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Match Report マッチレポート

第88回全国高校サッカー選手権大会 レポートコラム

トーナメント表 大会概要
2009/12/31

第88回全国高校サッカー選手権大会
1回戦 尚志-松山北

寺下友徳(フリーライター) 取材・文

09年12月31日(木)/14:10キックオフ/神奈川県・等々力陸上競技場/観客4300人/試合時間80分

尚志

2-1
2-0
松山北
江川(前半8分)
湯浅(前半16分)
平野(後半22分)
平野(後半24分)
得点者 大口(前半39分)

ゲームのあらすじ
前半8分に⑪江川の先制ゴールで主導権を奪った尚志は、続く前半16分にも⑧湯浅の30メートルミドルで追加点。前半終了間際に1点こそ失ったものの、後半にも2点を追加し、危なげなく2回戦への切符を手にした。

ゲームを描いて戦った尚志
松山北を寄せつけず完勝!

 この試合のマッチレポートはいささか唐突ではあるが、試合の3日前に松山北高校内で筆者が目にした出来事から始めたいと思う。

 この日、東京出発を翌日に控えた松山北の選手たちは、地元での最終調整を終えた後、部室の大掃除を行った。

 普通、筆者のようなアラフォー男にとって部室大掃除の手順といえば、部室の高い場所のホコリを落とし、部室内に落ちたホコリを掃き出し、最後に部室の前を掃いて時間をかけず効率よくきれいにするのが定番である。しかし彼らの行動は、ある者はまず外を掃き始め、ある者はまず部室内のホコリを掃き出し、次に高い場所のホコリを落とすなど、部室を綺麗にする目的を達成するための「効率性」からはほど遠いものであった。

 なぜこんな話を冒頭にするかというと、サッカーも「ゴール、勝利」という目的を達成するために、いかに「効率性」を追求するかが大事になってくるからである。しかも、サッカーの場合は大掃除におけるホコリと違い、対戦相手は自分たちの思いどおりには動いてくれないもの。敵の行動を予測し、その中で自分たちにおける最善の判断とプレーができる者だけが、結果を得ることができるのだ。

 その視点に立っていえば、この試合における松山北の大敗は偶然ではなく、極めて必然に満ちたものである。ボランチの位置で全体を引き締めるべき⑦松本眞之介主将は、「相手のボランチが3人気味だったので、コミュニケーションがとれずにサイドに運び出されて決められてしまった」と敗因を分析した。だがこれに加え、強風が吹き荒れる自然条件把握に遅れをとり、ビハインドの状態においてフリーの状態で前を向けないなどのプレー選択ミスも多かった。それだけに、前半ロスタイムに⑦松本のFKから途中出場のMF⑲大口雄史が頭で奪った1点も、正に「焼け石に水」にすぎなかった。

 一方、尚志の戦い方は、実に勝利への効率性に富んだものであった。風上に立った前半は試合開始当初からサイドスペースを執ように突き、8分には⑧湯浅秀紀の左クロスを⑪江川祐貴がヒザで合わせて先制点。続く16分には⑧湯浅が風に乗せた30メートルのロングシュートを決めて追加点。風下に立った後半は一転、チーム本来の持ち味である丁寧なパス回しからの浮き球スルーパスで、敵DFのギャップを取り、⑦平野伊吹の2ゴールで完全にゲームを支配したのだ。

 現役時代は習志野高校で、ユース代表としても活躍した仲村浩二監督は、試合後、当時の恩師である本田裕一郎・流通経済大柏監督から「初戦は勝利にこだわれ」との教えを受けたことを明かした。だがことこの試合に限っていれば、3年ぶりの初戦突破という結果に加え、美しさと楽しさも兼ね備えた素晴らしい内容であった。

 対して、第68回大会における南宇和の初優勝も今は昔。これで選手権5年連続初戦敗退となった愛媛県代表。再び全国で戦えるチームを作る上でも、普段温厚な兵頭龍哉監督が「情けない試合。甘い」とぶぜんとした表情で振り返った試合の本質を、今一度真剣に振り返り、分析してみる必要があるだろう。

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