10年1月2日(土)/12:05キックオフ/東京都・駒沢陸上競技場/観客2024人/試合時間80分 |
| 境 |
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四日市中央工 |
オウンゴール(前半21分)
原(後半39分) |
得点者 |
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終始、圧倒的なボール支配率で攻め込む四日市中央工だったが、前半21分、自陣でのコントロールミスが引き金となり、ワンピンチで1失点。その後も多彩な攻めを見せるものの、境が誇る強固なディフェンスブロックを最後まで崩すことができず。守り切った境は、終了間際に追加点を挙げ、3回戦進出を決めた。 |
個の技量だけで試合は決まらない
境が具現化した粘り強い守備 |
この日も境は、自慢のマンマークディフェンスによる「勝つための組織サッカー」を展開。その内容については、1回戦の東久留米戦のレポートを参照してほしい。2回戦も戦い方に変更はなかった。
対する四日市中央工も、1回戦と同様に、個人の技術とポゼッションサッカーを基盤とするスタイルで臨んだ。唯一の変更点といえば、ベタベタに守備を固めると予想される境を崩すため、無回転のブレ球FKという飛び道具を持っている⑨大石将之をスタメンに起用したことぐらいだ。
さて。この試合のレポートだが、圧倒的な個人技の差がありながら、「なぜ、四日市中央工は負けたのか?」ということをテーマにして進めたいと思う。
まずは、前半21分の痛すぎる失点だ。境の右サイドへのサイドチェンジに対し、四日市中央工の左サイドバック、23太田尚志が飛び出してインターセプトを試みるも空振り。フリーでボールを受けた②片岡義貴がシュートを打ち、GK①村井泰希がはじいたところをさらにプッシュされ、最後はライン外へクリアを試みた四日市中央工のDFとGKが交錯するような形になり、無常にもボールはそのままゴールラインを割った。
「境のディフェンスが強いことはわかっていたので、攻め込みながらも、0-0で前半を折り返すことは織り込み済みだった。しかし、まさかこういった形でワンチャンスをものにされるとは……」(四日市中央工・樋口士郎監督)
終わってみれば、この失点がすべてだった。守り切ろうとするチームに対して、先取点だけは絶対に与えてはいけない。ところが、自分たちのミスを起点にされて、あっさりとゴールを献上。「これが高校選手権の怖いところ」と、フワッとまとめるのは簡単だが……。試合後、四日市中央工の樋口監督は、目に涙をためながらも、厳しく自戒の言葉を口にした。
「今年の2年生には、ポテンシャルの高い選手が多い。個人の技術がある。しかし、彼らは本当にシビアなところで、勝ちきれない甘さが出てしまう。もっと大人にならないといけない。大切な場面で空振りをするのは、集中力が欠けている証拠。大人の選手として戦うためには、普段のトレーニングにどう取り組まなければいけないのか? 普段の生活をどう過ごすべきなのか? 正直、境のやり方はイヤらしいと思ったが、個々のメンタリティーが非常に高く、それを最後まで徹底して貫いてきた。チームにも一体感があった。それに比べると、まだまだウチは子供のチーム。このままでは、来年は本大会に出られないかもしれない」
この樋口監督の言葉は、四日市中央工の敗因、そして境というチームの本当の強みを表している。境は、最初から最後まで勝つためのサッカーを貫いてきた。先制した後は、GKがボールを持つたびに必ず時間を稼ぎ、ひたすら耐える。1回戦の東久留米戦以上に、攻めるチャンスは少なかった。工夫を凝らしたセットプレーも、ほとんど発揮する場面がない。それでも境は耐え抜いた。耐えた、のではない。耐え「抜いた」というのがポイントだ。
すると、徐々に四日市中央工は、同点ゴールを奪えない焦りに支配されてくる。勝ちたいというメンタリティーが、暴走し始める。その象徴的なシーンが、後半38分、FW⑳山口幸太がラフなチャージを行い、2枚目のイエローカードで退場を宣告された場面だった。
実は、守り切った境は、80分間で1枚のイエローカードももらっていない。ハードマークをしつつも、警告を受けないぎりぎりの線引きを作ってボディーコンタクトをしているように見えた。それに比べると、勢いに任せて相手の体に飛び込んでしまう⑳山口のラフなチャージは、必死で追いかけていることを認めつつも、軽率といわれても仕方がない。
レッドカードを提示され、ピッチを後にする⑳山口。あまりの悔しさから、発する泣き声がメインスタンドにも聞こえてくる。目頭が熱くなった。勝ちたいという意志や、がんばっている様子が強わってくるだけに、このような空回りをしてしまうのは、やるせない。
来年、大人のサッカー選手へと成長した彼らが、再び選手権の舞台に戻ってくるのを信じたい。
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