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Match Report マッチレポート

第88回全国高校サッカー選手権大会 レポートコラム

トーナメント表 大会概要
2009/12/30

第88回全国高校サッカー選手権大会
1回戦(開幕戦) 帝京-ルーテル学院

了戒美子(フリーライター) 取材・文

09年12日30日(水)/13:10キックオフ/東京・国立競技場/観客12394人/試合時間80分

帝京
0-1
1-2
ルーテル学院
稲垣(後半16分) 得点者 小牧(前半32分)
山本(後半28分)
山本(後半39分)

ゲームのあらすじ
ロングボールを多用し、速い仕掛けを徹底する帝京に対し、サイド攻撃で優位に立つルーテル学院が前半からペースをつかむ。帝京は、後半に入り1点を返すも、守備陣の連携ミスから後半28分に失点。その後猛攻を仕掛けるも、追加点を奪ったのはルーテル学院だった。

初戦の固さの中で、
自分たちを見失わなかったルーテル学院

 開幕戦には独特の雰囲気がある。開会式直後のちょっと浮ついた空気は、他会場で行われる、他の1回戦とは違う“よそゆき感”が漂う。応援団の気合いの入り方だって、いつもどおりではなさそうだ。もちろん、それだけが独特な雰囲気の理由ではない。4強にならなければそこで戦うことの許されない聖地・国立競技場に、ただ抽選という天の配剤のおかげで立つことができるのだ。

 プロ選手の中にだって、国立で試合をしたことのない選手はいる。それくらい特別なスタジアムで行われる特殊な1回戦、つまり開幕戦を制するには、その空気とうまく付き合う必要がある。浮き足立つような自分と仲間たちを、いかにいつものグラウンドにいる自分たちに引き戻すか。実力よりも何よりも、そこが勝負の分かれ目だったように思う。

 帝京対ルーテル学院、開幕戦に相応しく注目の好カードとなった。どちらも厳しい予選を突破してきた強者だ。帝京は都大会準決勝、決勝とPK戦を制し全国の切符を手にしている。特に決勝は、本命と呼び声の高かった成立を下しての全国だ。一方、付属中学からの内部進学者が多く、近年実力をつけてきたルーテル学院。県予選では高校総体4強の大津を破り、晴れて全国進出だ。両者、実力は拮抗(きっこう)していた。地元東京代表の強豪帝京が力を出し切れず、硬いまま自滅していくのに対し、2年ぶり2回目となる全国の舞台で、ルーテル学院は自分たちらしく戦い、2回戦進出を果たした。

 立ち上がりは、五分五分のペースで進む。互いに大きなチャンスが生まれないまま20分ほどが経過する。前線にロングボールを入れ、この日1トップに据えた⑱小門勇太のポストプレーから、サイド攻撃を仕掛けたい帝京だったが、ロングボールこそ入るもののその後が続かない。攻撃の形を作るどころか、ペースをつかむことさえできず時間が過ぎていった。

 ルーテル学院は対照的に、徐々に自分たちの形を見出す。ハードワークを得意とする彼らは、中盤でのセカンドボールを奪い、サイドに展開してはゴールに迫った。32分、先制点はルーテル学院。右サイドの24佐藤諒のドリブルからの高速クロスを、中央で帝京DFがクリアし切れず踏みつけてしまう。そこを⑨小牧成亘がすかさずさらいドリブルで持ち込み、落ち着いてゴール左隅へ流し込んだ。ちょうどこの得点シーンの10分前にも、同じく24佐藤のクロスに⑪山本大貴があわせるシーンもあり、ルーテル学院は既に攻撃の形を見出していた。前半で勝負がついていてもおかしくないほど、出来は対照的だった。

 後半開始と同時に、帝京は主将⑩稲垣祥を投入。後半16分には、中盤深い位置からのロングボールに、ゴール前で競り勝って同点に追いつく。後半28分には、ルーテル学院のエース⑪山本が、柔らかい動きで帝京DFとGKの連携ミスを誘い、勝ち越し点を奪うと、帝京の集中力は目に見えるほどにダウン。続いて試合終了間際には、またもDFのクリアミスを見逃さなかった⑪山本が、飛び出したGKをあざ笑うかのようなシュート。これで試合は決着した。

 敗れた帝京の廣瀬龍監督は「国立での開幕戦で、これまでやってきたことの精度を欠いた。難しかった」と下を向いた。「つなげばいいところでつなげなかった。スタートからシンプルに攻めよう、空気に飲まれるなと話していたのだが、そればっかりなってしまった。でもそれは試合環境のせいではなくて、試合を読めなくなってしまうところなども含めて、日ごろのトレーニングの結果」と続けた。

 一方、ルーテル学院小野秀次郎監督は「きわどい試合だった」と振り返ったが、終始ペースは握っていたように見えた。古豪を悩ますほどの出来で開幕戦を制したルーテル学院は、2回戦以降どのような試合を見せてくれるだろうか。

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