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第87回全国高校サッカー選手権大会 レポートコラム Supported by gol.japan (株)カレッジリーグ エーライン事業部

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トーナメント表
大会概要
2009/1/2

第87回全国高校サッカー選手権大会

鈴木智之(スポーツライター) 取材・文

2回戦

1月2日(金)/12:05キックオフ/神奈川県・ニッパツ三ツ沢球技場/観客5,800人/試合時間80分

鹿島学園 3(1-1、2-1)2 野洲

得点者
(鹿)安藝、小谷、三橋
(野)坂本、藤野

シーソーゲームを制した
鹿島学園が野洲を下して3回戦へ

 試合前に配られるメンバー表。野洲の監督欄に『山本佳司』の名前がなかった。聞けば、体調不良のためベンチ入りできないという。引率教員の水谷智宏が監督代行に名を連ね、テクニカルエリアではコーチの岩谷篤人が指揮をとることとなった。

 稀代のモチベーターであり、カリスマ性を備えた監督の不在。それが選手たちの心に小さなかげを落としたことは想像に難くない。果たしてそのかげは、試合開始直後の入り方にあらわれていく。

 前半4分、鹿島学園がサイドを使った展開から、ペナルティーエリア中央にいたFW⑨忍穂井大樹へパスを通す。野洲守備陣の寄せが甘く、時間と空間に余裕のあった忍穂井はヒールでパスを流し、ボールはフリーで待ち構えていたMF⑧工藤由夢のもとへ。いきなり訪れた鹿島学園のビッグチャンスは、野洲GK①横江諒が足でブロックしたが、ペナルティーエリア内で2人の選手に自由を与えるという、試合に入りきれていないことを象徴するシーンだった。

 その代償は大きかった。GK横江が防いだシュートがCKとなり、⑩小谷駿介が蹴ったボールに④安藝正俊がジャンプヘッド。開始5分で鹿島学園が先制した。

 鹿島学園の強烈な先制パンチに目が覚めたのか、野洲は開始15分を過ぎると、それまで鳴りを潜めていたドリブル&パスが徐々につながりはじめる。

 23分にはMF⑧潮入啓太が相手をひきつけ、その背後をオーバーラップしたMF⑨上田大輔へパス。上田があげたクロスはふらふらとゴールへと流れていく。ボールはクロスバーに当たり、跳ね返りにいち早く反応したのは県予選から6試合連続ゴール中のエースFW⑩坂本一輝。得意のボレーで押し込み、同点に追いついた。

 同点ゴールで一息ついた野洲の選手たちは、股抜き、ヒールパス、高速ドリブルとらしさを随所に見せ始める。後半に入ると、前半の4-4-2からおなじみの3-6-1にフォーメーションを戻し、前半は中央でのプレーが多かったMF⑦藤野友貴が右のワイドへ。

 後半11分、前方にスペースを得た高速ドリブラー藤野が、水を得た魚のように輝きを放つ。右サイドをドリブルで突破し、中央へクロスと見せかけて、ファーサイドに強烈なシュートを撃ち込んだ。ボールは鮮やかな軌道を描き、ゴールに吸い込まれていった。

 藤野のファインゴールにスタンドは沸きに沸いたが、客席の熱気とは裏腹に、冷静だったのが鹿島イレブン。「野洲は攻撃が強い。ある程度の失点は覚悟していた。だから、点を取られても気持ちを落とさないことが大事だと思っていた」と⑨忍穂井が話すように、失点に引きずられることなく、猛攻を仕掛けた。失点の1分後にFW⑪三橋隼斗が倒され、PKをゲット。⑩小谷が決めてすぐさま同点に追いついた。

 以降は一進一退の攻防が続く。野洲の⑧潮入、⑦藤野、⑩坂本、⑭梅村崇が猛然と攻め込めば、鹿島学園は⑨忍穂井が前線からプレスをかけ、奪ったボールをすばやくつなぎ、反撃のチャンスをうかがう。野洲が攻めれば鹿島学園が跳ね返し、その逆もまたしかり。天秤の針は右へ、左へと傾きを変え、しびれるような時間へと突入していく。

 そんな均衡に終止符が打たれたのが、後半33分だった。それまで守勢に回ることが多かった、鹿島学園の主将DF②阿渡真也が右サイドからクロスをあげる。ファーサイドでGKと競り合いながらジャンプしたのが、身長166センチの小さなFW⑨忍穂井。GKの鼻先でゴール前へ折り返し、そのボールに「とにかくゴールに突っ込もうと思った」という⑪三橋が飛び込んだ。

 劇的なゴールにベンチから飛び出す鹿島学園の鈴木雅人監督。ピッチには歓喜の輪ができる。殊勲の⑨忍穂井は前半から走り回り、足は爆発寸前。「疲れが全身にきていて、喜ぶ余裕がなかった」と満身創痍のなか、気力でつないだアシストだった。

 試合終了間際には野洲が⑧潮入のCKに⑩坂本が頭で合わせるが、ゴールライン上で鹿島学園の守備陣がクリア。直後、熱戦の終わりを告げるホイッスルが鳴った。

 勝った鹿島学園・鈴木監督は試合後、何度も「粘って守る」を強調した。選手たちは80分を通じて、野洲の多彩なアタックを前にしても、ひるむことなく、球際や1対1などがまん強く対応していた。⑨忍穂井の前線からのがむしゃらなプレスを筆頭に、勤勉に集中を切らさずに戦ったことが勝因といえるだろう。

 優勝候補にあげられながら、2回戦で涙を飲んだ野洲。敗れはしたが、積極果敢なアタックは素晴らしかった。勝負にタラ・レバは禁物だが、山本監督がベンチにいたら、試合はどうなっていたかわからない。多彩な攻撃、鮮やかな展開、崩しのアイデアはこの年代では随一だ。鮮烈な印象を残したグッドルーザー。彼らには力いっぱいの拍手を送りたい。

鹿島学園・鈴木雅人監督
「相手の攻撃に粘り強く対応し、少ないチャンスをものにするのが今日のテーマだった。開始直後に先手を取れたのが大きかった。選手たちには『3年前のベスト8を越えよう』と話している。苦しい試合を乗り切ったので、次もがんばりたい」

鹿島学園・⑨忍穂井大樹
「技術で負けても気持ちで負けないようにしようと思った。野洲はDFでもボールを持つので、そこにプレスにいけばチャンスになると思っていたし、何度かボールも奪えた。決勝アシストは(⑨三橋)隼斗がいるのが見えた。そこに折り返すしかないと思って飛んだ。今日は試合の入り方がよかった」

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