10年1月2日(土)/12:05キックオフ/神奈川県・平塚競技場/観客1500人/試合時間80分 |

序盤から豊富な運動量と両サイドアタックで圧倒的にゲームを支配する広島観音。前半こそ山形中央GK①鈴木のファインセーブ連発にゴールを阻まれ無得点に終わったが、後半19分にJ2岡山内定のエース⑪竹内が奪ったゴールが決勝点となり、第1シードの牙城(がじょう)を守った。 |
終わってみれば1-0も
今年も強き「広島県高校サッカー」 |
試合開始約2時間前、初戦の舞台である平塚競技場に到着した広島観音の選手たち。しかし、その顔は広島皆実に続く広島県勢2連覇の期待を一手に担っているにもかかわらず、実にリラックスしたものであった。
「今のチームは体調面も含めて今までにないいい出来ですね。広島皆実との県大会決勝ではお互いにスペースと時間を与えない試合になりましたが、全国大会では広島県大会よりはスペースと時間を与えてくれると思いますので、そこで遊びの要素を出せればいいと思っています」その部員たちを束ねる畑喜美夫監督も一点の曇りもない自信に満ちた表情でこう語ってくれた。
ただし、いざ試合が始まってみると、畑監督の戦前における予想は半ば当たり、半ば外れることとなった。県大会では攻撃型のチームを組んでいた山形中央は、ディフェンスラインをペナルティーエリアまで下げ、さらに県大会ではFWだった⑩宍戸隆典を相手エース・J2岡山内定⑪竹内翼の中央突破を防ぐためにボランチまで下げる「ブロックを作りながらチャンスを待つ」(木村雅善監督)全国大会仕様の堅守速攻戦術を選択。よって広島観音は「時間はたっぷりもらえるが、ゴール前でのスペースが全くない」強豪ゆえのジレンマに陥ることになってしまったのである。
それでも、動揺をピッチ上で見せないところが浦和・清水とともに古くからうたわれた、広島のサッカーどころたるゆえんなのであろう。すると彼らはまず県大会決勝と同じく、接点でボールを激しく奪い、相手にチャンスを与えるスキを摘み取りにかかることに。
そして返す刀で⑪竹内の相手DFをなぎ倒すようにペナルティーエリアに向かう高速ドリブル、右サイドバック⑤木下卓哉のコントロールされたロングスロー、⑪竹内と同じくJ2岡山への来季加入が内定している左サイドバック⑩岡﨑和也の精密な左足クロスなど、ありとあらゆる手を使ってゴールを奪う策を講じ、前半だけでシュート数10本、コーナーキック7本という数値以上に山形中央ディフェンスを疲弊させていった。
かくして迎えた後半19分、広島観音は⑤木下のアーリークロスにFW⑨山本邦彦が鋭く二アサイドへ反応。同時に「こぼれてくると信じていた」⑪竹内が中央に飛び込み、そのとおりこぼれてきたボールに右足を合わせて放ったダイレクトシュートは、ついに再三再四のファインセーブを続けてきた①鈴木貴之の後ろにあるゴールネットを揺らし、広島観音はのどから手が出るほどほしかった先制点奪取に成功。同時にそれは広島県勢選手権連覇への出発点たるゴールになったのである。
試合後には報道陣の前で、計15種類程度にわたるというCKの使い分け、フィジカル・メンタルコンディション調整、この日は敢えて誰一人として交代を行わなかった選手起用など、すべ
てが優勝から逆算した行動の中にあることを包み隠さず明らかにしてくれた畑監督。不確定要素が多いトーナメント戦において、彼らの野望が現実となる可能性は未知数ではあるものの、この日のイレブンが平塚で提示した最少得点差での圧勝劇を見る限り、「広島県高校サッカー」の行路が1月11日への最短距離を向いていることは間違いないようだ。
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