜馬によるスイーパーシステムを基盤に⑩嶺岸佳介を起点とする縦に速いサッカーに徹すれば、尚志は体を投げ出して敵のスピードを封じ、パスをつなぎつつサイドアタックに賭けるスタイルを愚直なまでに実行。

 得点こそ東北が前半5分に⑩嶺岸の左FKから⑬日野が奪った1点、一方の尚志も後半20分、全治3カ月の診断が下っている右足小指疲労骨折を「酸素カプセルに毎日入って3週間で40分間は出場できるようになった」⑳渡部圭祐が鳥のように舞ったヘディングで奪った1点にとどまったが、お互いの長所を尊重し、相手の長所を消しつつ、自らの長所を出し切る努力を限界点に達するまで80分間続けてくれた両チームの実直さに、素直に拍手を贈りたい。

 PK戦の結果は「自分の世界に入れるように、応援スタンドにも静かにしてもらうようにお願いしていた」と用意周到に準備をしていた尚志GK①菅野一輝の2本連続セーブにより尚志が初の3回戦進出を決めたが、それとて敗れた東北の価値を下げることには決してならないはずだ。

 高校サッカーを通じて技術を論ずるのもいいだろう。日本サッカーの未来を語るのも否定はしない。ただしその一方で、このゲームのように人間の進むべき本質に立ち返ったライバル物語がレベルを問わず全国各所で繰り広げられているからこそ、高校サッカーは大衆の支持を得ていることを、われわれは決して忘れてはならない。

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