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Match Report マッチレポート

第88回全国高校サッカー選手権大会 レポートコラム

トーナメント表 大会概要
2009/12/31

第88回全国高校サッカー選手権大会
1回戦 四日市中央工-盛岡市立

清水英斗(本誌) 取材・文

09年12月31日(木)/12:05キックオフ/東京都・西が丘サッカー場/観客3850人/試合時間80分

四日市中央工

1-0
1-1
盛岡市立
山口(前半38分)
山口(後半37分)
得点者 佐々木(後半15分)

ゲームのあらすじ
前半の終了間際、四日市中央工は⑯伊達のFKを⑮宮井がファーサイドで折り返し、最後は⑳山口が押し込んで先制。後半15分に不意を突かれる形でセットプレーから同点に追いつかれるものの、後半37分、見事なパスワークから⑳山口がこの日2点目となる逆転弾を決め、四日市中央工が2-1で競り勝った。

安定感には欠けるが……
このまま、突き進め!

 ゲームの立ち上がりは、盛岡市立のペース。身長のあるFW⑪鈴木雄大、⑧佐々木貴大、⑩工藤健太郎といったターゲットマンに当ててサイドへ展開し、どんどん四日市中央工を押し込んでいく。

 うまくゲームに入った盛岡市立は前半5分、⑦佐々木航のサイドチェンジから⑨小野拓也がシュート。11分には、⑥遠藤歩がドリブルカットインからゴール前へ折り返してチャンスメーク。さらに13分のシーンは見事。FW⑩工藤が縦パスをヘディングで落としたところを、⑥遠藤が⑨小野とのワンツーからクロスをあげてゴールへ迫った。

 この一方的な流れが変わり始めたのは、前半15分辺りだ。四日市中央工が徐々に持ち前のパスワークを見せ始める。高さへの対応に慣れたのか、それとも前半15分に左サイドのスローインから⑦武藤健剛がヒールシャペウで2人抜きをお見舞いしたのがチームに勇気を与えたのか、「あぁ、こんなにうまい選手たちだったんだな」と感心するようなプレーを、四日市中央工はチームとして繰り出していく。

 特に、序盤はやや緊張していたのか、ミスが目立っていた左サイドバックの23太田尚志などがビルドアップに効果的なパスを供給し始め、中盤の⑯伊達勇人、⑮宮井邑誠、⑥福田晃斗がフリーでボールを受けやすくなった。これにより、四日市中央工のパスワークは活性化。盛岡市立側の陣内でプレーする時間帯が増えてくる。

 そして前半38分、四日市中央工は中盤やや左寄りで得たFKを、⑯伊達がゴール前へ蹴り、⑮宮井がファーサイドで折り返したボールを⑳山口が押し込んで先制ゴールを挙げる。

 この日2点を挙げることになる、⑳山口についてはここで触れておこう。うまく敵マークを外してボールを押し込んだ1点目、右サイドからのクロスに走り込んでヘディングを決めた2点目、どちらも見事だった。ゴールへの最短距離を予測するポジショニングといい、シンプルに体を張るポストプレーといい、勇気を持って突っ込んでいくダイビングヘッドといい、まるで日本代表FWの岡崎慎司を見ているようだった。2回戦以降も注目していきたい選手だ。

 さて。ハーフタイムを経て、ゲームは後半へ突入。

 先制した四日市中央工は、ドリブラーのMF⑦武藤を、前半の3トップのウイングに近い位置からサイドハーフ辺りにポジションを下げ、やや自重気味な後半の立ち上がりとなった。「1-0のまま、安定してゲームを運びたい」という四日市中央工の願いが聞こえてくるようだったが……やはり高校選手権の舞台はそれを許してくれない。

 後半15分、盛岡市立がゴール前へ放り込んできたFKを、四日市中央工のGK①村井泰希は飛び出してパンチングでクリアしようとして交錯。このこぼれ球をゴール正面40メートルくらいの位置から盛岡市立⑦佐々木航がダイレクトロングシュートを狙う。あまり力のないシュートではあったが、ワンバウンド、ツーバウンド、スリーバウンドと繰り返し……そのままゴールネットを静かに揺らす。GK①村井は、枠を外れたと思って見送ったようだったが、ボールはゆっくりとカーブしてゴールに吸い込まれてしまった。

 この同点ゴールの後、四日市中央工は5分間くらい、盛岡市立の猛攻を受けるような形に。しかし、持ち前のパスワークを武器に、中盤でパスを回して敵を引き寄せ、右サイドバック25下田祐輔がオーバーラップする場面をたくさん作って押し返していく。この展開力も見事だった。

 そしてついに後半38分、サイドチェンジを受けた25下田が右サイドから精度の高いクロスを送り、⑳山口がヘディングで叩き込んで逆転ゴールを挙げる。セットプレーから決めた1点目とは違い、2点目はチームとして意図的にビルドアップして狙ったチャンスだった。そしてパスワークに優れる四日市中央工は、そのまま敵陣サイドでボールを回し、時間を稼ぎながら勝利を得た。

 盛岡市立の高さは大きな武器ではあったが、どうも、近年の高校サッカーはそれだけでは勝てない気がする。ロングボールへの対処は、伝統的にどのチームも慣れっこになっている。自分たちの武器を一つに絞らず、多彩な引き出しを、的確な状況判断で使っていくチームが勝ち進んでいるようだ。昨年優勝した、広島皆実がいい例だろう。

 そういう意味でいうと、正直、四日市中央工は、「うまいっ!」と感嘆させるプレーをぶつ切りに見せてくれるが、どうにも安定感に欠けるのは否めない。いい時間帯はとことんいいが、悪い時間帯はとことん悪い。相手への適応力がいまひとつで、成長途上のチームかもしれない。

 そんなチームが決勝まで勝ち続けることが可能なのだろうか……。いやいや、短期決戦なのだから、こういう若さにあふれた勢いのまま案外行っちゃうのかも……。気の早い話ではあるが、いろいろと妄想をふくらませながら2回戦を楽しみに待ちたいと思う。

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