準決勝
1月10日(土)/14:25キックオフ/埼玉県・埼玉スタジアム2002/観客20173人/試合時間90分
広島皆実 1(0-0、1-0)0 鹿島学園
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90分を通して高いボールポゼッションを誇り、さらに守備の局面でも鹿島学園を圧倒した広島皆実。後半12分、⑪玉田耕平がキックフェイントからオーバーラップした②村田俊介にパス。この折り返しを⑨金島悠太が決めて先制。この1点を最後までキープし、広島皆実は鹿児島城西が待つ決勝へと名乗りを挙げた。
数字上で見ても、広島皆実のシュート20本、CK10本に対し、鹿島学園はシュート3本、CK3本。「1-0」というスコア以上に、地力の差が現れた試合だった。ここまでショートパスを基本としたポゼッションスタイルで勝ち上がってきた鹿島学園だが、今日は全く自分たちのサッカーをさせてもらえなかった。それほど、広島皆実の安定感が際立っていたといえる。
今大会で、最も完成度の高いチームを挙げるとなると、この広島皆実が最有力候補といえるのではないだろうか。基礎的なボールテクニックの高さ、90分走れる運動量、1対1の守備力。サッカーに必要な最低限の要素は、すべて”超高校級”だ。
さらに最も優れているのは、ポジショニングのバランス。攻撃時には絶妙な距離感覚でパスコースをサポートし合い、守備時には複数人でプレッシャーをかけてボールを奪う。攻めに転じたときも、誰かが空けたスペースはすぐにカバーし、常にフォーメーションのバランスを崩さないように気を配っている。そのため、カウンターを食らうリスクもほとんどない。
上から見ていると、広島皆実の11人が、まるで意志を持った一つの生き物として動いているようだった。ムダのない連動性、そして統一された意識には、美しさを感じるほどだ。
鹿島学園・鈴木雅人監督は、「広島皆実は思った以上にプレスが速く、中盤をつぶされて起点を作ることができなかった。ハーフタイムにも話したが、対応することができず、逆に反撃を食らってしまった」と、試合を振り返る。後半途中からは、2バックにしてスクランブルアタックを仕掛けた。ここまでチームが苦しいときに大きな働きをしてきた、キャプテンの②阿渡真也と⑨忍穂井大樹を始め、全員がファイトを見せ、体がフラフラになるまで戦った。
しかしそれでも、広島皆実のバランスを崩すことはできず、ゴールが、いや、ペナルティーエリアが非常に遠かった。
個人的には、⑨忍穂井に注目していた。彼はJリーグのジュニアユース出身者が集まる同級生の中で、「入部したとき、いちばん下手なのは僕だった」と語っている。その彼が今はエースFWとしてチームの主軸を担い、さらに「選手権ベスト4」というチーム史上初の快挙を成し遂げることができた。たとえ能力で劣っていても、あきらめず、腐らず、戦って成長し続けた⑨忍穂井の姿は、多くのサッカーファンに勇気を与えたのではないだろうか。
さて。これで12日の決勝は、「鹿児島城西-広島皆実」という組み合わせになった。両チームとも、面白いほど特徴が正反対のチームだ。ここまで5試合で選手権史上最多となる27得点を挙げたものの、逆に11点もの大量失点を喫している鹿児島城西。それに対して、広島皆実は3点以上を挙げた試合は一度もないものの、5試合で許した失点はわずかに1。
サッカーにふさわしい表現ではないが、数字上は「最強の矛vs最強の盾」の対決といえる。いったいどんな試合になるのだろう。
「大迫勇也をどうやって抑えるか?」
記者会見で上記のように質問された広島皆実・藤井潔監督は、具体的な回答を避けてお茶を濁すような感じがあった。広島皆実の組織力が”超高校級”なら、大迫勇の個人能力もやはり”超高校級”だ。ベタなようだが、やはりここが決勝のいちばんの見所になるのだろう。
広島皆実・藤井潔監督
「1点取ってくれて、何とかそれをみんなで勝利につなげようという思いがあった。最後、守り切るところで雑なところもあったが、決勝に進むことができてホッとしています。鹿児島城西には、力のある大迫勇、さらに中盤にもできる子がいる。それをどう封じるか、どうやって自分の力を出していくかを考えたい」
広島皆実・⑨金島悠太
「前半に決定機を外していたので、ホッとしています。今まで得点が取れなくても、監督は僕を使い続けてくれたので、今日は決めたかった。ウチは3年生だけじゃなくて、部員全員でまとまりがあるいいチームです。決勝で大暴れしたいです」
鹿島学園・鈴木雅人監督
「広島皆実がすべての面で上回っていました。たくましさ、走力、球際、指導者の力も含めて、完敗でした。監督として力がなかったかなと、子供たちに申し訳なく思っています。(ベスト4まで残ったことは)私たちにとって、素晴らしい経験でした。いつの日か、この舞台に帰って来れるようにやっていきたいと思います。」 |